うずら玉子はおでんに欠かせない食材だ。魚のすり身を巻いたうずら巻(巣ごもり)で味わってもいいし、そのまま串に刺して食べてもいい。今回は、おでんのうずら玉子の調理方法とおすすめの水煮玉子を紹介する。
おでんにおけるうずら玉子は鶏卵に比べてメジャーではないが、人気のおでん種のひとつだ。魚のすり身との相性は抜群だし、ひとくちで食べられるため黄身がおでん汁に混ざることもない。見た目もそこはかとなく上品で、おでん鍋に加えることでクオリティがぐっとアップするような気がする。
うずらのおでん種で有名なのがうずら巻(巣ごもり)だ。玉子の上部分だけが顔を出し、とても愛らしいルックスをしている。多くのおでん種専門店で扱っているが、自宅でうずら玉子を調理するのであれば、そのまま煮るのが手っ取り早い。うずら玉子の特性を知って、美味しく調理してみよう。
鶏卵よりも栄養価が高い成分が多いうずら玉子
玉子は完全栄養食といわれているが、うずら玉子は鶏卵よりも栄養価が高い成分が多い。同量で比較した場合、ビタミンB12は4.5倍、B1は2.3倍、B2は2倍であり、ビタミンAは1.6倍、葉酸は2倍、DHAは3.3倍(文部科学省 日本食品標準成分表2020年版(八訂)を基に計算)。もちろんタンパク質も豊富だ。
ビタミンB12は造血作用、脳神経の機能維持、脂質やタンパク質の代謝を促し、ビタミンB群はインフルエンザや風邪の予防に役立つ。ビタミンAは皮膚や粘膜を健全な状態に保ち、葉酸はビタミンB12とともに血をつくり貧血を防ぐだけでなく、心筋梗塞や動脈硬化のリスクを低減するといわれている。
カロリーやコレステロールも高いので大量に食べすぎないよう気をつけたいところだが、うずら玉子は8個位が鶏卵の1個分なので「ちょっと食べすぎたかな」というくらいでも問題はなさそうだ。
おでんとの相性はとてもよく、さまざまな種類のおでん種から栄養素をバランスよく補うことができる。たとえば、魚のすり身からは低カロリーで良質なDHA、結び昆布のミネラル系栄養素、こんにゃくや白滝の食物繊維などだ。大根やロールキャベツなど野菜を加えると、なおいいだろう。
おでんのうずら玉子の美味しい調理方法を探る
うずら玉子は栄養満点であることをご理解いただけたと思うが、実は加熱しすぎるとビタミンB群の栄養価が減少してしまう。しかし、おでんは煮る料理であるので加熱は必須だ。では、どのくらいまで煮たら栄養素を下げすぎずに美味しく食べられるのだろうか。
味噌漉しを3つ用意して、それぞれに水煮のうずら玉子を投入し、おでん汁で10分、25分、45分間煮て味比べをしてみた。栄養素を正確に測る術はないので「煮る時間が短ければ短いほど栄養素がある」と仮定する。
おでん汁はおでん種専門店の調理済みおでんの汁を使用した。ほかのおでん種の出汁がぎっしり詰まった極上のおでん汁なので、きっと美味しくなるだろう。
10分、25分、45分間煮たものを左から順に並べてみた。表面の色の染まり具合の微妙な違いがわかるだろうか。黄身は10分のものだけ縁がくすんでいるが、あまり変化がないように見える。
試食した結論は、正直「どれもとても美味しい」。ただし、45分のものは少々おでん汁の味が強く感じられ、黄身のまろやかさが若干減少しているように感じた。鶏卵の場合はおでん鍋に最初から投入するので45分ほど煮ても問題ないが、うずら玉子は小さいのですぐに味が染み込み、熱も通りやすい。個人的には黄身のクリーミーさがしっかりと伝わる10分のものが好みだ。
火をとめてからしばらく置いておけば、加熱時間は短いままおでん汁を染み込ませることができる。染みすぎてしょっぱくなるのであれば、頃合いを見てほかのおでん種の上に避難させておいてもいい。
味玉を作る要領でつけ置きにしてもいいだろう。キッチンペーパーに包んだうずら玉子とおでん汁をフリーザーバッグに入れて封を閉じ、冷蔵庫に1時間ほど入れておく。ほんのりと汁が染みて黄身のまろやかさも残るが、濃い汁を使ったり、何時間も放置するとしょっぱくなるので注意が必要だ。
うずら玉子を串に刺す工夫も紹介しておこう。
煮る前に串に刺すと、煮ているうちに串から外れたり、串の先端で他のおでん種を傷つけてしまう恐れがある。うずら玉子を煮た後に刺すと失敗を防げるはずだ。
おすすめのうずら玉子「河北うずらのフレッシュうずら水煮玉子」
最後に、一味違う美味しいうずら玉子をおすすめしたい。河北うずらのフレッシュうずら水煮玉子だ。
封を開けて、そのまま食べると違いがよくわかる。茹でた玉子の自然な香り、噛むと歯が白身にすっと入る素直な食感、まろやかでクリーミーな黄身の美味しさ。
一般的に、殻むきの工程で玉子が割れるのを防ぐために凝固剤を加えて白身を固くするが、河北うずらでは凝固剤を使用せず、食塩のみを加えてボイルしている。このため自然な食感が保つことができるのだ。
さらに、独自の無菌水を使用した製法により、滅菌処理(加熱)を省くことに成功している。加熱の工程が少ないので、玉子本来の風味や食感をキープできる。また、国産のうずら玉子を使用していたり、袋に封入する際には食品防腐剤や酸化防止剤を添加せず、無菌水、アルコール(1%)、食塩(0.1%)/クエン酸(0.001%)のみを使用しているため、食の安全に気をつかう人にも安心だ。
消費期限も製造日から25日間と日持ちがきく。衛生管理を徹底し、袋詰めの時点で雑菌を混入させない製造手法と低温管理の賜物だ。
東京おでんだねがここまで詳細に紹介できるのは、河北うずらに直接取材を行ったからだ。所在地である大分県日田市は筆者の好きな小鹿田焼のふるさとだし、これだけ美味しいうずら玉子に出会ったのははじめての経験だった。ぜひ東京のおでん種専門店でも取り扱ってほしいと思っている。
前述のようにうずら玉子は加熱すると栄養素が減ってしまうが、加熱工程の少ない河北うずらの玉子であれば栄養価をキープしやすいし、フレッシュな玉子の味が楽しめる。また、水煮なので下拵え不要で簡単だ。
Amazonか、楽天市場「おんせん県おおいた オンラインショップ」で購入できる。最少単位は30個入り3袋(楽天)なので少々多めだが、お弁当に使ったり、酒のつまみにしたり、多用途に活用できる。肉類との相性も抜群なので、牛肉と玉ねぎの合わせ煮や豚の角煮と一緒に煮てもいい。もちろん、王道の串揚げにしてもいい。ふくよかな黄身の味がはっきりと残っているため、玉子のみでも玉ねぎを挟んでも美味しい。
河北うずらの代表である河北隆徳さんは、鳥好きが高じてうずらの養育を始め、7羽から1万羽の規模まで成長させた。2000年からは加工事業のみに絞り、現在も製造を続けている。美味しく安全な水煮うずら玉子の製造に真摯に向き合う姿勢は、東京のおでん種やさんの職人に通じる潔さを感じる。プロフェッショナルが作り出すうずら玉子の美味しさを、おでんとともにぜひ実際に味わってみてほしい。
河北うずらの基本情報
河北うずら
〒879-4122 大分県日田市天瀬町合田2275-1
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