おでんと小鹿田焼

おでんと小鹿田焼(おんたやき)はとてもよく合う。今回は、東京おでんだねがおでんの盛り付けに利用している小鹿田焼と、小鹿田焼の専門店である豊島区の東長崎にある「ソノモノ」を紹介したいと思う。

狐色に輝く揚げ蒲鉾、鈍く色のついた玉子、味が染みて透明になった大根、おでん種というのは、どこかあたたかみがあって、家庭的なやさしさを感じる。おでんに合わせる器も、あたたかみを感じるものがいい。

ソノモノで購入した小鹿田焼

東京おでんだねでは、器は民藝(みんげい)のものを中心に揃えている。なかでも大分県の小鹿田焼が大のお気に入りだ。

民藝とは「民衆的工芸」の略語で、民藝品は「一般の民衆が日々の生活に必要とする品」を意味する(参考:日本民藝協会)。工業製品とは異なり、ひとつひとつ手作業ながら、決して高価なものではない。人々の生活に寄りそった工芸品なのである。民藝は陶磁器をはじめ、織物や染物、木漆工などあらゆる分野におよぶ。

小鹿田焼は大分県日田市北部にある皿山という場所で作られている陶器で、宝栄2年(1705年)から続いているという。昭和6年(1931年)に民藝運動の父である柳宗悦の目にとまり、昭和29年(1954年)には陶芸家のバーナード・リーチも訪れ、ヨーロッパで開かれた世界工芸展でグランプリを受賞するなどして全国的に有名になった。陶芸技法が国の重要無形文化財に指定されており、皿山の「小鹿田焼の里」地区全体が重要文化的景観として選定されている。

小鹿田焼と日本橋お多幸本店のおでん

小鹿田焼といえば、飛び鉋(かんな)、刷毛目(はけめ)、櫛描き(くしがき)の表現技法が有名だ。色は飴釉、黒釉、緑釉など落ち着いたものが多い。繊細でありながら、どこかプリミティブな風情が素晴らしい。

東京おでんだねの記事をいつもご覧いただいている方はご存知だと思うが、おでん種の盛り合わせには小鹿田焼が頻繁に登場する。なかには湯町窯や出西窯のものもあるが、圧倒的に小鹿田焼が多い。おでん種の種類をたくさん買いすぎてお皿に入りきれないことも多いので、尺皿(直径1尺=約30cmの丸皿)もほしいところだ。

小鹿田焼とおでん種

色が明るいものでも暗いものでも、おでん種がよく映える。おでん種の魅力もさることながら、SNSで「よい器ですね」なんていうコメントをいただくことも多い。

パンケーキと小鹿田焼

もちろん、おでん以外の料理にも似合う。和食はもちろん、アジア料理、中華料理、そして西洋料理にも。パンケーキのようなアクの強いものでもこのとおり、とても雰囲気がいい。

東京都豊島区長崎:小鹿田焼ソノモノ

東京おでんだねが小鹿田焼を購入しているお店は、豊島区の東長崎にある「小鹿田焼ソノモノ」だ。小鹿田焼は東京の民藝店や食器店、インターネットでも手に入れられるが、ソノモノの品揃えにはかなわない。小鹿田焼は10軒の窯元が存在するが、ソノモノではそのすべての器を扱っている。ほかのお店には真似できない、稀有な存在なのだ。

東京都豊島区長崎:小鹿田焼ソノモノ

お客さんが何人か集まれば身動きできないほどの店内に、所狭しと小鹿田焼の器が並んでいる。棚だけでなく床やお店の外までも器が並び、訪れるたびに品が変わっている。

ソノモノで購入したデッドストックの小鹿田焼

新作が完成するたびに入荷されるのだが、なかには40年前のデッドストックに出会えることもある。上の湯呑みがそのデッドストック。素朴でありながら、深みのある色や文様が素晴らしい。唇に触れる器の縁の厚みが柔らかで心地よい。筆者のいちばんのお気に入りである。

ソノモノで購入した小鹿田焼

記事に登場する器のほかに、小皿や徳利、箸置き、はては植木鉢までソノモノで購入している。手頃な値段でありながら、職人の技が光る美しい色やかたち。そして扱いやすく、壊れにくい。ぽってりとしたあたたかみのある触感もいい。お店に訪れるたびにほしいものが増えるのだが、家の収納スペースの関係でたくさん購入するのを我慢している。

ソノモノの店主、くれまつさんとはお店に行くとついついおしゃべりしてしまう。笑顔が素敵でとても気さくな方なのだが、平成29年(2017年)に起きた九州豪雨で壊滅的被害を受けた唐臼(からうす、川の水の流れを利用して陶土を砕いている)の募金を呼びかけるなど、小鹿田焼に対して真摯に向き合う姿が印象的だ。

東京都豊島区長崎:小鹿田焼ソノモノの近くに住むふくさん

くれまつさんとのつながりは、猫好きというところが強い。ソノモノには「ふくさん」と「しまこ」いう外猫がよく訪れ、ソノモノのInstagramにたびたび登場していた。しばらく経ってしまこが姿を消してしまったが、ふくさんはまだまだ元気なようだ。筆者はソノモノに寄ると、必ず周辺を見回してふくさんを探している。

小鹿田焼と美奈福のおでん

自分の好みに合わせて器を選べば、どんな料理でもごちそうになる。東京おでんだねは小鹿田焼がお気に入りだが、読者の方々も同じ好みであるのならば、ソノモノなどでぜひ小鹿田焼に触れてみてほしい。ちなみにソノモノではインターネット通販を行っているが、お店のほうが圧倒的に品揃えが豊富なので、Instagramでチェックして実際に訪れてみてほしい。

小鹿田焼ソノモノの基本情報

小鹿田焼ソノモノ
〒171-0051 東京都豊島区長崎4-25-7
03-3958-5231
定休日:日曜
営業時間:11:00~18:30
小鹿田焼ソノモノのWebサイト
小鹿田焼ソノモノのInstagram

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