おでんや練り物にまつわる記念日

今回はおでんや練り物に関する記念日を紹介する。2月22日の「おでんの日」のほか「ちくわぶの日」や「かまぼこの日」など多数存在する。

おでんや練り物にまつわる記念日

日本には法律で定められた祝日から企業や団体が定めたものまでさまざまな記念日が存在する。おでんや練り物に関するものも多く、名称に「おでん」とついた記念日だけで3件確認できる。

料理や食材の記念日は商品の販売促進や特産品のPRを目的として制定されているものが多い。ほとんどは企業や業界団体、自治体が定めているが、個人で自由に決めてもかまわない。

記念日を認定する「一般社団法人 日本記念日協会」もあり、2020年3月末までに2100件を超える記念日を認定している(参考:一般社団法人 日本記念日協会「日本記念日協会について」)。登録認定された場合は「日本記念日協会登録済」と謳うことができる。

おでんの名がつく記念日

おでんの名がつく記念日は3件あり、すべて日本記念日協会に登録認定されたものだ。

2月22日「おでんの日」

「おでんの日」はおでんを新潟の名物にするために活動している越乃おでん会が制定した。熱々のおでんを「ふーふーふー(222)」と息を吹きかけて食べることから、2月22日という日付になっている。

新潟県新潟市:竹徳かまぼこ「新潟おでん」
竹徳かまぼこ(新潟県新潟市)の「新潟おでん」

全国にはたくさんのご当地おでんが存在するが、新潟のおでんを目にする機会は少ない。新潟では麩や里芋をおでん種にする傾向があるというが、これは金沢など北陸地方で共通したものになっている。また、アゴ出汁をおでん汁に用いる場合もあるそうだが、昆布と醤油のスタンダードな味付けも多いという。

おでん汁と茶飯でつくるおでん茶漬け

越乃おでん会では、新潟名産のコシヒカリを用いて締めにおでん茶漬けを味わうことを推奨している(参考:@DIMEアットダイム「青森、石巻、新潟のおでんはどんな味?旅に行ったら楽しみたいご当地おでんの魅力」)。

新潟市の竹徳かまぼこでは「新潟おでん」というおでんを販売しており、焼きアゴの出汁、車麩をおでん種に用いるなど前述の新潟のおでんの特徴を有している。

新潟県新潟市:竹徳かまぼこの煮玉子しんじょう
竹徳かまぼこ(新潟県新潟市)の「煮玉子しんじょう」

新潟の練り物で特徴的なのはしんじょ(真薯、真丈)だ。しんじょは蒸したり茹でたりして調理することが多いが、新潟では蒸してから油で揚げる。竹徳かまぼこではさまざまな種類のしんじょを揃えており、なかでもふわとろの食感が楽しめる「煮玉子しんじょう」が人気だ。また、新潟県産の南蛮海老を使用した「甘海老しんじょう」は日本フードアナリスト協会が主催する第57回ジャパン・フード・セレクションでグランプリに輝いた。竹徳かまぼこは型枠の中で包装と成型、蒸気過熱殺菌を行うリテーナ成形かまぼこを発明したことでも有名で、同社の板付蒲鉾はこの技術が用いられている。

これらの商品はネット通販で購入できるが、日本橋三越本店の地下1階(C9)ではパックのほかに店頭で調理したできたての新潟おでんを通年販売している。

新潟には竹徳かまぼこのほかに一正蒲鉾伏見蒲鉾などの水産練り製品製造業者が存在し、これらの企業が属している新潟県蒲鉾組合では「新潟雪国おでん」というご当地おでんを開発している。このおでんは新潟県産の塩麹と藻塩を使った豆乳仕立てのまろやかな汁が特徴となっている。

「おでんの日」はそれぞれの好みでおでんを楽しめばいいが、記念日制定の目的に沿って新潟の食材をふんだんに使ったおでんを味わってみてもいいだろう。

10月5日「みそおでんの日」

「みそおでんの日」はこんにゃくを製造販売するヨコオデイリーフーズが自社製品の「田楽みそおでん」を宣伝するために制定した。商品を発売開始した平成6年(1994年)10月5日が日付の由来だ。

