増田屋(立石)のおでん種2025

今回は葛飾区立石で営業する増田屋(立石)の2025年の近況を紹介しようと思う。いつもぬくもりのある接客で迎えてくれる店主の中山貴司さんにお話をうかがった。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)のおでん種

増田屋(立石)は東京のおでん種専門店で最も暖簾分けの多い一軒であり、立石にはなくてはならない90年以上の歴史を誇るお店だ。街並みは再開発によって変わりつつあるが、増田屋は変わらず手づくりのおでん種を販売している。

再開発で変化する立石で、変わらず手づくりのおでん種を提供する増田屋(立石)

葛飾区立石は「せんべろの聖地」や「飲み歩きの聖地」として有名で、戦後から営業を続ける飲み屋が今も数多く残っている。

東京都葛飾区東立石:立石仲見世商店街

昭和の風情を色濃く残す南口の立石仲見世商店街は健在だが、京成立石駅は2階の改札口が閉鎖されて雰囲気が大きく変わった。北側の再開発地域は工事が本格化しており、着実に新しい街に移り変わろうとしている。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)

立石仲見世商店街を抜けて奥戸街道沿いをすこし歩くと、すぐに増田屋(立石)が見えてくる。とくに変わった様子もなく、通常通り営業しているようだ。お店に入ると取材などで何度もお世話になっていることもあり、実家に帰ったような安心感がある。店主である中山貴司さんがすぐに筆者に気付き、満面の笑顔で迎えてくれた。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)

増田屋(立石)は店内を埋め尽くすほどおでん種の種類が多く、2025年の現在でもそれは変わっていない。定番のものから変わり種まで手づくりの品が並んでおり、目移りしてしまう。魚のすり身はスケソウダラやイトヨリダイを中心に、季節や天候に合わせて数種類の魚をブレンドしている。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)

おでんにして美味しいのは当然だが、暖かい季節はぜひお惣菜としてそのまま味わってみてほしい。生姜やわさびと一緒に醤油につけて食べれば、魚本来の美味しさがダイレクトに感じられることだろう。取材をしている間もたくさんの常連客が訪れて、揚げ蒲鉾を購入していった。種類が豊富なので毎日違った味を楽しめ、何度食べても飽きることはない。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)

増田屋(立石)の魅力はおでん種だけではない。店主の中川さんは非常に気さくで丁寧な接客で、彼との会話を楽しみに足を運ぶお客さんが非常に多い。家族3代にわたって増田屋の味に親しむ地元の常連さんとお話しさせていただいたが、商品よりも中川さんに顔を合わせるのが目的だと冗談を言って笑っていた。再開発で慣れ親しんだ街の風景は目まぐるしく変わっているが、このお店は味も接客も変わらず、とてもあたたかいという。

人気商品も変わり種も格別の味わい、増田屋(立石)の揚げ蒲鉾

店主の中川さんと常連客の方と取り留めのない話題に花を咲かしたあと、人気商品を中心に揚げ蒲鉾をいくつか購入した。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)のおでん種

今回購入したのは6種類。時計回りに12時から、ベーコンポテト、ネギ天、うずら巻、中華巻、ヨセ揚げ、肉ボール。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)の

まずは他店にはない珍しい形状のうずら巻を紹介しよう。通常、うずら巻といえば卵はひとつなのだが、増田屋(立石)のうずら巻は3つも使っている。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)のうずら巻

3つ並べたうずら卵に魚のすり身を巻き、棒状にして串に刺して揚げている。ボリューム満点でありながら、価格がおさえてありかなりお買い得だ。味は非常にクリーミーで、やさしい味わいが老若男女に受け入れられる人気商品だ。うずらの価格も高騰しているので、今のうちに味わっておくといいだろう。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)のネギ天

ネギ天は増田屋(立石)の人気ナンバーワンの逸品。具材は玉ねぎのみというシンプルな商品だが、ふわりとした魚のすり身と玉ねぎの甘みの相性は抜群だ。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)のヨセ揚げ

生姜と長ネギの色合いが美しいヨセ揚げは2番人気となっている。生姜の辛みと清々しい香りが印象的だ。手づくりの丁寧な仕事ぶりがわかる、上品な味わいとなっている。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)の肉ボール

3番人気の肉ボールはひき肉が混ぜてある。魚とはまた異なるふくよかな味わいが心地よく、すり身とのハーモニーを生み出している。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)の中華巻

中華巻は肉ボールの具材にシュウマイの皮を巻いた変わり種だ。先代店主が考案したという。炙って食べればぱりっとした香ばしさが楽しめ、おでんにすれば水餃子やワンタンのようなとろける食感を楽しめる。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)のベーコンポテト

ベーコンポテトはその名のとおり、刻んだベーコンとじゃがいもに加えてコーンが入っている。子どもが喜びそうな組み合わせだが、魚のすり身がやさしい和の雰囲気も生み出しており、大人でも楽しめる上品な味わいだ。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)のアスパラ

購入した商品に加えて、アスパラガスを仕込んだアスパラという揚げ蒲鉾をおまけしてくれた。春から初夏に旬を迎えるアスパラガスのみずみずしさがしっかり残っており、しゃきしゃきとした食感も素晴らしかった。

東京都葛飾区東立石:増田屋(立石)

以前にお店に訪れたとき、店主の中山さんは「10年ほどしたら毎日お店を開けずに趣味の旅行に出掛けたい」とおっしゃっていた。数年経った現在、閑散期である夏場に10日ほどお店を閉めてクルーズ旅行に出かけているという。「小売店が長く休むのは気が引けていた」そうだが、何十年と休まずお店を開けているし、サラリーマンであれば10日間の休みなんてごく普通のことだ。おそらくお客さんを第一に思う中山さんのことだから、慕ってくれるお客さんたちの顔が頭に浮かんでくるのだろう。今回の短い取材時間でも多くの常連客が訪れては、皆一様に中山さんとの会話を楽しんでいた。彼らを思えばこそ、無理をせずにご自身の好きなことを楽しんでいただき、末長く素敵な笑顔と美味しい手づくりの練り物を与え続けてくれたらと思う。

増田屋(立石)の基本情報

増田屋
〒124-0013 東京都葛飾区東立石4-50-3
03-3691-0477
定休日:日曜、祝日
営業時間:10:00~19:30
増田屋(立石)のWebサイト(葛飾区商店街連合会のWebサイト)

Scroll to top