おでんの〆風うどんとおでんの〆風ラーメン

今回はおでんとコラボレーションした少々風変わりなカップ麺、「おでんの〆風うどん」と「おでんの〆風ラーメン」を紹介しよう。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん、おでんの〆風ラーメン

「サッポロ一番」でおなじみのサンヨー食品が販売し、監修はエスビー食品が行っている。スープはエスビー食品の「おでんの素」を使用している。

サンヨー食品とエスビー食品による異色のコラボカップ麺

サンヨー食品は昭和28年(1953年)に群馬県前橋市で創業、当初は乾麺業を主としていたが即席麺の製造をはじめ、サッポロ一番のブランドで業界トップの売上を誇った。サッポロ一番や「サッポロ一番カップスター」だけでなく、天下一品や桂花など人気ラーメン店とコラボした「名店の味」シリーズなど、新しい商品を次々と販売している。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん、おでんの〆風ラーメン

「おでんの〆風うどん」と「おでんの〆風ラーメン」もそのひとつで、エスビー食品の「おでんの素」を使用し、同社が監修を行った異色のコラボ商品となっている。2022年1月17日に発売されたが、2022年8月現在サンヨー食品のWebサイトには掲載されていない。どうやら限定発売のようなので、興味のある方はネットなどで早めに購入することをおすすめする。

エスビー食品おでんの素

エスビー食品の「おでんの素」は昭和43年(1968年)に発売し、50年以上愛されるロングセラー商品だ。東京のおでん種専門店ではチヨダの「おでんの味」か正田醤油の「おでん汁」の取り扱いがほとんどだが、スーパーなどの量販店では「おでんの素」が多い。使用する鰹節と昆布にこだわり、鰹節は鹿児島県枕崎産、昆布は北海道日高産のものを使用している。おでんだけでなく、うどんや炊き込みご飯など幅広く活用できる。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん

「おでんの〆風うどん」はおでんの素のほかに、タラや野菜のエキスと和がらしの風味を効かせたもの。おでんの具材をのせたうどんというよりは、おでんの後の締めのうどんというコンセプト。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん

「おでんの〆風ラーメン」はおでんの素のほかに、鰹節と昆布の和風出汁、濃口醤油で味を整え、柚子胡椒の風味がアクセントとして加えてある。こちらもおでんの後の締めのラーメンというコンセプトだ。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん、おでんの〆風ラーメン(展開)

蓋のパッケージを開けると麺のほかに具材のかやくとスープの袋が入っている。スープは液体状のものとなっており、袋には「よくしぼりだしてください」という注意書きが記載されている。

エスビー食品おでんの素(顆粒)

ちなみに、エスビー食品のおでんの素は顆粒状となっており、液体ではない。この違いはカップ麺に適したスープを開発するうえでのこだわりの結果なのだろうか。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん、おでんの〆風ラーメン(かやく)

具材となるかやくは、うどんは蒲鉾、きざみ揚げ(細い油揚げ)、ネギとなっており、ラーメンは蒲鉾と卵、ネギとなっている。乾燥蒲鉾を見たのは幼少期の子供用カップ麺以来で、とても懐かしい。この乾燥蒲鉾は、福島県いわき市にある営洋が国内シェアのほぼ100%を占めているそうだ。

出汁に深みがありながら、あっさりしていて食べやすい

両製品ともエスビー食品のおでんの素を使用しているだけあって出汁に深みがあるが、あっさりしていて食べやすい。おでんを連想させるほど主張は強くないが、おでんの締めというコンセプトに合致した味になっている。

熱湯を規定量注ぐ

実際に作って食べてみよう。まず、かやくと液体スープの袋を取り出し、カップにかやくを入れる。次にお湯を沸かして、カップの中に規定量注いでいく。火傷に注意しよう。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん

うどんの場合は待つこと5分。ラーメンの場合は3分でできあがりだ。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん、おでんの〆風ラーメン

完成したものが上の写真。最近のカップ麺には見られない、昔ながらのオーソドックスな仕上がりだ。具材は一見おでんを連想させないが、蒲鉾はさつま揚げなどの練り製品、きざみ揚げは厚揚げやがんもどきなどの豆腐製品、たまごは煮卵と、おでんに極力近づけているのかもしれない。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風うどん

「おでんの〆風うどん」はあっさりしているが、おでんの素にタラや野菜のエキスが加わって深みがある味わい。ほんのりと和からしの香りはするが辛味はまったくないので苦手な人でも美味しく食べられるだろう。麺はもちっとしながらも滑らかな喉ごしだ。

サンヨー食品 エスビー食品監修 おでんの素使用 おでんの〆風ラーメン

「おでんの〆風ラーメン」もあっさりしており、最近主流の濃い味のカップ麺にはない魅力がある。わずかに感じる柚子胡椒の風味は爽やかで、縮れた麺にスープがよく絡む。

一部の家庭ではおでんの締めにうどん食べる習慣があり、中華麺におでん種をのせて食べる地方もある。また、台湾のコンビニおでんではインスタント麺を揃えている(日本のファミリーマートでもおでんうどんを提供している)。おでんと麺の組み合わせは意外と親しまれている食べ方なのだ。今回紹介したカップ麺がどのくらい支持を集めているかは不明だが、食文化の可能性を広げる面白い商品なのではないかと思う。

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