ヨコオデイリーフーズ「田楽みそおでん

田楽みそおでんは串に刺さったこんにゃくにゴマ入りの味噌だれ(田楽味噌)が付属する。袋から取り出して温めるだけですぐに食べられ、常温保存もできるので非常に使い勝手がいい。

群馬県甘楽郡:ヨコオデイリーフーズ「田楽みそおでん(5本入り)
ヨコオデイリーフーズ(群馬県甘楽郡)の「田楽みそおでん(5本入り)」

ヨコオデイリーフーズはこんにゃくバイキングが楽しめる「こんにゃくパーク」が有名だが、田楽みそおでんはこんにゃくパークで最も人気の高い商品となっているそうだ。

10月10日「紀文・いいおでんの日」

「紀文・いいおでんの日」は紀文食品がたくさんの人におでんを味わってもらいたいと願って制定した。日付は「1(いい)0(お)10(でん)」の語呂合わせで10月10日となっている。ちなみに10月10日は日本記念日協会が認定しただけでも57件の記念日が存在する。

東京都中央区築地:紀文 築地総本店のおでん種

紀文は日本を代表する練り製品の食品メーカーであり「おでんといえば紀文」と考えるユーザーも多い。昭和25年(1950年)から百貨店に進出し、創意工夫を凝らしておでんを家庭で楽しむ提案を常に行ってきた。

中央区銀座:紀文の「魚河岸あげ」
紀文食品(中央区銀座)の「魚河岸あげ」

ふわふわの食感が魅力の「魚河岸あげ」のように、お手頃価格でありながら品質が高い商品が揃っている。SNS界隈では親しみを込めて「のりふみ」と呼ぶファンも多いが、紀文・いいおでんの日に築地総本店へ訪れてみてはいかがだろうか。成長の礎となった築地場外市場にあり、その場で揚げた商品を揃えて手づくりの素晴らしさを伝えている。詳細は「紀文食品のおでん種」をご覧いただきたい。

おでん種になる食材の記念日

次におでん種(おでんの具)になる食材の記念日を紹介していこう。さつま揚げ(つけあげ)やちくわぶ、豆腐やこんにゃくなどの記念日がある。

3月20日「さつま揚げ(つけあげ)の日」

鹿児島県の特産品であるさつま揚げをアピールするために鹿児島県指宿市のシュウエイ(小田口屋)が制定し、日本記念日協会が認定した。「3(さ)2(つ)0(まる)」で「さつま」となる3月20日を記念日にした。

鹿児島県指宿市:シュウエイ(小田口屋)のさつま揚げ(つけあげ)

琉球(沖縄)の「チキアギ(チキアーギ)」が鹿児島に伝わったとされ、地元ではさつま揚げのことを「つけあげ」と呼んでいる。灰持酒(あくもちざけ)と呼ばれる地酒や豆腐を加える製造方法、トビウオやアジなどを使ったすり身、砂糖を加えた甘めの味付けがつけあげの特徴となっている。

鹿児島県指宿市:シュウエイ(小田口屋)のさつま揚げ(つけあげ)
小田口屋(鹿児島県指宿市)の「さつま揚げ(つけあげ)」

記念日を制定したシュウエイ(小田口屋)ではトビウオとアジに加え、スケトオダラ、グチ、カマスなどをブレンドし、豆腐のほかに山芋を加えて食感に特色を出している。

鹿児島県指宿市:シュウエイ(小田口屋)「インカのめざめ天」
小田口屋(鹿児島県指宿市)の「インカのめざめ天」

つけあげやごぼう天などの定番ものだけでなく「インカのめざめ天」といった変わり種も販売している。皮付きのインカのめざめはじゃがいもの風味が抜群で、甘めのすり身とよく合う。ネット通販限定となっているので、興味のある方はオーダーするといいだろう。

