今回はローソンストア100の「100円おでん」シリーズを紹介しよう。
ここ数年でコンビニエンスストアのおでんは大きな変化を遂げた。コロナ禍には蓋をせずにおでんをさらしておくのは不衛生だという声が上がり(実際は蓋を閉めている店舗がほとんどだったが)、人手不足や販売ノルマ、フードロスの問題を背景に、レジ前のおでんは軒並み姿を消していった。代わりにパックに詰めたレトルトのおでんが台頭したが、おでんの大きな魅力のひとつである「好きなものを選べる」ことができず、楽しみが半減したといえる。
そのような背景のなか、ここ数年ローソンストア100の「100円おでん」が注目されている。販売開始はコロナ禍以前となり、愛知県の練り物メーカーであるかね貞がローソンと契約を結ぶ際に生まれた商品だ。
1種類ずつおでん種が入っており、予算を考慮しながら好みの具材を選ぶことができる。かね貞が製造する複数種類の揚げ蒲鉾をはじめとして、大根、玉子、こんにゃくや締めの煮ほうとうなどバラエティに富んでいる。
今回は紅生姜天、ウインナー巻、焼ちくわ、味付だいこん、だし味煮たまご、がんも、ねじりこんにゃく、ちくわぶの8種類を購入し、自宅でおでんにしてみた。2024年度はウインナー巻とうずら巻が加わり、14種類のラインナップとなっている。
パッケージの裏側を見ると製造者が確認できる。がんもは群馬県前橋市のマック食品、ちくわぶはカネ久が製造したもので、東京のおでん種専門店でも目にする会社も多い。
かね貞は揚げ蒲鉾のほかに焼ちくわを製造している。かね貞は大正14年(1925年)に大阪で創業した老舗の練り物メーカーで、名古屋に移転後、愛知県を拠点に営業を続けている。東京では百貨店を中心に「ねり伝」という店舗を展開しており、目にしたことのある方も多いのではないかと思う。
豆腐製品からはがんも、こんにゃく製品は三角こんにゃくとねじりこんにゃくの2種類が揃う。ねじりこんにゃくは数十本の白滝をねじりながら結着させ、5cm前後の長さにカットしたものだ。食感は白滝よりもこんにゃくに近く、ぷりっとしている。群馬県富岡市のかぶら食品が製造している。
おでん種人気ランキング不動の1位と2位である大根と玉子ももちろん揃っている。どちらもしっかりと味が染みていて、温めるだけで美味しくいただける。
ちくわぶは静岡県焼津市のカネ久のものだ。カネ久はなると巻のメーカーだが、ちくわぶにも力を入れている。ミルフィール状に巻かれたちくわぶの溝におでん汁がたっぷり浸透し、フレッシュな食感としみしみの味わいを堪能できる。
ここ数年の原材料の価格高騰は凄まじいものがあり、多くのメーカーが値上げを余儀なくされている。それでも、コンビニエンスストアや製造業者は消費者が気軽に手に取れる価格を維持しながら、食する喜びを感じてもらえるようなアイデアを日々考案し続けている。「100円おでん」のような商品を味わいながら、おでんの魅力である「選ぶ楽しみ」をあらためて感じていただけたらと思う。