こんにゃく専門店の関根食品

墨田区横川にある関根食品は、こんにゃくや白滝、ちくわぶ、寒天、ところてんなどの製造を行っており、卸だけでなく工場で小売販売もしている。今回は関根食品のおでん食材を紹介しよう。

東京都墨田区横川:関根食品のおでん

関根食品は群馬県下仁田産の蒟蒻芋の特等粉をはじめとした厳選素材を用い、創業当時から受け継がれた製造方法にこだわり続けている。関根食品のちくわぶやこんにゃくは、江戸川区の桧山水産蒲清(かませい)などのおでん種専門店でも販売している。

素材と製法にこだわる関根食品

東京スカイツリーがそびえ立つ墨田区押上周辺は、並木食品(墨田区本所3-25-6)や上原本店(墨田区押上2-9-4)など、こんにゃくを製造する業者が集まっており、どちらも工場直売を行っている。

東京都墨田区横川:関根食品(外観)

今回紹介する関根食品もそのひとつだ。飲食店や量販店などに卸しているが、一般客向けに直売も行っている。工場(こうば)は押上駅(スカイツリー前)から四ツ目通り(都道465号線)を徒歩6分ほど南下し、春日通りを越えてすぐの場所にある。錦糸町駅からも徒歩8分ほどの距離だ。

東京都墨田区横川:関根食品(外観)

建物の外観は町工場そのもので少々入りづらい雰囲気が漂うが、扉には商品写真と値段、説明書きの貼り紙があるのでじっくり吟味できる。商品を購入する際は扉から中に入り、商品名を伝えると会計してくれる。時期によって扉のまえに商品が並べられることもあるようだ。

東京都墨田区横川:関根食品(外観)

「小売致します」という文字の下に生芋こんにゃくや玉こんにゃく、こんにゃく田楽となる串おでんなど、さまざまな種類のこんにゃく製品が紹介されている。関根食品のWebサイトにはこのほかにもたくさん商品が掲載されているので、お目当てのものがある場合は小売しているか直接聞いてみるといいだろう。

東京都墨田区横川:関根食品(外観)

商品のなかにちくわぶを発見。ちくわぶは東京を代表するローカル食材だが、都内で製造する業者は減り続けている。外から仕入れる業者が増えるなか、関根食品では自社で製造を続けているそうだ。

東京都墨田区横川:関根食品(外観)

中に入るまえに建物の裏にまわってみた。コンテナがいくつも積み上げられており、ここから工場でつくられた商品が出荷されていくようだ。

東京都墨田区横川:関根食品(内観)

正面の扉をくぐると、作りたての白滝とこんにゃくが目の前に現れる。ここで職人の方に声をかけ、商品名と個数を伝えよう。みなさん手を休めることなくお忙しそうにしていたが、接客はとても丁寧だった。

東京都墨田区横川:関根食品(内観)

買い物を終えたあと、おそらく二代目店主と思われる男性に声をかけていただいたのでお話をうかがうことができた。関根商店のWebサイトでは昭和35年(1960年)創業と記載されているが、大正時代から続いているのだという。

店主のお父さまはかつて機械技師(中島飛行機にお勤めだったそうだ)であり、店主自身も電気技師のご経験があったので、こんにゃくの製造機はほとんど自作なのだそうだ。そのため、ほかの業者には真似のできない製造方法を実現し、優れた味の商品をつくり出せるのだという。

東京都墨田区横川:関根食品(外観)

過去には帝国ホテルの会報誌に掲載されるなど、関根食品の味は高い評価を受けている。製造方法だけでなく、群馬県下仁田産の特等蒟蒻粉を用いるなど原料にもこだわっているが、店主いわく「こんにゃくの本当の美味しさを伝えたい」、「お客さんに喜んでもらいたい」という思いが経営の原動力となっているという。