5月29日「こんにゃくの日」

こんにゃくの効能や機能性を再確認して健康に過ごしてほしいとの願いから、一般財団法人日本こんにゃく協会と全国こんにゃく協同組合連合会が制定し、日本記念日協会が認定した。日付は「5(こん)29(にゃく)」であることと蒟蒻芋の作付が5月に行われることが由来となる。

おでんのこんにゃく

こんにゃくはおでんにとって欠かせない食材のひとつだ。味噌おでんにもこんにゃくが使われ、白滝(糸こんにゃく)も人気のおでん種となっている。原料は異なるが、ちくわぶもこんにゃく業者が製造している。こんにゃく製品は調理が簡単で健康にもよく、おでん以外にも頻繁に用いたいところだ。東京ではこんにゃくの製造業者が減少しているが、ぜひ「こんにゃく専門店」の一覧を参考にして訪れてみてほしい。

10月2日「豆腐の日」

「豆腐の日」は日本豆腐協会によって制定され、日本記念日協会が認定した。日付はもちろん「10(とう)2(ふ)」が由来となる。また、毎月12日も豆腐の日となる。

町の豆腐屋の食材でつくるおでん

こんにゃくと同様に豆腐はおでんに必要不可欠な食材だ。おでんのルーツは田楽といわれているし、生揚げ(厚揚げ)やがんもどき、巾着に用いられる油揚げなど豆腐のおでん種は非常に多い。

おでん種専門店にある豆腐のおでん種

全国の豆腐店は昭和35年(1960年)には約5万軒存在したが、最近では年間500軒ほど減少し続けており、令和2年(2020年)には5319軒(東京都は417軒)になっている(参考:厚生労働省「令和2年度衛生行政報告例」)。後継者不足や店主の高齢化など理由はさまざまだが、個性豊かな豆腐店の味をいつまでも楽しめるように、記念日以外にも豆腐を利用したいものだ。

10月4日「ロールキャベツの日」

ロールキャベツを多くの人々に美味しく食べてもらうため、静岡県のヤマガタ食品とその子会社であるダイマルが制定し、日本記念日協会が認定した。日付の由来は日本に初めてロールキャベツが紹介された日で、福沢諭吉が創刊した「時事新報」でロールキャベツの原型となる「キャベーヂ巻き」の献立が紹介された明治26年(1893年)10月4日となる。

おでんのロールキャベツの調理方法

ヤマガタ食品は冷食製造やOEM生産を行う企業で、40年ほど前からロールキャベツを手がけている。平成28年(2016年)にはロールキャベツメーカーのダイマルをグループに迎えている。

おでんのロールキャベツ(豚ひき肉)

おでんにロールキャベツを入れるようになった由来は定かではないが、現在では定番のおでん種として認知されている。挽肉だけでなく甘塩鮭や野菜などを使用しても美味しい。「おでんのロールキャベツの調理方法」の記事を参考にしながら、ロールキャベツの新しい味を発見してほしい。

10月10日「ちくわぶの日」

ちくわぶ料理研究家の丸山晶代さんと宮城県塩釜市の阿部善商店が制定し、日本記念日協会が認定した。「10」をちくわぶの棒と穴に見立てて10月10日を記念日にしている。ちなみに前述の「紀文・いいおでんの日」と同じ日付だ。

阿部善商店「東京ちくわぶ」
阿部善商店(宮城県塩釜市)の「東京ちくわぶ」

阿部善商店は北区赤羽(志茂)の川口屋とコラボした「東京ちくわぶ」を販売しており、丸山さんはちくわぶ料理のレシピを提供している。北海道産の小麦粉「ゆめちから」や石垣島の自然塩を使用したこだわりの商品で、もちもちとした食感を楽しめる。

おでんのちくわぶの調理方法

「東京ちくわぶ」はスーパーなどの量販店のほか、阿部善商店でもネット販売している。ちくわぶの調理方法の詳細については「おでんのちくわぶの調理方法」を参考にしてほしい。

