八州屋かまぼこ店のおでん種

今回は神奈川県の妙蓮寺にある八州屋かまぼこ店のおでん種を紹介する。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店のおでん種

神奈川県にはおでん種専門店が多く存在したが、現在では数を減らしている。八州屋かまぼこ店は妙蓮寺で50年の歴史を誇り、現在では貴重となった手づくりの練り物を販売している。

妙蓮寺で50年営業を続ける八州屋かまぼこ店

八州屋かまぼこ店は東急東横線の妙蓮寺駅のすぐそばで営業している。妙蓮寺駅はターミナル駅である菊名駅の隣にあり、横浜までは7分、渋谷まで35分という交通アクセスの良い駅だ。

神奈川県横浜市港北区菊名:妙蓮寺駅

駅の目の前には妙蓮寺が鎮座している。東横線敷設の際、妙蓮寺の敷地に鉄道を通す代わりに住職が駅(当時は妙蓮寺前駅)をつくらせたという。

神奈川県横浜市港北区菊名:妙蓮寺

この地域は住宅街となっており、のどかな風景が広がっている。すぐ近くに菊名池公園があって自然も豊かだ。駅前には新旧さまざまな商店が立ち並んでおり、散策すると面白いだろう。

神奈川県横浜市港北区菊名:妙蓮寺駅

八州屋かまぼこ店は駅から1分ほどの場所で営業している。昭和49年(1974年)に創業し、50年間妙蓮寺で営業を続けている。

手づくりの味とあたたかい接客が魅力

八州屋かまぼこ店は小さな店舗ながら、豊富な種類のおでん種と店頭で調理したおでんを販売している。そのほとんどが手づくりだ。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店

お店正面のショーケースには20種類ほどのおでん種が並ぶ。訪れた日は練り物が12種類あった。おかみさんによると、そのまま食べても美味しいという。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店

練り物以外は結び昆布、生揚げ、ちくわぶ、こんにゃくなどが揃う。あとは大根や玉子を加えるだけでおでんが完成する。ちくわぶは神奈川県のいわて屋、焼ちくわは青森県の丸石沼田商店、おでん汁の素はあみ印(あみ印食品工業)だった。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店

練り物は単品だけでなく詰め合わせも販売している。大きいものが660円、小さいものが400円でかなりお得な料金設定となっている。迷ったときにはこちらを選んでもいいだろう。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店

お店に向かって左側では店頭で調理したおでんを販売していた。セットのほかに単品でも販売している。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店

店主は八州屋を開業する前は松原商店街の三増屋(閉業、神奈川県横浜市保土ヶ谷区宮田町1-5-1)で修行していたという。三増屋はテレビでもよく紹介される人気店だったが、令和4年(2022年)に閉業した。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店

奥を覗くと店主が練り物をつくっている姿を確認できる。おかみさんはオーダーしていると「そのまま食べても美味しい」と教えてくれたり「このくらいの量になるけど大丈夫?」など気を遣ってくれる。店主も作業の手を止めてお話をしていただいたりと、ぬくもりのある人柄が八州屋の魅力のひとつだ。客足が絶えない理由は駅前であること以外にもあるように思えた。

そのまま食べても美味しい!八州屋かまぼこ店のおでん種

八州屋かまぼこ店でおでん種を購入し、自宅で味わってみることにした。今回購入したのは9種類。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店のおでん種

時計回りに12時から、えび天、ウインナー巻、よせ揚げ、つみれ、しのだ、いかボール、やさいあげ、うずら玉子巻(中央左)、ごぼう巻(中央右)。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 えび天

えび天は可愛らしい魚の形をしている。目やエラが型押ししてあるのは珍しい。エビの赤とネギの緑が華やかで、お祝いの席に出してもよさそうだ。八州屋のすり身は足(弾力)がしっかりしていながらも硬すぎず、絶妙な食感を保っている。おかみさんのおっしゃるとおり、そのまま食べると素晴らしさがはっきりわかる。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 やさいあげ

やさいあげは人参やネギなどが練り込まれた揚げ蒲鉾だ。上品なうまみを感じさせるすり身に、野菜のほのかな甘みが調和している。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 うずら玉子巻

うずら玉子巻は小ぶりながらうずらの玉子がふたつも入った贅沢な品だ。筒形に巻いたすり身の中央にうずらの玉子が1列に並んでいる。このつくりは東京では増田屋(立石)のものが近いが、非常に珍しい。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 しのだ

しのだは人参が入った揚げ蒲鉾のボールだ。「しのだ」は漢字で「信田」と書き、「信田巻」は人参やひじきなどをすり身に混ぜて揚げたものを指す。また、油揚げにすり身を巻いたものもある。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 よせ揚げ

よせ揚げはさまざまな野菜が入ったひと口サイズの揚げ蒲鉾だ。玉ねぎや人参のうまみがダイレクトに伝わり、お酒のお供としても最適だ。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 いかボール

いかボールは刻んだイカを混ぜた揚げ蒲鉾だ。ひと口サイズで8個のセット販売だが、1個単位でも販売してくれる。ほのかに感じるイカの風味がかぐわしく、すり身の味も食感も素晴らしい。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 つみれ

つみれは白身魚のすり身を茹でたもので、イワシ主体のものに比べて臭みが少なく上品な味わいだ。おでんはもちろん、お吸い物などにもぴったりだ。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 ウインナー巻

ウインナー巻は小ぶりながら、肉と魚のうまみがぎゅっと詰まっている。ウインナーが縦半分に切られているのは珍しい。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店 ごぼう巻

ごぼう巻はゴボウの滋味深い味わいとすり身のうまみが絶妙に絡み合う。目立った特徴はないが、こういう種にこそ職人の実力を感じるものだ。

神奈川県横浜市港北区菊名:八州屋かまぼこ店のおでん種

親しみやすい接客と職人の技に裏打ちされた練り物の美味しさ、これらが楽しめるおでん種専門店は神奈川県で数少なくなった。この記事をきっかけとして、より多くの人々に八州屋の味を楽しんでもらえたら嬉しく思う。

八州屋かまぼこ店の基本情報

八州屋かまぼこ店
〒222-0011 神奈川県横浜市港北区菊名1-4-10
045-432-5745
定休日:日曜
営業時間:11:00~19:00

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