おでんのトマトの調理方法

おでんの出汁と合わさることで、まろやかな酸味と甘みが広がるトマトのおでん種。今回は、温冷ともに美味しいトマトの調理法とトッピングを紹介しよう。

おでんのトマトの調理方法

トマトは約20年前に登場したおでん種だが、居酒屋おでんを中心に多くのお店で提供されている。調理は非常に簡単だが、トッピングのバリエーションが豊富なのであわせて紹介したい。

トマトおでんの発祥

おでんのトマトが登場したのは平成10年(1998年)。おでん屋さんの銀座よしひろ(閉業、東京都中央区銀座4-8-11)が提供するトマトがTVなどで紹介され、全国的に話題になった。大根やじゃがいもなどしか選択肢がなかったおでん種の野菜に、さまざまな種類が加わるきっかけとなった(参考:紀文【おでん】教室 歴史:変化が日常化、平成のおでん)。

東京のおでん種専門店のトマト

葛飾区立石のおでんの丸忠(丸忠かまぼこ店)、港区麻布十番の福島屋がイートインで提供している。また、豊島区池袋の佃忠(池袋)では調理済みのできたておでんで販売している。

東京都葛飾区立石:おでんの丸忠(丸忠かまぼこ店):トマト
葛飾区立石:おでんの丸忠(丸忠かまぼこ店)のトマト

おでんの丸忠(丸忠かまぼこ店)は皮をむいた大玉でドライバジルをのせたもの、福島屋のトマトは大玉で皮付きのもの、佃忠は皮とヘタがついたものとなっている。

東京都豊島区池袋 西武池袋本店:佃忠(池袋)のできたておでん トマト
豊島区池袋:佃忠(池袋)のトマト

揚げ蒲鉾の具材としては杉並区阿佐谷南の蒲重蒲鉾店の「プチトマト」、板橋区中板橋の太洋かまぼこ店でもバジルとプチトマトが入った「とまと丸」を販売している。

蒲重蒲鉾店(杉並区阿佐谷南) おでん種:プチトマト
杉並区阿佐谷南:蒲重蒲鉾店のプチトマト

どれもシンプルだがお店の個性が光り、食べ比べてみると面白い。蒲重蒲鉾店や太洋かまぼこ店の商品は期間限定なので、訪れる前に電話で問い合わせてみるといいだろう。

おでんのトマトの調理法

さて、いよいよおでんのトマトの調理方法を紹介していこうと思う。実際は説明する必要がないほど簡単だ。トマトを湯むきして、おでん汁と一緒に煮るだけでいい。

おでんのトマトの調理方法:おでんトマトのトッピング

トマトにのせるトッピングについては好みでいろいろと試してみるといい。今回の記事では、居酒屋や料亭などで提供されている代表的な6種類を紹介しようと思う。トッピングの記事だけ読みたい場合は、こちらをクリックしてほしい。

トマトのチョイスはお好みで

まずは青果店に訪れて、トマトを選ぼう。トマトはサイズによって大玉トマト、ミディトマト(中玉)、ミニトマト(小玉、プチトマト)に大別されるが、どのサイズでもかまわないので好みで選ぼう。

おでんのトマトの調理方法:大玉トマトとミディトマト

品種は日本で333種が品種登録されており(参考:農林水産省 品種登録ホームページ)、世界では1万種以上あると言われている。品種によって甘味が強いもの、酸味が強いものがあるが、おでんに用いる場合は比較的甘いものが好まれる傾向がある。酸味が強くてもおでん汁によってまろやかになるので、こちらも好みで選ぼう。

おでんのトマトの調理方法:ミディトマト

トマトを主役にせず、ほかのおでん種と同じような立ち位置にしたい場合はミディトマトがおすすめ。とくに、オクラやズッキーニなどの野菜を加える夏の冷やしおでんには向いているように思う。

東京都杉並区阿佐谷南 阿佐谷パールセンター商店街:蒲重蒲鉾店のおでん種

上の写真は昨年の夏、蒲重蒲鉾店のおでん種で冷やしおでんを作ったときのもの。ミディトマトを選択したが、オクラ、ししとう、ペコロス(小玉ねぎ)の大きさに合っているので調和が取れている。

おでんのトマトの調理方法:大玉トマト

大玉トマトの場合は、トマトを主役とした王道のレイアウトになる。トマトの存在が料理全体を華やかにして、食欲もわいてくるだろう。大玉は甘みと酸味のバランスが優れているため、トマト本来の味わいを楽しむこともできる。