関根食品の商品でおでんをつくる

関根食品ではおでんにして楽しめる商品を中心に5種類ほど手に入れた。どれも原料や製法にこだわった、自慢の品々だ。

東京都墨田区横川:関根食品の商品

左から、串おでん、生芋こんにゃく、ちくわぶ、小巻き白滝、さしみこんにゃく。なお、さしみこんにゃくは店主とお話したときに「他店との違いがわかるから」とおまけしていただいたものだ。

東京都墨田区横川:関根食品のちくわぶ

まず、マニアとして気になるちくわぶを見ていこう。関根食品のちくわぶは真空パックでの販売となるが、おでん種専門店の蒲清では生のもの(通称ハダカ)も販売していた。

東京都墨田区横川:関根食品のちくわぶ

特殊製法で仕上げることにより、つやがよく、やわらかい歯ざわりを実現しているそうだ。角の数はもっとも一般的な8つとなっている。

東京都墨田区横川:関根食品のちくわぶ

下茹でを行い、おでん汁でじっくり煮てみた。ふんわり、もちもちとした食感になったが型崩れせず、しっかり形状を保っている。ちくわぶ特有の小麦の風味が感じられ、味もよく染みて美味しい。

東京都墨田区横川:関根食品の生芋こんにゃく

生芋こんにゃくは良質な群馬県産の生芋を100%使用している。そのため、色や固さに若干のムラがあるそうだが、こんにゃく本来の歯触りが楽しめる。

東京都墨田区横川:関根食品の生芋こんにゃく

おでんとして煮ると、しっかり汁が染み込んで美味しい。匂いや苦味はほとんど気にならなかったが、関根食品ではより食べやすくした蒟蒻粉100%の別商品も揃えている。

東京都墨田区横川:関根食品の手巻きしらたき

手巻きしらたきは一本一本が長いため、自分で巻きたいときに重宝する。男性の握りこぶし以上あるボリュームのため、量が多い場合は半分ほどの量の「小巻しらたき」という商品を選択してもいいだろう。

東京都墨田区横川:関根食品の手巻きしらたき

白滝は癖がなく、汁をたっぷり抱き込んでくれるため、おでんの具材にぴったりだ。太さは標準的で、おでん以外のさまざまな料理にも活用できそうだ。なお、白滝は下仁田産特等蒟蒻粉を100%使用したもののほかに群馬県産の在来種であるこんにゃく芋「和玉」の三年物を使用したものがある。

東京都墨田区横川:関根食品のさしみこんにゃく

さしみこんにゃくは二代目店主の自慢の一品だ。冷やしてもいいが、常温で味わうと風味や食感、喉ごしをより楽しめるのだという。関根食品独自の製法により、なめらかな仕上がりを実現しているそうだ。

東京都墨田区横川:関根食品のさしみこんにゃく

袋から出して軽く水洗いしたら、ふきんやキッチンペーパーに包んで絞り、しっかり水気を抜いてから味わおう。口に含むと青のりの爽やかな香りがふわっと広がり、つるりとしつつもやさしい食感が心地いい。

東京都墨田区横川:関根食品の串おでん

串おでんは、いわゆるこんにゃく田楽だ。串に刺さったこんにゃくと味噌だれがセットになっており、湯を沸かした鍋で袋のまま数分温めればすぐに食べられる。

東京都墨田区横川:関根食品の串おでん

こちらも下仁田産特等蒟蒻粉を100%使用しており、臭みや苦味はほとんどなく食べやすい。こんにゃくには隠し包丁が入れられているため、甘辛い味噌だれがしっかりと絡む。

東京都墨田区横川:関根食品のおでん

関根食品は原料や製造方法に強いこだわりを持ち、墨田区横川の地で長年営業を続けている。工場では職人の思いや息吹を直接感じることができ、食材に対する詳しい知識も得られるので、ぜひ出かけて購入されてみてはいかがだろうか。

関根食品の基本情報

関根食品
〒130-0003 東京都墨田区横川4-7-1
03-3623-0384
定休日:日曜、祝日
営業時間:8:00~17:00
関根食品のWebサイト

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