吉祥寺にあるおでん種専門店、塚田水産は2023年2月15日(水)から4月2日(日)まで武蔵野市の野菜と吉祥寺の名店とのコラボ商品を使用した「武蔵野おでん」を販売している。
東京のおでん種専門店のなかでも屈指の人気と実力を誇る塚田水産。これまでも地元である吉祥寺の料理店とコラボしたおでん種を生み出してきたが、今度は武蔵野市の地場野菜を使用した「武蔵野おでん」を発表した。キャンペーン期間中はナチュール白ワイン専門店のオリジナルバターの販売や武蔵野おでんの材料が当たる抽選会を行っている。
- 武蔵野の美味いものをふんだんに使用した「武蔵野おでん」
- 武蔵野おでんキャンペーン中の塚田水産を訪れる
- 武蔵野おでんの作り方
- 武蔵野市の地場野菜
- 「Wine&Tapas Chill(チル)」特製オリジナルバター
- みんみんとのコラボ「みんみんの焼き餃子巻」
- ホープ軒本舗とのコラボ「ホープ軒チャーシューさつま」
- ケーニッヒとのコラボ「ケーニッヒのウインナーソーセージ巻」
- 地域や業界の活性化に向けた塚田水産の思い
武蔵野の美味いものをふんだんに使用した「武蔵野おでん」
塚田水産は魚のすり身に衣をつけて揚げた「吉祥寺揚げ」が人気のおでん種専門店だ。昭和20年(1945年)に創業し、日本かまぼこ協会主催の全国蒲鉾品評会で最高賞となる農林水産大臣賞を2度受賞している名店だ。
これまでもさまざまな試みを続けてきた塚田水産だが、今度は地元である武蔵野市の名を冠した「武蔵野おでん」を発表した。武蔵野おでんは武蔵野市で採れた地場野菜と吉祥寺の名店とコラボした練り物を使い、バターを加えてポトフのように仕上げたおでんだ。洋風のおでんにすることで、暖かくなりはじめる春にぴったりの味わいとなる。
練り物はラーメンの「ホープ軒本舗」、餃子の「みんみん」、ハムやソーセージの「ケーニッヒ」といった吉祥寺の有名店とコラボした商品のほかに、武蔵野産の長ネギを使った「武蔵野野菜のネギまみれ」を期間限定で発売している。さらにナチュール白ワイン専門店バル「Wine&Tapas Chill(チル)」がつくるオリジナルバターをのせて完成となる。
武蔵野おでんキャンペーン中の塚田水産を訪れる
キャンペーン期間中に塚田水産に足を運んでみたので、その様子を紹介しよう。訪れたのは平日昼間だったが、多くのお客さんで賑わっていた。
店先の黒板には武蔵野おでんの説明が記してあった。この黒板は手書きによる豆知識が毎日更新され、地元の人々の小さな楽しみとなっている。Twitter (@Tukada_Oden)からも読むことができるので、興味のある方はぜひフォローしてみてほしい。
店頭には武蔵野産の野菜が陳列されていた。盛り合わせは2種類あるが、単品でも購入することができる。かぶや人参、ブロッコリー、菜花、ほうれん草など種類が豊富だ。
揚げ蒲鉾を中心とした練り物は定番のものから「ホープ軒チャーシューさつま」や「みんみん焼き餃子巻」などのコラボ商品までバラエティに富んでいる。
コラボ商品は一度に大量に購入したりリピートするお客さんも多く、大変好評だという。また「次回は違うの買うからね」など、お店とお客さんとのコミュニケーションのきっかけをつくっている。人気のため一時的に商品が足りなくなることもあるが、お店の奥で調理を続けているためすぐに補充される。
「Wine&Tapas Chill(チル)」がつくるオリジナルバターも販売されていた。「塚田特製おでん汁」に合わせてつくられたので、一緒に購入するといいだろう。