東京都北区田端:佃忠(田端)のおでん種で作った冷やしおでん

上の写真は北区田端にある佃忠(田端)のおでん種を使った冷やしおでんだ。大玉トマトの場合、眺めているだけで元気になりそうなレイアウトになる。

小鹿田焼ソノモノ:くれまつさん家のおでん

プチトマトの場合は、串に刺したり彩りのアクセントとして用いると効果的だ。上の写真は豊島区東長崎の小鹿田焼専門店である小鹿田焼ソノモノの店主くれまつさんが調理した串おでんだ。

大きさ以外では、熟している度合いもポイントになる。熟しているほうがおでん汁の味とよく溶け合うが、煮崩れしやすいし、皮を剥くときに表面が崩れやすい。食べるときに崩してスープのように食べたい場合には最適だろう。綺麗に盛り付けたい場合は、あまり熟れすぎていないものを選ぶといい。こちらもどのような料理に仕上げたいのかゴールを明確にすると選びやすくなると思う。

トマトの皮むきから煮るまでのプロセス

トマトを選んだら、いよいよ調理に入っていく。前述のとおり、湯むきをしておでん汁と煮るだけだ。

おでんのトマトの調理方法:トマトの湯むき(十字に切り込みを入れる)

湯むきは簡単で、水を沸騰させた鍋と冷水を入れたボウル、お玉のみ用意すればいい。網じゃくしがあれば、そちらのほうが使いやすい。

まず、トマトのヘタを取り、お尻側に包丁で薄く十字の切り込みを入れる。深く刃を入れると煮崩れたり、十字の切れ込みが目立つのでよく切れる包丁を使うようにしよう。

おでんのトマトの調理方法:トマトの湯むき(熱湯につける)

鍋に水を入れて沸騰させ、トマトをやさしく沈める。トマトが水面から出る場合は、お玉などで軽くお湯をかけてあげよう。皮にシワが出てきたらすぐに取り出すが、お湯に漬ける時間はおおよそ数秒から数十秒程度でじゅうぶんだ。

おでんのトマトの調理方法:トマトの湯むき(冷水に浸し皮を剥く)

冷水を張ったボウルにトマトを移し、皮を慎重にむいていこう。果肉が柔らかい場合は、爪楊枝などで皮の先端をむいていくと傷がつきにくい。

おでんのトマトの調理方法:OXO「ソフトスキンピーラー」

湯むきをせずに、トマトなどの柔らかい皮向けのピーラーを利用してもいい。米国ニューヨークのOXOなど、多くのメーカーが販売している(上写真はOXOのソフトスキンピーラー)。

おでんのトマトの調理方法:トマトの湯むき(皮をむいたトマト)

大玉トマトだけでなく、ミディトマトも同じような要領で湯むきできる。プチトマトは皮の歯触りが気にならないので湯むきしなくてもいい。なお、大玉やミディトマトも煮込めば皮が浮いてくるので、調理時に皮むきせずに、食べるときにむいてもらうようにすれば問題はない。

おでんのトマトの調理方法:おでん汁で煮る

次に、トマトをおでん汁で煮る。中火でひと煮立ちさせたら火を止め、キッチンペーパーで覆って上から汁をかければ味がよく染み込む。おでん汁は一般的に関西系の出汁主体の薄口が合うとされている。

以上で調理は完了だ。ほかのおでん種と一緒に煮るのもありだが、トマトの味や酸味が鍋全体に広がってしまうのを避けたければ個別に煮ることをおすすめする。

おでんのトマトのトッピング

おでん汁で煮たトマトはそれだけでじゅうぶん美味しいが、トッピングを加えるとより美味しく味わえる。居酒屋や料亭、ネットのレシピなどにはさまざまな種類のトッピングがあるが、代表的なものを紹介していこう。

おでんのトマトの調理方法:おでんトマトのトッピング各種

上写真の左上はチーズと黒胡椒、左中央はドライバジル、左下はジェノベーゼソース(バジルペースト)、右上はとろろ昆布と青ネギ、右中央は大葉と生姜とミョウガ、右下は大葉。

おでんのトマトの調理方法:大玉トマトとミディトマト

それぞれの材料は以下となる。
チーズと黒胡椒:とろけるチーズ(シート状)と黒胡椒
ドライバジル:瓶詰めドライバジル
ジェノベーゼソース:バジルの葉、ニンニク、松の実、アンチョビ、粉チーズ、オリーブオイル(もしくは太白ごま油など香りが控えめなもの)
とろろ昆布と青ネギ:とろろ昆布と刻んだ青ネギ
大葉と生姜とミョウガ:それぞれを千切りしたもの
大葉:千切りしたもの