おでんのはんぺん(イメージ)

上記のほか、2月5日の「煮たまごの日」、12月21・22日(冬至)の「はんぺんの日」もある。なお、はんぺんの日は制定した東京都蒲鉾水産加工業協同組合(通称東蒲)が解散してしまったので記念日として曖昧な状況にある。また、おでんの出汁に使われる食材を含めれば11月15日の「昆布の日」や11月20日の「いいかんぶつの日」、11月24日の「鰹節の日」などが存在する。

練り物関連の記念日

先に取り上げたさつま揚げ(つけあげ)のほかにも練り物に関する記念日がある。日本記念日協会が認定していないものもいくつかみられる。

2月22日「八重山かまぼこの日」

八重山かまぼこは石垣島の特産品で特許庁から地域団体商標権を取得している。その取得日となる「2月22日」を記念日として八重山観光振興協同組合が制定した。前述の「おでんの日」と同じ日になる。

沖縄県石垣市:マーミヤかまぼこ「にんにくタラシ揚げ」
マーミヤかまぼこ(沖縄県石垣市)の「にんにくタラシ揚げ」

八重山とは石垣島や竹富島、西表島、与那国島など12の島々で形成される諸島群で、沖縄本島の南西に位置する。蒲鉾は一般的に魚のすり身に卵白を加えるが、八重山かまぼこでは全卵を使用する。このため、しっかりとした食感と深い味わいが楽しめるという。昭和20年(1945年)創業のマーミヤかまぼこは八重山かまぼこを代表する企業のひとつで、日本かまぼこ協会が主催する全国蒲鉾品評会において最高賞である農林水産大臣賞を2度受賞している。

沖縄県石垣市:マーミヤかまぼこ「おにぎりかまぼこ」
マーミヤかまぼこ(沖縄県石垣市)の「おにぎりかまぼこ」

ひと口大の「たらし揚げ」のほか、細長い形状の「マルグワー」、お米をすり身で包んだ「おにぎりかまぼこ」など東京ではお目にかかれない揚げ蒲鉾が多い。おにぎりかまぼこは「ばくだんおにぎり」とも呼ばれ、沖縄本島の糸満で漁師が海上で片手で食べられるものとして考案されたという。八重山かまぼこはマーミヤかまぼこ以外に「かみやーき小」や「金城かまぼこ」で製造されており、ネット通販も行っている。また、千代田区有楽町の「銀座わしたショップ本店」でも取り扱っている。

3月19日「細工かまぼこの日」(細工の日)

富山県は細工蒲鉾が有名で、結婚式などの慶事には欠かせないものとなっている。「さいく」と読めることから3月19日を記念日として、蒲友会(富山県蒲鉾水産加工業協同組合青年部)が制定した。

富山県の細工かまぼこ(河内屋の豆鯛)
富山県の細工かまぼこ(河内屋の豆鯛)

富山の細工蒲鉾は明治から大正にかけて関西から入ってきたといわれ、独自の発展を遂げてきた。蒲鉾とは思えない精巧な装飾が施されているが、最近はお土産にぴったりの手のひらサイズのものが人気となっている。富山地区の梅かま、新川の河内屋、新湊の新湊かまぼこなど富山県の水産練り製品業者のサイトから購入できるほか、中央区日本橋の「日本橋とやま館」や有楽町の「有楽町店 いきいき富山館」でも販売されている。

4月1日「ほぼカニの日」、毎月22日「カニカマの日」

「ほぼカニ」はカニカマと呼ばれる風味かまぼこだが、ユニークな商品名で一躍有名となった。ほぼカニを製造販売するカネテツデリカフーズが「ほぼカニの日」を制定し、日本記念日協会が認定した。4月1日のエイプリルフールに本物のカニと食べ比べ、楽しい嘘で食卓を盛り上げてほしいという願いが込められている。