キャンペーン期間中は抽選会が開催されており、1500円ごとに1回挑戦できる。オリジナルバターやおでん汁、武蔵野野菜やさつま揚げが当たり、はずれくじはひとつもないのが嬉しい。
吉祥寺の名物として定着した「吉祥寺揚げ」も相変わらずの人気だった。吉祥寺揚げは魚のすり身に海老やホタテなどを加え、パン粉をつけて揚げたものだ。詳細は「塚田水産のお惣菜と夏限定商品」という記事を参考にしてほしい。
武蔵野おでんの作り方
武蔵野おでんは簡単に調理できる。ポイントは野菜を煮るタイミングだ。火の通りやすさに応じて煮る時間を調整すればいいだけなので、初めてでも失敗することはないだろう。
人参やカブは皮を剥き、適度な固さになるまでおでん汁で煮る。カブは火が通ると柔らかくなるので、菜箸などで傷をつけないように注意しよう。
次に揚げ蒲鉾などの練り物を加えて弱火で煮て、最後にカブの葉やブロッコリー、菜葉、ほうれん草に軽く火を通す。
食べる直前にオリジナルバターをのせれば完成だ。とろけたバターがおでん汁と交わり、ふくよかでまろやかな味を楽しめる。
武蔵野市の地場野菜
武蔵野野菜はどれも新鮮で、個々の野菜の持ち味がしっかり感じられる。おでん汁のうまみをたっぷり吸い込みながら、野菜の甘みや香りがはっきりと残っている。
武蔵野市は住宅地や商業地が多いため、農地の規模はさほど大きくない。そのため、目の行き届いた管理を行うことができ、高品質な農作物を生産できるという。また、消費者の手に届くまでの時間や距離が短く、新鮮なものが手に入る。一般の流通経路では畑から店頭に並ぶまで数日かかるが、武蔵野市の野菜は採れたその日に直売所などで購入できる。
塚田水産では2022年から地元の農家とコラボを始めたことをきっかけに、武蔵野市の地場野菜をより多くの人々に知ってもらうことを目的に武蔵野おでんを考案した。この取り組みに対して農家の方たちは、武蔵野市で野菜を作っていることや地元で野菜を消費していることを知ってもらうよい機会だと歓迎しているという。
武蔵野野菜を揚げ蒲鉾の具材に用いた商品も期間限定販売している。「武蔵野野菜のネギまみれ」は長ネギをふんだんに使用しているため、香りや甘みを存分に味わえる。
「Wine&Tapas Chill(チル)」特製オリジナルバター
武蔵野おでんの味の決め手となるオリジナルバターは、吉祥寺の東急百貨店近くで営業する「Wine&Tapas Chill(チル)」特製のものだ。
イタリアンパセリ、ローズマリー、ディルが入っており、豊かな芳香を楽しめる。また、バターによっておでんがやさしくふくよかな味わいとなる。
バターは濃厚ながらも上品で和風の出汁によく合うが、おでんだけでなくサーモンのムニエルなどさまざまな料理にも活用できる。ブレットにのせるだけでも美味しさが格段に上がる。
塚田水産の三代目店主である塚田亮さんも、このバターとおでん出汁の組み合わせにハマっているとおっしゃっていた。塚田水産のおでん汁は枕崎産の鰹節とさば節、煮干し、利尻昆布、超特選醤油を使用したもので、正田醤油と一緒に何度も試行錯誤を重ねたこだわりの商品だ。バターはこのおでん汁に合わせてつくられている。
Chillはナチュール白ワイン専門のバルで、自然派ワインやオーガニック野菜を使ったイタリアンを楽しむことができる。ハンバーグとリゾットを掛け合わせた創作料理もあり、がっつり派の方も満足することだろう。
みんみんとのコラボ「みんみんの焼き餃子巻」
吉祥寺の名店とのコラボ商品は3つある。まずはハーモニカ横丁で営業する町中華料理店「みんみん」の焼き餃子を使った「みんみんの焼き餃子巻」だ。
東京に餃子巻は数あれど、こんなに大きいものは珍しい。さらに焼き餃子を使用した餃子巻はほとんど見かけることがない。
