砂町銀座の増英蒲鉾店では毎年3月1日から3月3日まで、ひな祭りの料理に最適な紅白のはんぺんあられを販売している。
砂町銀座商店街でも屈指の人気を誇るおでん種専門店、増英蒲鉾店。店頭で調理したおでんが人気だが、季節限定の商品も見逃せない。今回はひな祭りに販売されるはんぺんあられを紹介しよう。
ひな祭り限定、増英蒲鉾店のはんぺんあられ
テレビや雑誌などのメディアでもよく取り上げられる増英蒲鉾店は、寒い季節になると連日長蛇の例ができる人気店だ。
昭和45年(1970年)に創業して50年以上、生の魚にこだわった練り物を製造販売している。常連客はもちろん、砂町銀座で食べ歩きをする観光客が多く訪れている。
取材した日も店頭で調理したおでんを求める人々が隣の建物まで列をつくっていた。大鍋で煮込まれたおでんからはもうもうと湯気が立ち込めており、道行く人々を誘い込んでいた。
テレビの情報番組では常連となっているが、最近では2024年2月28日に発売された「蒲鉾 魚介すり身の練り物(海からいただく日本のおかず)」(偕成社)という書籍にも登場している。蒲鉾や練り物の原料や製造方法が詳しく書かれているが、ふりがなも付いているので子どもでもわかりやすく楽しめる。興味のある方はぜひ書店やネット通販で購入してほしい。
さて、今回の目的であるはんぺんあられはひな祭りに合わせ、毎年3月1日から3日間、3月3日まで販売している。1袋単位で購入でき、お値段もお手頃だが、なくなり次第販売終了となる。
増英蒲鉾店ははんぺんを手づくりする数少ないお店だ。はんぺんの伝統的な原料魚であるサメを使い、一枚ずつ丁寧に製造される。このようなお店は東京のおでん種専門店でも数軒を数えるほどになった。
はんぺんあられは可愛らしい見た目をしているが、通常のはんぺんと同様に上品な食感と奥深いうまみを感じることができる。ひと口大で柔らかく、色合いも美しい。
訪れた日はたらこの煮付とあさりかき揚も販売されていた。増英では季節によって限定のお惣菜を販売しているので、見つけたら購入することをおすすめする。
増英蒲鉾店のはんぺんあられではまぐりのお吸い物をつくる
それでは、増英蒲鉾店のはんぺんあられを使ってひな祭り用のお吸い物を作っていこう。
お吸い物のメインはひな祭りによく用いられるはまぐりだ。二枚貝のはまぐりは別個体の貝殻とはぴったり合わないことから「ひとりの伴侶と末長く暮らす」という意味があるという。青みは菜の花、ほかに姫竹も添えてみようと思う。もちろん、はんぺんあられも忘れずに。
はまぐりは毎年ひな祭りの時期に多く入荷するので手に入りやすいだろう。茨城県や三重県、熊本県や千葉県九十九里産のものが出回っている。
はまぐりは購入したらすぐに砂抜きをする。まずはまぐりの表面を水で洗っておく。次に水に対して3%ほどの塩を溶かし、はまぐりの合わせ目がきちんと水に浸かるように入れる。はまぐり同士が重ならないように大きめの容器を用意しよう。
はまぐりを入れたらアルミホイルかラップをして、冷蔵庫または冷暗所で1〜2時間置いておく。これで砂抜きは完了だ。
菜の花は適当な長さに切って下茹でして絞っておく。姫竹は下茹でしてある市販品を使うのなら、器に合わせて包丁で長さを切り揃えるだけでいい。
鍋に水と昆布の出し汁、はまぐりを入れる。出汁を取るのが面倒なら昆布をそのまま入れてもいい。火は強めの弱火にして、灰汁(あく)が出てきたらこまめに取り除いてやる。沸騰したら弱火に戻して、はまぐりが開くのをじっくり待つ。
酒を大さじ1、味を見ながら塩を少々加えればほぼ完成。菜の花、姫竹、はんぺんあられを加えて温めたら器に盛り付けよう。
春にふさわしい、やさしい味わいのお吸い物が完成した。紅白の華やかなはんぺんあられがひな祭りの雰囲気を演出してくれる。
最後に一緒に購入した、たらこの煮付とあさりかき揚も紹介しておこう。たらこの煮付は大ぶりのタラコが甘辛く煮付けてある。ほろほろと口の中でほどけるタラコは適度な味付けで、ごはんによく合いそうだ。
あさりかき揚は通称「ちぎり」と呼ばれるひと口大のものだ。野菜とあさりの味わいが合わさって、豊かな風味を醸している。おつまみとしても、おでんにしても美味しいだろう。
紅白の彩りが華やかな増英蒲鉾店のはんぺんあられ。お吸い物だけでなくいろいろな料理に使えるので、ひな祭りにはお店に訪れて手に入れてみてはいかがだろうか。
増英蒲鉾店の基本情報
増英蒲鉾店
〒136-0073 東京都江東区北砂4-9-9
03-3645-1802
定休日:月曜(10日の場合は翌火曜)
営業時間:11:00~18:00
増英蒲鉾店のWebサイト(砂町銀座のWebサイト)
増英蒲鉾店のTwitter
増英蒲鉾店のInstagram