カネテツデリカフーズ「ほぼカニ」

外見は本物のカニと見分けがつかないほどで、食感も「ほぼカニ」だ。ジューシーでほぐれやすく、さまざまな料理にアレンジできる。付属の「特製黒酢入和だしカニ酢」と一緒に冷やして食べても美味しいが、温めるとよりカニの風味がアップするそうだ。

カネテツデリカフーズ「ほぼカニ」
カネテツデリカフーズ(兵庫県神戸市)の「ほぼカニ」

ほぼカニは第73回全国蒲鉾品評会において最高賞である農林水産大臣賞を受賞し「日本ネーミング大賞 2022」でも最優秀賞を受賞している。カネテツデリカフーズでは「ほぼカニ」のほかに、ホタテやカキフライ、鰻、タラバガニ、エビフライなどの風味かまぼこを発売している。

石川県七尾市:スギヨ「大人のカニカマ」
スギヨ(石川県七尾市)の「大人のカニカマ」

6月以外の毎月22日は「カニカマの日」となっている。石川県七尾市のスギヨがカニカマの美味しさを広めていくことを目的に制定し、日本記念日協会が認定した。スギヨはカニカマを生み出した企業のひとつとして認知されている。

石川県七尾市:スギヨ「大人のカニカマ」

日付はカニのハサミが漢字の「二二」に似ていることから毎月22日となった。6月22日は本家カニの記念日(かにの日)なので、敬意を評して外しているそうだ。スギヨは「匠のカニカマ」や「香り箱」「大人のカニカマ」など調理や食事シーンに合わせて複数のカニカマ製品を展開している。香り箱は第58回全国蒲鉾品評会、大人のカニカマは第69回全国蒲鉾品評会でそれぞれ農林水産大臣賞を受賞している。

5月24日「伊達巻の日」

伊達巻を日本の食文化として広く伝えるため、伊達政宗の命日となる5月24日を「伊達巻の日」とした。玉子製品やあん製品を製造販売する大阪府吹田市のせんにちが制定し、日本記念日協会が認定した。

伊達巻

伊達巻は魚のすり身に鶏卵と砂糖を混ぜて焼いた練り物のひとつで、正月のおせち料理に欠かせない食材となっている。紀文や鈴廣など大手の水産練り製品業者のものが有名だが、東京のおでん種専門店でも手作りしているお店がいくつかある。

7月1日「氷室ちくわの日」(氷室の日)

石川県の金沢では旧暦の6月1日となる7月1日を「氷室の日」と呼び、無病息災などを願ってちくわや饅頭を食べる習慣がある。氷室の日は江戸時代に加賀藩が冬の間に氷室(ひむろ)に貯蔵していた雪を徳川家に献上していたことが由来となっている。

石川県金沢市:岩内蒲鉾店「氷室ちくわ」

氷室ちくわは金沢市の近江町市場にある岩内蒲鉾店で製造販売している。岩内蒲鉾店は明治9年(1876年)創業の150年ほど続く老舗の蒲鉾店で、氷室の日には1日に4000本の氷室ちくわを製造するという。

石川県金沢市:岩内蒲鉾店「氷室ちくわ」
岩内蒲鉾店(石川県金沢市)の「氷室ちくわ」

氷室ちくわは青竹を芯にした太ちくわとなっており、通常のちくわに比べてふた回りほど大きい。スケトウダラとグチを使用したすり身の食感は弾力が強く、噛み締めるごとに魚のうまみがじわじわと広がっていく。

石川県金沢市:岩内蒲鉾店「氷室ちくわ」

岩内蒲鉾店では氷室ちくわのほかに北陸地方で見られる赤巻や昆布巻、すり身を茹でた「ふかし」などを手づくりしている。ネット通販だけでなく電話やFAXでもオーダーできる。

7月7日「笹かまの日」

「笹かまの日」は宮城県蒲鉾組合連合会と紀文食品が共同で制定し、日本記念日協会が認定した。笹かまぼこの全国的な普及を通して練り製品市場を活性化することを目的としている。七夕に「笹の節句」という呼び名があることから、7月7日を記念日とした。

