佃治(つくはる)のおでん種

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:佃治(つくはる)のおでん種

佃治(つくはる)は、東京都葛飾区堀切の二葉商店会にあるおでん種とお惣菜の専門店だ。最寄りの駅から約1キロの場所に位置する地元に根づいたお店で、おでん種やできたておでんの店頭販売のほかに、豊富な種類のお惣菜も販売している。

増田屋蒲鉾店(堀切)のすぐ近く、二葉商店会のおでん種とお惣菜の専門店

佃治(つくはる)のある二葉商店会は、京成本線の堀切菖蒲園駅から徒歩15分、JR常磐線・東京メトロ千代田線の綾瀬駅から徒歩15分、どちらからも1キロほど離れた住宅地にある。

以前紹介した増田屋蒲鉾店(堀切)もすぐ近くにあり、小さな商店街ながら2つのおでん種専門店がある珍しいロケーションだ。
現在は数店舗が営業するのみだが、増田屋蒲鉾店(堀切)のおかみさんによると、かつての二葉商店会は80軒以上のお店が並び買物客でごったがえしていたそうだ。

お惣菜も売っているおでん種専門店、佃治(つくはる)

二葉商店会のもっともお店が集まるエリアに佃治(つくはる)はある。おでん種のほかにお惣菜も売っている便利なお店だ。

佃治(つくはる)では店内での撮影は禁止しているそうなので、葛飾区のローカルラジオ局のかつしかFMが運営する「かつしかFM レポート日誌」で雰囲気を感じていただければと思う。夕方になると、市場で見つけてきた目玉商品を日替わりのお惣菜として並べるそうだ。

手づくりした揚げ物のおでん種は13種類ほどが並び、ちくわや魚のすじなど揚げ物以外のおでん種は仕入れているという。ちなみに、はんぺんは銚子の嘉平屋、白滝は兵庫の神戸物産の手むすびこんにゃくだった。
調理済みのできたておでんも販売しており、お惣菜と一緒に買えば手軽に家で楽しめそうだ。

店主は築地の佃権で働いたあと、堀切に佃治(つくはる)を開業した。
近くにある増田屋蒲鉾店(堀切)のあとにできたようなので、増田屋の開業した昭和44年(1969年)よりも後と思われる。

佃治(つくはる)でおでん種を購入したあと、すぐとなりにある埼玉屋食品(東京都葛飾区堀切7-13-2)という豆腐店でがんもどきを購入した。

がんもどきはとても大きなサイズのもののほかに、銀杏が入ったものなど種類が豊富だった。5個売りの小がんもどきがおでんに手頃だったので購入した。黒ごま、人参、切り昆布とスタンダードな具材だが、豆腐の味がしっかりしていてとても美味しかった。

モチモチの皮が美味しい堀切菖蒲園の哈爾濱餃子

さて、堀切に行ったのなら立ち寄りたいお店がある。京成本線の堀切菖蒲園駅のすぐ近くにある哈爾濱餃子(はるびんぎょうざ)だ。二葉商店会から1キロほど離れているが、歩いていく価値はある。

哈爾濱餃子(東京都葛飾区堀切3-7-11)は5席しかない中華料理店。お店は中国ハルビン出身のご夫婦が経営されている。堀切菖蒲園のグルメを語るうえで外せない名店だ。

中国の餃子といえば東北地方の水餃子が有名で、筆者が大連に駐在していたときもよく食べた。そんな話をすると「大連は綺麗な街だよね、ハルビンも綺麗だよ」とご夫婦はにこやかに答えてくれた。

お店で楽しむのもいいが、哈爾濱餃子はお持ち帰りができる。三鮮水餃子、トマト水餃子など水餃子が豊富だが、小籠包や焼売、ワンタンまである。おすすめのパクチー(香菜)水餃子も美味しそうだ。

いろいろ悩んだあげく、三鮮水餃子、トマト水餃子を購入した。皮のふぞろいな手づくり感が本場の水餃子を思い出させる。これは絶対に美味しい。

まずは三鮮水餃子だ。三鮮は主に野菜、海鮮、肉が入る料理のことで、中国では一般的だが素材も多いので値段もすこしお高め。皮のモチモチ感もさることながら、餡のうまみがすごい。

