えびすや蒲鉾店(練馬)のおでん種

えびすや蒲鉾店は練馬区北町一丁目にあるおでん種やさんだ。お店は東武東上線の上板橋駅と東武練馬駅のほぼ中間地点に位置する。

下練馬宿の趣きを残す練馬区北町周辺

下練馬宿と呼ばれた練馬唯一の宿場町があった練馬区北町。東武東上線東武練馬駅の南口側には東上線と並行して走る旧川越街道があり、ここには多くの下練馬宿の名残の石碑やお店などが並んでいる。

東京都練馬区北町:きたまち商店街

その旧川越街道沿いには、きたまち商店街がある。この商店街には戦後の風情を残す飲み屋の横丁があったり、北町アーケードという古いアーケードも残っている。赤羽や立石ほどの規模ではないが、とても情緒がある。昭和の風景が大好きな人たちはぜひ探索してみるといい。

東京都練馬区北町:きたまち商店街 北町アーケード

建物が老朽化し、オーナーも年を取っていく。次第にこういった風景がなくなっていくと思うと寂しいものだが、時代の波には逆らえないだろう。

東京都練馬区北町:きたまち商店街

宿場町で馬に縁があったからなのか、「練馬」という地名から取ったのかは不明だが、馬をモチーフにした装飾が多かった。歩道と車道を隔てるポールや、きたまち商店街のキャラクターと思われるイラストにも馬があしらってあった。

東京都練馬区北町一丁目:北一商店街

きたまち商店街を東の上板橋方面へ進んでいくと北一商店街に辿り着く。注意しないで歩いているとほとんど気づかないが、商店街の振興組合が変わるので名称も変わるのだ。北一商店街は昭和23年(1947年)に始まり、かつては130の店舗が軒を連ねていたそうだ。

アーケードの幕には「ちがや馬」と呼ばれるものが描かれている。これは七夕の時に飾る「茅萱(ちがや)」で作った馬のことで、 練馬の農家で作られてきたものだそうだ。

約60年の歴史を持つえびすや蒲鉾店

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店

えびすや蒲鉾店は北一商店街の東側に位置する。こぢんまりとした佇まいだが、赤い色の雨よけのおかげですぐに見つけることができた。

店内に入るとすぐ目の前に冷蔵ショーケースがあり、おでん種が並んでいる。午後2時くらいにお邪魔したが、奥ではまだおでん種を調理している最中だった。恐らくもう1時間経つとすべてのおでん種が揃うのだろう。

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店のおでん種

向かって左側は練り物系のおでん種が並ぶ。さつま揚、ボール、カレーボール、もち巻、ごぼう巻など定番のものが多い。約20種類揃えているようだ。

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店のおでん種

右側は練り物以外のおでん種だ。結び昆布やもち巾着、自家製の魚のすじもある。珍しいところではたこ天と呼ばれる海老真丈のような練り物、切れはし昆布、串に刺さったつくねなんていうのもあった。

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店

お店はご夫婦ふたりで切り盛りしているようで、主におかみさんが客の対応をしていたが、訪れたときは少々混んでいたので奥で調理していた店主が対応してくれた。
話を伺うと、かれこれ60年ほど営業しているそうだ。ざっくり計算すると1958年頃の創業ということになる。実は店名の「えびすや蒲鉾店」は板橋区の蓮根にも存在するので質問してみたところ、こちらのお店から暖簾分けしたお店だそうだ。

会計を済ませる際におかみさんから、おでんの茹で方について詳しくレクチャーしていただいた。大根など練り物以外は下茹でをしておくことは知っていたが、練り物を茹でる際は鍋の蓋をしてはいけないことは初耳だった。蓋をすると練り物が大きく膨らんでしまい味が落ちるそうだ。

定番ながらオリジナリティの高いえびすや蒲鉾店のおでん種

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店のおでん種

今回、購入したのは写真の通り。時計回りに12時からえび天、カレーボール、しいたけ入り、つみれ、ボール、すじ、もち巻、ごぼう天、たこ天(中央)。この他に結び昆布も購入。自家製のはんぺんも頼もうとしたがうまくオーダーが伝わっていなかったようなので次回チャレンジしたい。ちなみに生のちくわぶも売っていた。

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店のおでん

家に戻り、えびすや蒲鉾店のおかみさんの言う通りに調理開始。鍋の蓋をせずに練り物を煮ると、確かに膨張せず美味しそうに仕上がる。ちなみに今回は茅乃舎のおでん出汁を使ってみた。

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店のおでん種

まずは気になるたこ天を食べてみる。見た目は色の薄い練り物といった感じだが、もっとふわふわとしていて海老真丈のような食感と味がした。その中にタコの香りが口中に広がってなんとも美味しい。大谷口北町の蒲吉商店も同じようなたこ天を販売していた。
そしてもうひとつ注目なのがカレーボール。なんと野菜が入っているのだ。恐らくニンジンと玉ねぎだろう。通常のカレーボールはすり身にカレー粉が入っているだけなのでかなり新鮮だ。玉ねぎの甘みとカレーの風味の相性がよく、新発見の味である。

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店のおでん種

自家製のつみれは非常に滑らかに練りこまれていて繊細な味わいがした。つみれは通常は粗めに仕上げるものだが、カレーボールと同じくえびすや蒲鉾店独特の味といえる。
ゴマと餅の相性が抜群のもち巻、海老の甘みが感じられるえび天、プレーンな味のボールなど、魚のすり身のクリーミーさがそれぞれの具材の特徴をよく引き出していた。

東京都練馬区北町一丁目 北一商店街:えびすや蒲鉾店のおでん種

ごぼう天はごぼうだけでなくニンジンやピリ辛の唐辛子がうまく合わさっている。しいたけ入りは椎茸が程よい大きさで噛むと香りがふわっと広がり美味しい。魚のすじはきめ細やかな練り具合で上品な味わいだ。常連客が「絶対すじは食べたい」と言って大きめのものを2本も買っていたのも頷ける美味しさだ。

えびすや蒲鉾店も他のおでん種専門店の例に漏れず、インターネットでは情報が少ないお店だ。おでん種は奇を衒ったものではなく非常に定番のラインナップだが、ひとつひとつ非常に丁寧に作られており、経験に裏打ちされたオリジナルのレシピを採用している。このようなお店が広く知られていないのは本当にもったいない。練馬区や板橋区に住む人々は、一度は食べてみる価値がある。

えびすや蒲鉾店の基本情報

えびすや蒲鉾店
〒179-0081 東京都練馬区北町1-44-5
03-3931-4522
定休日:日曜
営業時間:10:00~19:00
えびすや蒲鉾店のページ(北一商店街)

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