今回は吉祥寺の井の頭公園で営業する「松月」のおでん定食を紹介しよう。
武蔵野市吉祥寺のおでんといえば塚田水産が有名だが、井の頭公園にもおでんをゆったりのんびり味わえる食堂がある。井の頭自然文化園にほど近い場所で営業を続ける松月は、おひとり様でも家族でも楽しめる居心地のよい空間が広がっている。
豊かな武蔵野の自然が広がる井の頭公園
武蔵野市と三鷹市にまたがる井の頭恩賜公園は、地元民だけでなく都民の人々の憩いの場として親しまれている。大正6年(1917年)に開園し、井の頭池を中心に豊かな自然が広がっている。
吉祥寺駅からアクセスできる七井橋周辺は、週末になると多くの人で賑わう。スワンボートが水面を漂う井の頭池は、井の頭公園を代表する風景のひとつといっていいだろう。
橋のたもとではいくつか売店があり、おでんも販売している。「花見茶屋水月」は公園の開園当初からある売店で、スナックや飲料などを豊富に揃えている。おでんはひと皿で販売しており、屋外のベンチなどで味わえる。
水月の向かいには「明水亭」と呼ばれる売店もあり、餃子ドックなるB級グルメが人気だ。かつては食堂を営業しており、店内でおでんを味わえた。
ぬくもりのある空間が広がる井の頭公園の食堂、松月
今回紹介する松月は公園の中央、井の頭自然文化園の本館と水生物園の真ん中辺りで営業している。
この辺りは七井橋周辺よりも人が少なく、地元の人々が多い。のんびりとした雰囲気が漂う都会の風景は、どこかニューヨークのブルックリンを彷彿とさせる。
自然文化園が近いことから子連れの家族が多い。また、犬の散歩をしている人や絵を描く人もよく目にする。井の頭公園でゆったり過ごすなら、西側の御殿山周辺を歩いてみるといいだろう。
松月は吉祥寺通り近くの公園案内所の隣で営業している。昭和18年(1943年)に創業し、80年以上の歴史がある老舗だ。
店先は売店になっており、スナックや飲料などを購入できる。こちらでいろいろ買い込んで、ベンチに座りながら屋外の風景を楽しむのもいいだろう。
2月には公園内の梅園の梅が満開になる。松月の近くにあるベンチから一望できるので、季節が合えばぜひご覧いただきたい。
食堂に入ったら店員の方が丁寧に接客してくれ、好みのテーブルに座るように促される。ぬくもりのある接客に、こちらもやさしい気持ちになってくる。
店内から見下ろす武蔵野の自然は美しく、日差しがきらきらと注ぎ込んでくる。休日のお昼時は非常に混むので、開店直後の11時か平日を狙うといいだろう。
メニューは麺類やカレーライスなど定番のものばかりだ。定食やおつまみ、甘味類も充実している。酒類も豊富で、ビールは中瓶、缶、2銘柄から選択できる。
魅力的なメニューの中から選んだのは、もちろんおでん。単品でのオーダーも可能だが、今回はおでん定食にした。蓋をした鍋に期待が高まる。
おでん定食はおでんのほかにごはんと味噌汁、かぼちゃのサラダ、漬物がセットになっている。非常に上品でやさしい仕上がりだ。
おでん種は玉子、ごぼう巻、焼ちくわ、鶏つくね、生揚げ、こんにゃく、結び昆布の7種類。おでん汁はやさしい出汁と塩加減となっている。
結び昆布はボリュームがあり、噛み締めるとうまみがにじみ出る。生揚げはぷるぷるとしたフレッシュな食感を楽しめる。鶏つくねはやさしくまろやかな味わいが印象的だった。
味噌汁やサラダなども丁寧に調理されており、口に含むごとに心が浄化されるような心持ちとなる。武蔵野の自然も美しく、松月の料理と相まって気分がしゃきっとしてくるようだ。
おでん定食を堪能した後は、おつまみとして肉シュウマイをオーダーしてみた。こちらは小さなせいろで提供され、蓋を開けると美味しそうな湯気が漂う。
ぎゅっと詰まったひき肉のうまみを堪能でき、ビールとの相性も抜群だ。子連れの家族客たちを眺めながら、柄にもなく世界平和を願ってみたりとゆったり幸せな雰囲気に包まれていることを再認識する。
吉祥寺周辺にはさまざまなグルメを楽しめるお店があるが、気負いせず利用できるお店をお探しなら松月をおすすめしたい。特に小さなお子さんを連れて行くならなおさらだ。お店の脇に自転車やベビーカーを置けて便利だし、店員さんたちがやさしく接客してくれるので安心だ。
もちろん、おひとり様でも快く迎えてくれるので、井の頭公園に遊びに行く際はぜひお立ち寄りいただきたい。
松月の基本情報
松月
〒180-0005 東京都武蔵野市御殿山1-18-31
0422-43-0336
定休日:不定休
営業時間:11:00~16:00