今回は春から初夏が旬のアスパラガスを使ったおでんの調理方法を紹介しよう。
しゃきしゃきとしながらもソフトな食感が魅力のアスパラガスは、春から初夏に旬を迎えて手に入りやすくなる。おでんの季節とは真逆だが、具材として用いることで、彩りとともに爽やかな味わいとなる。今回はおでんにおけるアスパラガスの調理法を紹介しよう。
春から初夏が旬のアスパラガス
アスパラガスは緑の色彩が美しく、やさしい甘みとほろ苦さが絶妙に組み合わさった野菜だ。年を越えて育てられる多年草で、春から初夏に収穫される。
約90%が水分だが、栄養は豊富だ。アミノ酸の一種であるアスパラギン酸は新陳代謝を高め、疲労回復やスタミナ強壮に効果がある。また、ビタミンB群の一種である葉酸やビタミンCなど複数種類のビタミンを含んでいる。
アスパラガスはおでん種専門店で取り扱っている揚げ蒲鉾の具材として用いられることもある。切らずにすり身を巻き付けたり、細かく刻んで混ぜ込んだりと各店で創意工夫がみられる。
アスパラガスの下処理
さて、ここからはおでんにおけるアスパラガスの調理法を紹介していこう。3種類ほど調理していくが、まずは下処理を行っていく。
アスパラガスの根元は固いので、3〜5センチほど指か包丁を使って取り除く。指を使う場合は根元あたりをしならせて、折れそうな位置を探るといい。
太めのものを選んだ場合には、さらに根元から10cm前後の皮をピーラーで剥いていく。時期によって柔らかさが異なるので、固そうな場合は穂先以外の皮をすべて剥く。細いもので根元まで柔らかい場合は、この処理は省略してもいい。
次にはかま(がく)と呼ばれる逆三角形の部分を包丁で取り除く。口当たりをよくするためだが、気にならない場合は省略してもいいだろう。
あとは好みの大きさに切っておでん汁で3分ほど煮れば完成だ。長く煮ると味は染み込むが、アスパラガスの新鮮な風味や食感がなくなってしまうので注意しよう。
味を染み込ませる工夫としては煮たあとに冷まし、冷蔵庫でしばらく置いておくといいだろう。緑の色味も保ちつつ、食感もある程度維持できる。
ひと手間かけてさらに美味しく、干瓢で束ねたアスパラガス
切ってそのまま煮るだけで美味しいアスパラガスのおでんができあがるが、ここからひと手間かけてみよう。
切ったアスパラガスはおでんの中でばらばらになるので、干瓢で巻いていく。手軽だが上品な仕上がりになる。
干瓢は下茹でして柔らかい状態に戻しておくといい。干瓢の下ごしらえについては「かんぴょう(干瓢)の戻し方とおでんでの活用方法」の記事をご覧いただきたい。
アスパラガスは等分に切り分け、3本程度にまとめる。穂先がついているものを上にすると見栄えがいい。これを干瓢で巻いておでんと一緒に煮れば完成だ。そのまま食べても、からしをつけても美味しい。
魚のうまみと同時に味わう、焼ちくわとアスパラガス
次に、焼ちくわを使ったアスパラガスのおでん種をつくってみよう。アスパラガス単体でつくる手間とほとんど変わらず、簡単に調理できる。
焼ちくわはさまざまな種類が存在するが、アスパラガスの太さによって選ぶといいだろう。大きめのものを用いる場合は、ぜひぼたん焼き(牡丹焼き)と呼ばれる焼ちくわを選んでほしい。
ぼたん焼きは青森を中心とした東北特産の焼ちくわで、模様が牡丹のように見えることからその名がついた。肉厚な食感でおでん汁をたっぷり吸い込み、豊かな魚のうまみを味わえる。青森の丸石沼田商店やイゲタ沼田焼竹輪工場が有名だ。
作り方は非常に簡単で、焼ちくわをアスパラガスと同じ大きさに切って、穴に差し込んで煮るだけだ。穂先が見えるようにアスパラガスをすこし長めに切ると見栄えがいい。
おでんと相性抜群!定番のアスパラベーコン
アスパラガスといえばベーコンを巻いたアスパラベーコンは定番だが、おでんにしても美味しい。こちらも簡単に調理できるので、ぜひ挑戦していただきたい。
塩気が伴うベーコンのうまみが和風のおでん出汁と見事に融合し、ポトフのような豊かな美味しさをつくりだす。彩りもよく、子どもも喜ぶおでん種となる。
ベーコンは厚さや長さ、幅などはあまり気にしなくてもいい。アスパラガスに対して大きさが足りなければ何枚か巻きつければいいし、逆にベーコンが大きすぎるなら包丁で切って調整するといいだろう。
アスパラガスにベーコンを巻きつけたら、干瓢で巻く。干瓢以外にも爪楊枝やスパゲティなどでまとめることもできる。
今回は3種類の調理方法を紹介したが、工夫次第でさまざまなアスパラガスのおでんをつくることもできるだろう。春から初夏にかけては天候や温度の変化が激しいので、アスパラガスをお腹にやさしいおでんにして、たっぷり栄養をとってもらいたい。