今回で東京おでんだねの記事は200回目を迎えることになった。今回は1回目の記事からの現在までを振り返ってみたいと思う。
東京おでんだねは2018年10月8日に活動を開始してから3年7ヶ月が過ぎた。1週間に1本のペースで記事を公開して、今回で200回目を迎えることができた。ページ数はこちらの通常記事のほか、おでん種を種類別に紹介している「東京おでん種カタログ」などを含めると400ページにのぼる。
1〜50回目(18年10月〜19年7月):東京のおでん種専門店を全店網羅
活動を開始した当初は東京にあるすべてのおでん種専門店の紹介記事を網羅することが目標だった。これは当時そのような情報を掲載しているサイトは皆無で(現在も同じ状況だが)、ユーザがせっかくおでん種やさんに興味を持っても情報を得ることが難しく、店舗に訪れる機会を失っていたためだ。また、閉業する店舗も多いため、すみやかに記事にする必要があった。
この期間に営業していた店舗は53軒だったが、記事化できたのは44軒にとどまった。最終的に67回目の記事(北区神谷の平澤蒲鉾店)で全店紹介することができた。
夏季はおでん種を販売していなかったり、ゴールデンウィークや臨時休業などの影響で訪問しても取材できないことが多かった。その際はあらかじめ用意していた第2、3候補の店舗へ出向いてみたりと苦労したが、訪れたことない地域を歩くのが非常に楽しい時期だった。
記念すべき第1回は葛飾区亀有にある佃忠で、現在と異なり非常にシンプルな記事となった。それでも、近隣地域、お店、おでん種の紹介といった基本的な構成はこの時点で確立されている。
51〜100回目(19年8月〜20年6月):専門店以外の記事を模索
1年ほどですべてのおでん種専門店を紹介することができたが、新たな問題に直面した。おでん種専門店は個人商店のため新しいニュースに乏しく、2巡しても代わり映えのしない記事になってしまうのだ。
この時期はなにか別の切り口で東京のおでん種専門店の魅力を伝えることはできないかと試行錯誤を重ねた記事を多く執筆した。
まず最初に思いついたのがおでんの調理方法の紹介だ。東京のおでん種専門店に関する記事はお店に興味を持つユーザしか検索することはないが、調理法ならより多くの人々が興味を持ってくれる。そこから専門店の記事へ誘導して興味を持ってもらい、足を運んでくれることを考えて記事にした。
最初に公開した「おでんの白滝の結び方・巻き方」は人気記事となり、調理法の記事は現在34本にのぼる。また、暖簾分け店舗の歴史を紹介した記事やカレーボールや餃子巻などおでん種のルーツを紹介した記事、そのほか毎回頭をひねりながらテーマを考えていった。
一方で、おでん種専門店を2巡する記事も模索した。通販を取り上げた「美好商店のおでん種通販」や特定のおでん種にフォーカスした「美しき蒲吉商店の野菜天」、コロナ禍の様子を伝える「緊急事態解除後、増英蒲鉾店へ訪問」など工夫がみられる。
101〜150回目(20年6月〜21年6月):レギュラー記事の確立
100回目以降は「夏の揚げ蒲鉾の需要喚起を考える」の記事のように、夏季の閑散期に対する記事を公開するようになった。これまで多くのおでん種専門店の店主にお話をうかがい、さまざまな経営課題があることを知った。それらにすこしでも役立てられることはないだろうかと現在も考え続けている。
引き続きおでん種専門店を2巡する記事も模索し続け、夏季はおでん種以外に販売しているお惣菜を取り上げた記事を作成することにした。お惣菜をつくっているお店は何店かあるので、レギュラー化することになった。
夏季以外では、店頭で販売しているできたておでんに着目した。今まではショーケースに並んでいるおでん種を中心に紹介していたので、異なる視点でお店の味を伝えられると思ったからだ。この企画もレギュラー化し、現在も続いている。
そのほか、おでんのお持ち帰り専門店やおでんそばやうどんを提供するお蕎麦屋さんの記事も増やしている。これらのお店はおでん種専門店と同じように個人営業が多く、減少傾向にあるため記録に残す価値があると思っている。
151〜200回目(21年6月〜22年5月):安定しつつ新たな切り口で
150回以降はこれまで生み出してきた企画を踏襲しつつ、新たな切り口でおでんやおでん種専門店の魅力を伝えられないか試行錯誤を続けている。以前よりは安定しているが、それでも毎週どのような記事にしようかと悩み続けている。「こんな記事が読みたい」をいうご意見があれば、ぜひお問い合わせページからお知らせいただきたい。
今後も300回、400回と続けていき、東京のおでん種専門店の魅力を伝えられればと思っている。この活動を支えてくれている、店主たちと読者の方々、そして筆者のパートナーにお礼を申し上げたい。