おでんの生揚げ(厚揚げ)の調理方法

今回はおでんの生揚げ(厚揚げ)の作り方を紹介しよう。自宅で簡単につくることができ、おでん以外にもさまざまな料理に活用できるのでぜひ挑戦していただきたい。

おでんの生揚げ(厚揚げ)の調理方法

生揚げはおでんの具でも人気が高く、紀文食品の調査した「よく入れる具(たね)ランキング」でも長年上位にランクインしている。できあがった状態のものを購入する場合が多いが、簡単に自作することができる。

生揚げ(厚揚げ)とは

生揚げは豆腐を揚げたシンプルな料理で、東日本では「生揚げ」、西日本では「厚揚げ」と呼ばれる。似たものに薄い形状の油揚げがあるが、こちらは濃い豆乳の木綿豆腐を使い、低温と高温の二度揚げ(のばしとからし工程)を行う必要がある。一方、生揚げは通常の豆腐を一度揚げるだけなので簡単に調理することができる。

生揚げの発祥は定かではないが、室町時代初期に編纂された「尺素往来(せきそおうらい)」には「豆腐上物」という記載があり、油で揚げた豆腐が存在していたことがわかる。豆腐料理を集めた江戸時代の書物「豆腐百珍」には豆腐を揚げた料理がいくつか掲載されており、高価であった油が庶民の手に入りやすくなったことがうかがえる。

生揚げの調理方法

生揚げの作り方は非常にシンプルだ。用意するのは豆腐と植物油のみとなる。豆腐は木綿と絹ごしがあるが、好みで選ぶといい。絹ごしは崩れやすいのでおでんなどの煮物には向かないというが、生揚げならば表面を揚げるのでその心配はない。

水切りした木綿豆腐

まずは豆腐を水切りしよう。水切りにはいろいろな方法があり、重石(おもし)をのせたりレンジを使用する方法などがある。状況に合わせて選択していただきたいが、今回は豆腐をキッチンペーパーに包み、重石をのせて水切りした。目安として木綿豆腐なら10分、絹ごし豆腐なら20分ほどでいいだろう。

豆腐を水抜きする

水切りをする理由は油が跳ねるのを防ぐためや崩れないように適度に固くするためだ。ただし、水分を抜きすぎると食感がぼそぼそしてしまう。

水切りを終えたらキッチンペーパーで表面の水分を取り除き、適度な大きさに切り分ける。小さく切ると早く揚がるが、大きめにしたほうが豆腐の滑らかな食感を保てる。

揚げている豆腐同士を菜箸で離す

鍋にたっぷり油を注ぎ、180℃前後まで加熱したら豆腐を投入する。一度にたくさん入れると温度が下がるので、小分けにしたほうが仕上がりが安定する。表面が揚がるまでは豆腐同士がくっついてしまうので、様子を見ながら菜箸で離していく。

豆腐を揚げ適度な狐色にする

底面が揚がったら上下を裏返す。たっぷりの油で揚げている場合はころころと回るので、菜箸で掴んで好みの揚げ具合になるように調節しよう。フライパンで揚げ焼きにする場合はこまめに裏返していくといい。中に火を通す必要がないので、表面の揚がり具合にだけ集中するといい。

生揚げ(厚揚げ)の完成

表面が狐色に変わり、かりっとしたら鍋から取り出す。最後に油をしっかり切れば完成だ。失敗することは少ないと思うので焦らずに調理しよう。おでんに入れる場合は完成の10分ほど前に鍋に投入するといい。

おでん汁をかけた生揚げ(厚揚げ)

自分で調理するとできたてのものが味わえるので、かりっとした食感を楽しめる。市販の柔らかいものとは異なる仕上がりになるので面白い。あえて煮込まず、食べる直前に熱々のおでん汁をかけて味わうといい。

おでん汁で煮た生揚げ(厚揚げ)

もちろん、おでん汁でしみしみになった生揚げも美味しい。まろやかなおでんのうまみをたっぷり吸いながら、油のうまみもしっかりと残っている。手づくりした充実感が得られるはずだ。

おでんの生揚げ(厚揚げ)の調理方法

生揚げはおでん以外に炒め物やサラダなどさまざまな料理に応用でき、手軽に調理できる。町のお豆腐屋さんでお気に入りの豆腐を購入して、自宅でぜひ挑戦していただきたい。

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