宮城県仙台市:阿部蒲鉾店「阿部の笹かまぼこ」

笹かまぼこの歴史は明治時代までさかのぼる。仙台湾で大量のヒラメが水揚げされ、無駄にしないようにすり身を手のひらで叩いて平たい形状にして焼いたものが発祥といわれる。

宮城県仙台市:阿部蒲鉾店「阿部の笹かまぼこ」
阿部蒲鉾店(宮城県仙台市)の「阿部の笹かまぼこ」

笹かまぼこと名付けたのは宮城県仙台市にある阿部蒲鉾店で、現在も同社の看板商品となっている。「阿部の笹かまぼこ」は第65回全国水産加工たべもの展の水産ねり製品部門で農林水産大臣賞を受賞している。

宮城県の笹かまぼこ

現在は宮城県だけでも10社以上の笹かまぼこが存在し、さまざまな魚や具材を用いて各社で特色を出している。デパートなどの量販店だけでなく、豊島区池袋の「宮城ふるさとプラザ」でも数種類が揃う。また、各社でネット通販も行っている。

11月15日「かまぼこの日」

「かまぼこの日」は日本かまぼこ協会(旧:全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会)が昭和58年(1983年)に制定した。日付は平安時代の文献と七五三が由来だという。

東京都文京区大塚 日出優良商店会:栄屋蒲鉾店の手作り蒲鉾

蒲鉾がはじめて文献に登場したのは平安時代の永久3年(1115年)といわれ、年号をふたつに分けて11月15日を記念日とした。11月15日の七五三のお祝いに紅白の蒲鉾を食べる習慣があったことも由来としている。

東京おでんの調理方法

かまぼこの日の「かまぼこ」は板付蒲鉾はもちろん、揚げ蒲鉾やちくわ、なると巻やはんぺんに至るまで、すべての練り物が含まれる。11月15日にはおでんを調理してさまざまな種類の練り物を味わってほしい。

11月13日「チーかまの日」

「チーかまの日」はチーかまを製造販売する台東区上野の丸善が制定し、日本記念日協会が認定した。「チーズの日」の11月11日と「かまぼこの日」の11月15日の間をとって11月13日とした。より多くの人にチーかまを味わってもらうことを目的としている。

東京都台東区上野:丸善「チーかま」

チーかまは丸善の顧問である村上清さんが生み出した。村上さんは開発研究員として働いていたころ、ドイツの文献からチーズ入りソーセージの存在を知る。蒲鉾に応用できないかと試行錯誤を重ねた結果、昭和43年(1968年)に商品化に成功した。2年後には商品名を「おらが幸」から「チーかま」に変更し、スティック状にリニューアルしたという(参考:丸善:「チーかま®」誕生秘話)。

東京都台東区上野:丸善「チーかま」
丸善(台東区上野)の「チーかま」

そのまま食べても美味しいが、温めてとろとろになったチーズを楽しむのもいい。丸善ではクックパッドでチーかまのレシピを紹介しているので、記念日に合わせて調理してみるといいだろう。

丸善はチーかまのほかに魚肉ソーセージの「ホモソーセージ」やレトルトおでんの「別鍋仕込おでん」などヒット商品を次々と生み出している。コンビニやスーパーで手に入るが、ネット通販も利用できる。

おでんや練り物にまつわる記念日

今回紹介した以外にも練り物関連の記念日は存在する。たとえば、なとりが制定した「チーズ鱈の日」(2月23日)、一正蒲鉾の商品である「うな次郎の日」(7月26日)、カネテツデリカフーズが制定したと思われる「ちくわの日」(11月11日)などだ。

おでんや練り物についての記念日を探っていくと、今まで知り得なかった食材にめぐりあうことができる。ネットなどを利用すれば簡単に手に入るので、記念日をきっかけにぜひお取り寄せしてみてほしい。

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