おでんのトマトの調理方法:ジェノベーゼソース

ほとんどは作り方を説明する必要がないものばかりで、手軽に挑戦できる。ジェノベーゼソースは市販のものを利用してもいいが、家庭菜園などで生のバジルが手に入るなら手作りに挑戦してみたい。

まず、熱でバジルの風味を消さないためにフードプロセッサーやミキサーを冷やしておく。ニンニク1/4片と松の実30g、オリーブオイル50mlをフードプロセッサーに入れて細かくする。アンチョビ20g、茎を取り除いたバジル60gとオリーブオイル50mlを少しずつ加えて攪拌し、最後に適量の粉チーズ加えて完成。上写真は粒が大きめだが、ペースト状になるのが理想だ。作り方はこの記事よりも「ジェノベーゼソース 作り方」などで検索したほうが、本格的なレシピを知ることができる。

おでんのトマトの調理方法:おでんトマトのトッピング(ジェノベーゼ、ドライバジル、黒胡椒チーズ)

完成したものが上の写真。まず、西洋系のトッピング3種類。バジルとトマトはイタリアンのゴールデンコンビなので、美味しくないわけがない。おでん汁によって柔らかくなったトマトの酸味に、バジルの爽やかな芳香がとてもよく合う。油がおでん汁と混じるのを避けたければ、ドライバジルを選択しよう。チーズは主張が強すぎることがあるので、さまざまな種類を試したり、細かく削ってみるなど工夫をしてみるといいだろう。

おでんのトマトの調理方法:おでんトマトのトッピング(大葉、大葉・生姜・ミョウガ、とろろ昆布・青ネギ)

こちらは和食系トッピング3種類。大葉、生姜、ミョウガは香りもよく安定感のある味わいになる。とろろ昆布はトマトとは異なる酸味と、味わい深い旨味、そして舌にねっとりと絡みつく食感がトマトをさらに美味しくさせる。あくまで個人的な好みだが、ジェノベーゼソースととろろ昆布はトマトのおでんによくマッチしていると思う。

おでんのトマトの調理方法:奥井海生堂とろろ昆布

今回使用したとろろ昆布は明治4年(1871年)創業、福井県敦賀市の奥井海生堂のものだ。北海道礼文島と利尻島の利尻昆布、青森産の真昆布を使用したもので、まろやかで味わい深いものとなっている。

ちなみに、撮影のレイアウトや作った後に完食することを念頭においてミディトマトにトッピングしてみたが、さまざまな味を楽しむためのアペロとしても秀逸だと感じた。自身の創意工夫を凝らしたトッピングを試してもらい、お酒をかたむけながら「これが美味しい、これは好み」などと会話を楽しみながら料理の腕を磨いていく新たなおでん料理の手法になるのではと思った。

おでんはレガシーなこだわりが支配的な料理のため、トマトをおでんに加えることに抵抗がある方も多いと思う。しかし、味わってみると意外にマッチすると実感できるはずだ。手軽に調理できるので、ぜひ一度挑戦してみてほしい。

丸忠かまぼこ店の基本情報

丸忠かまぼこ店(おでんの丸忠)
〒124-0012 東京都葛飾区立石1-19-2
03-3696-6788
定休日:木曜日・第3水曜日
営業時間:11:00~19:00(飲み屋のおでんの丸忠は15:00~22:00)

福島屋の基本情報

福島屋
〒106-0045 東京都港区麻布十番2-1-1
03-3451-6464
定休日:火
営業時間:11:00~21:00(ラストオーダー)
福島屋のWebサイト(麻布十番商店街のWebサイト)

佃忠(池袋)の基本情報

佃忠
〒171-8569 東京都豊島区南池袋1-28-1
西武池袋本店地下1階:西武食品館「おかず市場」内
03-3981-0111
定休日:不定休
営業時間:10:00~21:00(月〜土)、10:00〜20:00(日・祝休日)
西武池袋本店地下1階フロアガイド

蒲重蒲鉾店の基本情報

蒲重蒲鉾店
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-47-10
03-3311-3543
定休日:水曜
営業時間:9:00~19:30
蒲重蒲鉾店のウェブサイト(阿佐谷パールセンター)

太洋かまぼこ店の基本情報

太洋かまぼこ店
〒173-0016 東京都板橋区中板橋15-14
03-3962-5473
定休日:日曜日
営業時間:10:30~19:00すぎ
太洋かまぼこ店のウェブサイト
太洋かまぼこ店のFacebook

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