増田屋蒲鉾店(庚申塚)のおでん種

増田屋蒲鉾店は、西巣鴨の庚申塚商栄会にあるおでん種やさんだ。都電の庚申塚駅にほど近く、その場で調理したおでんも食べられる。

本記事の2年後に再訪した記事「魚河岸にルーツを持つ増田屋蒲鉾店(庚申塚)」もあるので、あわせてご覧いただきたい。

都電荒川線(豊島区 庚申塚駅)

巣鴨から板橋まで数多くの商店街が続いていることでも有名な旧中山道。色々と見所はあるのだが、やはり一番有名なのは「お婆ちゃんの原宿」と言われる地蔵通り商店街だろう。都電(都電荒川線)の庚申塚駅からすぐにアクセスできるのだが、今回ご紹介する増田屋蒲鉾店は、庚申塚駅を降りて地蔵通り商店街の反対側にある。

戦後まもなく築地魚河岸の暖簾分けで創業

地蔵通り商店街・庚申塚商栄会(豊島区)

増田屋蒲鉾店は庚申塚商栄会という商店街に所属している。この商店街に軒を連ねるお店はどれも歴史がありそうで、建物や看板など味わい深い。地元の人たちも仲が良さそうで、店の前で談笑する光景がよく見られる。増田屋蒲鉾店も歴史は古く、戦後まもなく築地魚河岸の暖簾分けとして始めたそうだ。都内のおでん種やさんを調べてみると「増田屋」という名前が多いのだが、それらのお店も同じところの暖簾分けなのだろうか。

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚)

庚申塚駅から歩いて2、3分すると、緑色のお店が見えてくる。お店の左手では、出来たてのおでんを売っている。見たところ、おでん種よりもこの出来たておでんを求めてくるお客さんが多いようだ。たしかに増田屋蒲鉾店でおでんをつまんでから、地蔵通り商店街をぶらぶらするのは素敵な散歩プランなのではないかと思う。

お値打ち価格の豊富なおでん種

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚)

出来たてのおでんは種類も豊富だ。脇に貼ってあるおでん価格表を見ると、コンニャク、竹わぶ、玉子、サツマ揚、はんぺん、スジ、竹輪、ガンモなど28種類あった。出汁がよくしみていそうで食欲をそそる。単品だけでなく、おでん汁ごと袋に入ったセット(550円)も売っている。独り暮らしで極上のおでんで一杯やりたい時は、このセットがおすすめだ。

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚)

お店のカウンターまで入ると立派な木製の看板が目をひく。大きく書かれた「増田屋」の下にはたくさんの屋号が並んでいた。私の調査リストにあるおでん種やさんの名前もいくつか並んでいて興味は尽きない。きっと今はもう存在しないお店も存在するのだろう。なんとも惜しいものだ。

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚)

冷蔵ショーケースには下足巻、ショーガ入、揚ボール、ギョウザ巻など、定番からオリジナルのものまで20種類前後のおでん種が並んでいた。どれも驚くほど良心的な値段だ。「3枚いくら」というような表示もあるが、ばら売りもしてくれる。余談だが、豊富な種類のおでん種を前にすると、ついつい焦ってケースを行ったり来たりしてしまうのだが、お店の人のことも考えて上から順番にオーダーするようにしたい。

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚)

ショーケースに向かって左手が練り物で、右手がちくわぶやすじ、フランク、こんにゃくなどが売られている。すじは魚すじ(半分売りもOK)と牛すじがあり、魚すじは銚子の糸川商店のものだ。こんにゃくや白滝は向島の柳澤商店、おでん汁はおなじみチヨダのものだ。

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚) おでん種

全種類食べたいのをグッとこらえて選んだのが6種類。12時から時計回りで利休揚、サツマ揚、カレーボール、イカボール、ウズラ卵巻、がんも。この他に魚すじとちくわぶ、結び昆布も購入。さらに大根と玉子、白滝を加えて、いざ調理。

肉厚がんもが幸福感を満たしてくれる

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚) おでん

大根、玉子、ちくわぶと魚すじを下茹でして、練り物は油抜きをする。今回は時間に余裕があったので前の日から煮込んだ。グツグツというよりはコトコト煮込んで一旦冷ます。これを何度か繰り返すとよく味がしみる。

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚) おでん

出来上がりがこちら。今回は具だくさんで鍋がぎゅうぎゅうだ。利休揚は半分に切ったのでおとなしくなったが、がんもの存在感が半端ない。味がよくしみていそうだ。
増田屋蒲鉾店のおでん種は値段が良心的なわりに大きなものが多い。2000円も払えば、家族で大満足のおでんが楽しめるに違いない。
がんもはその最たるもので、肉厚の食感が幸福感を満たしてくれる。ふかふかとしながらも、みっちりとした密度があり、おでん汁とよくマッチしている。利休揚もハンカチタオル並みの大きさで、1枚140円というお手頃価格。ほんのり野菜の風味が効いていて美味しい。

増田屋蒲鉾店(豊島区 庚申塚) おでん

ほとんどが手づくりなのだそうだが、たしかにお店の奥に調理器具がたくさん並んでいたのを確認できた。手づくりならではの柔らかすぎないほどよい食感が下町のおでんといった感じで、白いごはんによく合う。
増田屋蒲鉾店では地方発送もしているそうで、庚申塚商栄会のウェブサイトでおでん種を選ぶことができる。伝統の味を楽しみたいならぜひトライするべきだ。

増田屋蒲鉾店(庚申塚)の基本情報

増田屋蒲鉾店(庚申塚)
〒170-0001 東京都豊島区西巣鴨3-9-3
03-3918-1674
定休日:日曜日
営業時間:10:00〜19:30
増田屋蒲鉾店(庚申塚)のウェブサイト

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