みんみんの創業は昭和47年(1972年)、各地に同名の店舗があるが吉祥寺のみんみんには系列店が存在せず、ハーモニカ横丁だけで営業している。中華そばやあさりチャーハンも絶品だが、餃子が最も人気が高い。
餃子の餡は野菜がたっぷり詰まっているが、ニンニクを使用していないので苦手な人でも美味しく食べられる。皮は肉厚でもちもちしており、焼いた表面の香ばしさも素晴らしい。
ホープ軒本舗とのコラボ「ホープ軒チャーシューさつま」
塚田商店の近くで営業するホープ軒本舗とのコラボ商品は「ホープ軒チャーシューさつま」だ。
ぱっと見はごく普通の揚げ蒲鉾のように見えるが、魚のすり身に細かく刻んだチャーシューがこれでもかというくらいたくさん入っている。
このチャーシューはホープ軒本舗で提供されているものを使用している。ホープ軒本舗は説明不要の有名店で、東京の背脂豚骨醤油ラーメンの元祖といわれている。濃厚でありながらまろやかで甘みがあり、一度食べると病みつきになる。中華そばとチャーシュー麺の2種類のみ提供している。
チャーシューは脂の少ない肩ロースを使用しているためしつこくなく、噛み締めるごとにうまみが口いっぱいに広がっていく。さらに「唐華」というホープ軒本舗特製のスパイスも混ぜ込まれており、適度な辛みとうまみがプラスされている。
ケーニッヒとのコラボ「ケーニッヒのウインナーソーセージ巻」
「ケーニッヒのウインナーソーセージ巻」は手づくりハムとソーセージを提供する井の頭公園近くの「ケーニッヒ」とコラボした商品だ。
ケーニッヒの粗びきウインナーソーセージを贅沢にまるごと1本使用しており、非常にボリュームがある。通常のウインナー巻と比較したら2本以上の長さになる。
ケーニッヒの本店は小金井市緑町にあり、ドイツの伝統的な技法と機械で国産肉のハムとソーセージを手づくりしている。ドイツ食肉加工協会が主催する「SUFFA」というコンテストでは国際総合優勝を果たし、金賞も多く獲得している。
ウインナーソーセージ巻はぷりっとしたした食感と深みのある味わいを堪能できる。バターとの相性も抜群なので、ぜひ一緒に購入して味わっていただきたい。
地域や業界の活性化に向けた塚田水産の思い
店主の塚田さんは今回の試みが武蔵野市や吉祥寺だけでなく、別地域のおでん種専門店に励みを与えたり、業界が活気づくことを願っている。お店に訪れてみると店員の方もお客さんも笑顔にあふれており、地域や業界の活性化に向けたおでんの可能性を感じることができた。
コラボ商品の企画時にはどの料理店も地域の発展を願っており、積極的に協力してくれたという。また、商品発売後はSNSで紹介したり、店舗で商品を購入してくれたそうだ。消費者の私たちも提供側の思いをしっかりと受け止め、美味しく味わいながら地域の活動に参加できたら楽しいと思う。
今後の展開としてはお花見シーズンに店頭で調理した武蔵野おでんを販売する予定だ。また、1年ごとの定期的な開催も検討しているという。これからも挑戦を続ける塚田水産には目が離せない。
塚田水産の基本情報
塚田水産
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1-1-8
0422-22-4829
定休日:1月1日~1月3日
営業時間:9:30~19:00
塚田水産のWebサイト
塚田水産のTwitter、Instagram、LINE、Facebook
塚田水産(伊勢丹新宿店)
〒160-0022 東京都新宿区新宿3-14-1
定休日:1月1日
営業時間:10:00~20:00
伊勢丹新宿店のWebサイト