おでんのイイダコ(飯蛸)の調理方法

今回はおでんのイイダコ(飯蛸)の調理方法を紹介しよう。大きなタコとは異なる食感とうまみを楽しめる。

おでんのイイダコの調理方法

おでんのタコといえばマダコのような大ぶりのものを想像するが、小さなイイダコも用いられる。調理方法は非常に簡単で、おでん汁と一緒に煮るだけだ。余ったら炒め物などにも活用できる。

イイダコの特徴とおでんでの利用

イイダコは小型のタコで、最も大きなものでも全長30センチほどだが、マダコと同じマダコ科マダコ属のタコだ。産卵期には胴体に卵を抱え、煮ると米粒のような形に見えることから飯蛸と名付けられたという。

おでんのイイダコの調理方法:イイダコ

旬は産卵期の1月から4月だが、季節を問わず漁獲されている。兵庫県の明石が名産地として有名だが、瀬戸内海で多く水揚げされる。おでん種としてはマイナーな部類に入るが、多くのおでん料理店で取り扱っている。

東京都台東区千束:浅草おでん大多福のたこ壺おでん いいだこ
浅草おでん大多福(台東区千束)のいいだこ

東京では浅草の大多福など、老舗や新店舗問わず扱っていることが多い。旬となる冬から春にかけて提供されている。

ミスター味っ子のおでん:イイダコとはんぺん

全国的に有名なのは宮城県仙台にある「おでん三吉」(宮城県仙台市青葉区一番町4-10-8)のものだ。イイダコの頭に干瓢の鉢巻が巻いてあり、はんぺんの座布団に乗っている。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店

おでん種専門店では江東区北砂の増英蒲鉾店、豊島区池袋の佃忠(池袋)などで煮たおでんの具材として販売されている。

神茂(中央区日本橋)おでん種:たこ蔵
神茂(中央区日本橋)のたこ蔵

日本橋の神茂では冬季限定で魚のすり身でイイダコの頭を包んだ「たこ蔵」を販売している。すり身とイイダコの異なる弾力と味わいの調和が素晴らしく、見た目も可愛らしい。

はんぺい 三ツ星(千葉県稲城)の飯蛸
はんぺい 三ツ星(千葉県稲城)の蛸巻

千葉県稲城のはんぺい三ツ星でもイイダコの揚げ蒲鉾がある。その名も「蛸巻」で、すり身は細長い俵形だ。やはりタコの形状を生かしたユニークな外見となっている。

イイダコの入手方法

イイダコは鮮魚店や業務用スーパーに並ぶことがあるが、最近はあまり見かけなくなった。冷凍物であれば韓国食材店やネット通販で手に入る。

おでんのイイダコの調理方法:冷凍イイダコ

おでんに入れる場合は小さめのものを選ぶといいだろう。今回は新大久保周辺にある韓国食材店でベトナム産のものを手に入れた。イイダコは韓国料理では一般的な食材のため、置いているお店が多い。

生のものは表面の色が濃いものを選ぶといい。しめてから時間が経ったものは白くなっている。また、吸盤が吸いついてくるものも新鮮だという。

おでんのイイダコの調理方法

それでは、冷凍のイイダコを使った調理方法を説明していこう。冷凍物はボイルしたものもあるが、今回は生のものを使用する。まずはイイダコを解凍していこう。

おでんのイイダコの調理方法:流水で半解凍する

調理する前日に冷蔵庫から冷蔵室に移して解凍してもいいが、流水にさらして解凍するほうが短時間で済む。

ボウルやバットに水を張り、イイダコを袋のまま放り込む。5分ほどしたら袋を開けて、必要な数を取り出す。半解凍の状態になり、取り分けやすくなっている。

ほとんどの商品はあらかじめ不要な部位を取り除いてあるため、軽く水で洗っておでんとして煮ればいい。なお、不要部位を取り除く過程で顔に切れ込みが入っているものがある。煮ると多少見ばえが悪くなるが、味に影響はない。臭みが気になる場合は、煮る前に塩を揉み込んでから水で洗うといい。

おでんのイイダコの調理方法:おでん汁で煮る

おでん汁を煮立てたあとに弱火にして、イイダコを投入する。すぐに火は通るが、20分ほどじっくり煮る。さらに冷ましてしばらくおけば、より味が染みる。

その際、タッパーに移して冷ましたらすぐ冷蔵庫に入れておこう。これは食中毒の予防のためだ。ウエルシュ菌などのように寒い時期でも増殖する菌があるため細心の注意を払いたい。おでんの食中毒の詳細は「おでんの食中毒の予防方法」の記事をご覧いただきたい。

おでんのイイダコの調理方法:おでんと一緒に煮る

イイダコは小さいながらも汁に色が移る。また、若干だが汁が灰汁(あく)で汚れるため、気になるようなら別鍋で調理した後に他の種と合流させよう。ただし、汁にはイイダコの美味しいうまみが溶け込んでいるので、色と味のバランスを見ながら加えてやるといい。なお、タコの詳しい調理方法は「おでんのタコ、柔らかくする方法と色移りの対策」という記事を参考にしていただきたい。

おでんのイイダコの調理方法

解凍、煮る、の2行程だけで美味しいイイダコのおでんが完成する。しかも、短い時間で柔らかくなり、味も染みる。

おでんのイイダコの調理方法

使用していないものは炒め物など別の料理に利用してもいいだろう。和食や韓国料理などいろいろと応用がきくので、ぜひ挑戦してもらいたい。

Scroll to top