川口屋のちくわぶ

川口屋は北区赤羽の志茂にあるちくわぶ専門店だ。ちくわぶだけでなく、白滝やところてんなども製造、販売している。

川口屋(北区)ちくわぶ(スタンダード)

川口屋は1932年に開業、80年以上続く老舗中の老舗だ。本社工場と販売店がある志茂(志茂平和通り商店街)は赤羽の繁華街から少し離れた場所なのだが、荒川からほど近いこの一帯はおでん文化が根付いていて、ちくわぶも一般的な食材として認知されている。私の家でもちくわぶは欠かせない一品で、いちばんの好物でもある。

ちくわぶ愛を満たす3種類のラインナップ

川口屋(北区)

おでんやちくわぶをこよなく愛する人々に向けて、川口屋は用途に応じた3種類のちくわぶを用意している。ほどよい柔らかさで扱いやすい「スタンダード(レギュラー)」、北海道産の小麦を100%使った「内麦(北海道産小麦100%使用ちくわぶ)」、強いコシを持つ「おでん屋仕様(おでん屋さんのちくわぶ)」があり、使用する小麦の性格を生かして使い分けができるようになっている。また、こだわりは小麦だけでなく、水は秩父山系の天然湧水、塩は石垣島の自然海塩を使用する徹底ぶりだ。

川口屋(北区)

川口屋のウェブサイトによると、グルテンを添加せずに職人の「練り」と「巻き付け」と「伸ばし」の技術のみでコシを作り出しているそうだ。日々変化する環境を見極めながら、小麦と塩と水の配合を変えて練り込んで、骨董級の巻き機で煮崩れしない構造を維持しながら巻き付けていく。茹でて硬くなったちくわぶに水をじっくり吸わせる「伸ばし」という熟成過程を経て、殺菌ボイルしたものがようやく商品として出荷される。全ての工程においてこだわりが感じられるので、ぜひ川口屋の製法ページやちくわぶ料理研究家である丸山晶代さんのレポートをご覧いただきたい。

他とは一線を画する超(スーパー)ちくわぶ

川口屋(北区)ちくわぶ(スタンダード)と小結白滝

さて、おでん好きならば「おでん屋仕様」のちくわぶを試してみたいものだが、今回は初紹介ということもあり「スタンダード」をチョイスした。また、白滝も川口屋のものなので一緒に購入した。見た目は他のちくわぶとあまり変わらないようだが、一体何が違うのであろうか。

川口屋(北区)ちくわぶ

その答えは食べてみるとすぐに分かった。下茹ではしたものの、じっくり煮込んで一晩寝かせたわけでもないのにとても柔らかい。そして、びっくりするくらいもちもちとしている。おでん汁もよく染み込んでいるし、風味も良い。他のちくわぶとは一線を画するものだ。「これはただのちくわぶではない、超(スーパー)ちくわぶだ」と唸ってしまった。こうなると、もう少し柔らかいという「内麦」や強いコシを持つ「おでん屋仕様」も試してみたくなる。

川口屋(北区)ちくわぶ

今年(2018年)9月には阿部善商店と川口屋が共同開発した「赤羽川口屋謹製 東京ちくわぶ」という商品が百貨店や高級スーパーで発売されるというニュースを見つけた。ラベルには前述の丸山晶代さんのちくわぶレシピQRコードが印刷されているそうで、なかなか面白い試みだ。子どもの頃からちくわぶに親しんできた私にとっても、より多くの人にちくわぶを味を知ってもらいたいと思う。とりわけ川口屋のちくわぶであるならなおさらだ。

ちくわぶ 川口屋の基本情報

川口屋
〒115-0042 東京都北区志茂2-57-1
03-3901-0685
定休日:日祝
営業時間:8:30〜18:00(平日)、12:00〜17:00(土)
川口屋のウェブサイト

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