トマト水餃子は「なにもつけないほうが美味しい」とおかみさんが言っていたが、たしかにトマトの酸味がきっちり伝わって、これまた美味しい。これを毎日食べられる堀切の人たちは本当に幸せだと思う。

揚げ色が美しい佃治(つくはる)のおでん種

佃治(つくはる)では9種類を購入した。きつね色に揚がった練り物が美しく、正統派のおでん種の印象だ。

時計回りに12時から、いかよせ、ひじきちぎり、かき揚げ、揚げボール、いんげん、ウインナー、牛ぼう巻、しょうが、いわし団子(中央)。

大根やちくわぶ、玉子などを下茹でしてから練り物のおでん種を投入する。最近、練り物以外は常備しているのでずいぶん手際がよくなった。まあ、50週近くおでんつくっているんだもんなぁ。

佃治(つくはる)のおでん種は発色がよく美しい。さすが佃権で修行された方が作っているだけあり、商品としての安定感を感じる。それでは、ひとつひとつ食べてみよう。

揚げボールは玉ねぎを混ぜたスタンダードなものだが、練り物本来の味が伝わる優れたおでん種だ。佃治(つくはる)のすり身はふわふわでありながらきちんと弾力を残し、味は魚と調味料の配分がちょうどよい感じだ。

かき揚げは紅生姜、人参、もやし、長ネギ、桜えび、インゲンのほかに、刻んだ玉子の黄身が入っている。これだけの種類が入っているのもめずらしいし、玉子の黄身が入っているのも面白い。かじる箇所によって風味が変わり、とてもぜいたくな気分になる。

ひじきちぎりはひじき、紅生姜、人参、インゲンが入っている。ひじきは味付けしてあるのか、ほかの具材よりも主張がある。

いわし団子といえば一般的につみれに長ネギなどを混ぜたものを指すが、佃治(つくはる)では魚のすり身にイワシが練りこんである。つみれのイワシより、もっと味と風味が強い。佃治(つくはる)のなかでイチオシかもしれない。

一見、王道見えて個性的な佃治(つくはる)のおでん種。お次は平たいものと巻き物系を中心に味わってみたいと思う。

いんげんは何本かのインゲンを束ねたおでん種。ボリューム感もすごいが、彩りも美しい。断面がお花のようになっているところもポイント。煮てフニャッとなった歯ざわりもよく、インゲン本来の味がしっかり出ていて美味しい。

牛ぼう巻はスタンダードな形状ながら、ごぼうが通常の2倍はあろうかという厚み。ひとくち噛めばごぼうの風味が口中に広がる。

ウインナーも見慣れた形状ながら、包み込むふわふわの魚のすり身がウインナーの塩気をまろやかにしてくれる最高の組み合わせだ。

いかよせは細切りにしたイカのゲソがたくさん入ったおでん種。細かく刻んであるのでかみ切りやすく、イカの風味もふわっと広がる。

しょうがは紅生姜がふんだんに混ぜ込まれている。紅色を際立たせるために魚のすり身の揚げ色を薄くするなど、佃治(つくはる)のこだわりを感じさせる逸品だ。辛いくらいにたくさん入っていて、紅生姜好きにはおすすめだ。

佃治(つくはる)の情報は少なく、ネットで調べるとかつしかFMや葛飾区の産業振興事業体のテクノプラザかつしかくらいにしか掲載されていなかった。これはおそらく、地元のお客さんを第一に考え、一時の話題で常連客の迷惑にならないことを配慮しているからなのかもしれない。おでん種もまごころこもったあたたかい味わいだった。これからも、地元の堀切の人たちのために美味しいおでん種を届けてほしい。

佃治(つくはる)の基本情報

佃治(つくはる)
〒124-0006 東京都葛飾区堀切7-13-4
03-3690-7438
定休日:日曜・祝日の月曜
営業時間:10:00~19:00

投稿者: Tokyo Odendane

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