平澤かまぼこ王子駅前店のできたておでん

北区王子にある平澤かまぼこ王子駅前店はせんべろ界隈でも有名な立ち飲みおでんの名店だ。今回はこちらの店頭で販売するできたて調理済みおでんを紹介する。

平澤かまぼこ王子駅前店は、本店である神谷の平澤蒲鉾店が平成11年（1999年）に創業した。以前は2代目店主や初代店主のおかみさんがお店に立っていたが、現在では一緒に働いていたネパール人の若者（ラマ・プスカルさん）に代替わりしている。

平澤かまぼこ王子駅前店は立ち飲みの名店として、TVなどでも頻繁に取り上げられている。店内は奥行きはあるがこじんまりとしているためすぐに満杯になるが、回転が早いので待たされることはないだろう。お店の詳細は「平澤蒲鉾店のおでん種」の記事を参照いただきたい。

お店の入口正面には大きなおでん鍋がある。現在は新型コロナウイルス対策のためビニールシートがかかっているが、正面を通るだけでふんわり優しいおでんの香りが漂ってくる。

おでん鍋は仕切りが12以上設けられた超大型のもの。大根、こんにゃく、玉子、ちくわぶなどオーダーが多いおでん種を中心としながらも、揚げ蒲鉾系もたくさん揃えている。

このくったりとしたおでん種の様子をご覧いただきたい。おでん汁と同系色に染まった大根がなんとも美しい。すべてのおでん種がベストな状態でオーダーを待っている。

練り物のおでん種は水産練り製品製造業の一級技能士の資格を持つ本店の店主の手づくりとなり、揚げ蒲鉾だけでなく、はんぺん、魚のすじ、つみれも自家製だ。

花見シーズンだけあって、桜エビが入った桜はんぺんも多く取り揃えている。桜はんぺんは平澤かまぼこ店オリジナルのおでん種。ふわっとしたはんぺんの風味に桜エビの香ばしい香りがよく合う逸品だ。

ちょっと一杯引っかけていきたいところだが、我慢をして帰宅することにした。平澤かまぼこ王子駅前店では7種類のおでん種を購入した。

時計回りに12時から、大根、もちぶくろ、ロールキャベツ、すじ、やさいつみれ、ちくわぶ、カレーボール（中央）。神谷の本店の調理済みおでんと比較しようと思ったのでいつもより少なめに購入したが、残念ながら本店のほうは休業日だった。

調理済みおでんを購入すると、おでん汁と一緒にビニール袋に入れてくれる。カレーボールなどの串物は串から抜いてくれる。巾着類やロールキャベツは崩れやすいので気をつけて持ち帰るようにしよう。

弱火で温めれば即完成。自宅で手軽に本場せんべろのご馳走を楽しむことができる。とろとろ、くたくたになったちくわぶが美味しそうだ。ちょっとしたつまみと熱燗が揃えば至福の時間の到来だ。

おでん汁は煮干しベースの優しく温もりのある味で、醤油ベースの濃い茶色とは異なる薄茶色となっている。大きなおでん鍋でじっくり煮込まれた数々のおでん種の出汁が染み込んでいる。

大根は薄透明の色合いを見ていただければわかると思うが、おでん汁がじんわり染み込んでいて文句なしに美味しい。

カレーボールは他のおでん種専門店と比べて大ぶりなのと、1串3個なので食べ応えがある。カレーの風味が強めだが、玉ねぎが入っているのでほんのり甘い。

すじはアオザメとヨシキリザメに加えて、少量のマグロを混ぜた自家製だ。ほろほろと柔らかくなった食感が最高。お酒のお共に最適だ。

やさいつみれは魚の臭みを消すために刻んだネギや人参が入っている。白いすり身に散りばめられた緑やオレンジの色合いが華やかだ。もっちり、しっかりした食感は、イワシのほかにホッケとマグロを加えているためだ。

もちぶくろはいわゆる餅巾着だが、餅と一緒に入れられた刻み昆布がよいアクセントとなっている。また、焼きちくわを細切りにしたものが一緒に巻かれている。

ロールキャベツは挽き肉のほかに椎茸も入っており、豊かな風味とうまみがぎっしり詰まっている。巻かれた昆布も最高に美味しい。

最後はちくわぶ。見た目はくたくたでありながら、密封パックしていない通称ハダカ（業界用語）のものを使用しているので柔らかさと弾力が素晴らしい。

新型コロナウイルスの影響によって外食を控える日々が続いているが、お持ち帰りを利用すれば本格的な飲み屋の味を楽しむことができる。平澤かまぼこ王子駅前店の近くにある飛鳥山も桜が咲き始めているが、お花見散歩の帰りに立ち寄って、家でゆっくりおでんを楽しむのもいいだろう。

平澤かまぼこ王子駅前店
〒114-0021 東京都北区岸町1-1-10 NUビル1階
03-5924-3773
定休日：月曜
営業時間：火〜金：11:00～22:30（L.O.22:00）, 土日祝:11:00～21:00（L.O.20:30）
平澤かまぼこ王子駅前店のInstagram