2019年10月8日、渋谷の東京カルチャーカルチャーで「ちくわぶフェス!世界初のちくわぶフェスティバル」が開催された。ちくわぶ料理研究家の丸山晶代さんがメインで企画したイベントだ。
丸山晶代さんといえば、TBS系列「マツコの知らない世界」に出演したことでも有名な「日本初のちくわぶ料理研究家」だ。そんな彼女が「インディーズな食材、ちくわぶのメジャーデビューを目指そう!」という目標を掲げ、「ちくわぶ広め隊の総決起集会」として企画された。
出演は丸山さんのほかに、べつやくれいさん(デイリーポータルZ)、ちくわぶ本共著書・渡邉博海さん(Hackai・元有頂天ギタリスト)、 司会のきだてたくさん(デイリーポータルZ)、お笑いコンビ「ちくわぶ」(川添ちくわぶさん、仙波ちくわぶさん)。
ちくわぶ満載のおみやげと料理の数々
まず驚いたのが、ちくわぶのおみやげ。5社合計7本がどーんと座席の前に鎮座していた。
いわて屋(神奈川県横須賀)、カネ久商店(静岡県焼津)、川口屋(北区赤羽)、瀬間商店(世田谷区給田)、タカトー(茨城県水戸)。どれも有名なメーカーばかりだが、一度に手にすることはなかなかないので貴重な機会かもしれない。
イベントが始まると同時に丸山晶代さんが考案したちくわぶ料理3点盛プレートが運ばれてきた。ちくわぶチップス、ちくわぶの唐揚げ、ちくわぶカヌレ。さらにちくわぶの切干大根サラダが追加されるという大盤振る舞い。丸山さんの並々ならぬ情熱を感じる。
東京おでんだねの筆者は幼少からちくわぶが大好きなのだが、おでん以外で食べたことはなかった(味付けせずに試食することはたくさんあるが)。チップス、唐揚げ、カヌレともに「代用品としてのちくわぶ」ではなくて、ちくわぶだからこそ美味しい味付けだと感じた。
個人的にいちばん気に入ったのが、ちくわぶの切干大根サラダ。懐かしさと爽やかさが相まって、おでんと一緒に食べても美味しいのではないかと思う。
ちくわぶメーカー渾身のプレゼン対決
舞台ではタカトー、いわて屋、阿部善商店(宮城県塩釜)のちくわぶ1分間プレゼン対決が始まった。
業界4割のシェアを持つタカトーはパッケージを一新して、さらに売上アップを目指すという。いわて屋は使用している国産小麦粉の強みを強調していた。阿部善商店は川口屋とのコラボ商品「東京ちくわぶ」を今秋から東京駅などでも販売していくという。どの企業もちくわぶに対する情熱は相当なものだった。
製造工程を見てわかる、ちくわぶのありがたみ
東京おでんだねが「超ちくわぶ」と称する川口屋で取材した、ちくわぶの製造工程も紹介された。
手作業に近い昔ながらのていねいな製法で、労を惜しまない姿勢はすばらしいものだった。詳細は丸山さんの「I love ちくわぶ」サイトで確認できる。
取材だけにとどまらず、丸山晶代さんご自身でもちくわぶを作ってみたそうだ。小麦粉(強力粉)を練ったり、大きな寸胴鍋を用意しなければならなかったりと労力は相当なものだったそうで、「やっぱりちくわぶは買うべきだ」という結論に至ったという。
川口屋を含めメーカー各社が手間をかけて作りあげたちくわぶは、いずれも控えめな価格設定になっている。海外では手に入りにくいなんていう話も聞くし、美味しいものをお求めやすい価格で提供してくれるメーカーに、あらためて感謝したいところだ。
テーブルにタカトー、いわて屋、川口屋のちくわぶが運ばれてきて、食べくらべアンケート大会が催された。どれももっちり柔らかいのだが、それぞれ足(弾力)の具合に個性があり面白かった。
東京おでんだねがもっとも注目したのが、3社のちくわぶの隅に隠れた白ちくわだった。
白ちくわはグチなど近海で獲れた魚のすり身が原料の煮蒲鉾で、現在ではレアな食材だ。ちくわぶはこの白ちくわの代用品として生まれたという説がある。控えめな魚のうまみがじんわり伝わり、とても美味しかった。
お笑いライブやトークショーなど盛りだくさんのイベント
お笑いコンビ「ちくわぶ」のライブをはさみながら、丸山さん、渡邉さん、きだてさんの軽妙なトークが続く。
丸山さんよりも先にちくわぶを自作した経験があるべつやくれいさんも加わり、ちくわぶ談義に花が咲く。
「ちくわぶは小麦粉なのでクセがなく、どんな料理にもあう」「もっちりさせるには下ゆでやレンチン5分が大事」など、ちくわぶに造詣が深い丸山さんたちならではの知識が披露された。
集まった人たちは男女半々くらいだったが、若干女性が多かったかもしれない。料理に興味がある人たちが多そうだったので、真剣な表情で話に聞き入っていた。
テーブルには、ちくわぶにソーセージを乗せた「ちくわぶドッグ」が登場した。
最後は、丸山さんと渡邉さんの歌と演奏による「ちくわぶ食べようよ!」を披露。なごやかな雰囲気が漂いつつも、大いに盛り上がったイベントだった。
東京おでんだねは活動をはじめた当初、Twitterなどで丸山さんにいろいろと応援していただいた。今回、彼女が実際に活躍している姿を見て、こちらも大いに触発された。ちくわぶ愛にあふれていて、アイデアを次々に実現していく姿勢はなかなか真似できないものであり、きらきらとまぶしかった。
じつはちくわぶ関連の記事を企画していたので、先週末すでに川口屋で4種類のちくわぶを購入していた。今回のおみやげでプラス7本、合計11本になってしまったが、おでん以外にも丸山さんのレシピを参考に作ってみたいと思う。
11月には丸山さんの本「ちくわぶの世界」が発売される。膨大な取材によるちくわぶの歴史や製造工程、そして500種類のなかから厳選されたレシピが掲載されるそうだ。彼女が運営する丸山商店で先行予約をしているので、ぜひご覧いただきたい。
イベント名:ちくわぶフェス!世界初のちくわぶフェスティバル
開催日時:2019年10月8日(火)19:30〜21:00
開催場所:東京カルチャーカルチャー(東京都渋谷区)