九州屋蒲鉾店のできたておでん

東京都荒川区東尾久のおぐぎんざ商店街にある九州屋蒲鉾店では、おでん種のほかにできたて調理済みおでんを店頭で販売している。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

先週は平年よりも気温が低く大雪の地域も多かった。東京では快晴が続いているが、やはり寒い。いつも以上におでんが恋しくなる日が続いた。

東京おでんだねは自分で調理するおでん種の紹介をメインとしているが、これだけ寒いとあたたかなできたて調理済みおでんに手が伸びる。そんなわけで、新たなシリーズとしておでん種専門各店のできたて調理済みおでんを紹介していこうと考えた。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

第1回目は荒川区東尾久にある九州屋蒲鉾店。中野区野方にあった九州屋から暖簾分けで創業、昭和49年から営業している。豊富なおでん種と元気な女性たちが魅力の名店だ。東京おでんだねの取材としては2019年7月に訪れており、そのときの様子は「九州屋蒲鉾店のおでん種」で紹介している。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

九州屋蒲鉾店ではお店の角に大きな鍋をふたつ揃えており、できたて調理済みのおでんを販売している。遠くからでも目立つおでんの暖簾が目印だ。

現在は新型コロナウイルス対策としてビニールで仕切ってある。すこし見えづらいかもしれないが、メニューが掲げられているのでオーダーしやすい。それでもわからない場合はおかみさんたちに質問すれば丁寧に解説してくれるだろう。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

こちらの調理済みおでんの魅力は、なんといってもこのごった煮感だ。種類も豊富でその数40種類以上。これらのおでん種がそれぞれに出汁を出したり吸ったりして、複雑ながらも調和のとれた美味しさを作りだしている。大根や魚のすじのしみしみ具合が本当に美味しそうだ。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

こちらはメインの鍋の横にあるサブ鍋の様子。生揚げやなると、ロールキャベツなどしっかり味が染みてくったりしている様子がわかる。家に持ち帰る場合は、串から抜いておでん汁がたっぷり入ったビニール袋に詰めてくれる。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

ちなみにちくわぶは生のものを使用している。最近は豆腐屋やこんにゃく屋が少なくなっているので生のものを手に入れられる機会が少ない。もちもち感はパックのものとは比にならないので、ぜひ食べてみてほしい。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

串に刺さったおでん種は3個単位が基本だが、「煮込みが足りないから」と言って串から抜けて2個になってしまったものをおまけしてくれたりする。いかにも商店街の人情ある接客といった感じで、心もほかほかしてくる。なお、おまけはあくまでもお店側のご好意なので無理強いはしないこと。あくまでコミュニケーションの一環として受け止めてほしい。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

おかみさんに新型コロナウイルスの影響をうかがったが、夏場は人が多かったものの、現在は客足が少なくなりつつあるという。商店街の放送にある「午後4時には帰宅しましょう」というアナウンスの影響か、高齢者の多い土地柄の影響かはわからないが、書き入れどきの年末に向けて少々不安が残る。また、忘年会などが自粛されるため、大口のお客さんが明らかに少なくなっているそうだ。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

それでも、店頭に並ぶおでん種の種類と数の多さは相変わらずだ。ぎっしりと詰まったショーケースの光景に惚れぼれしてしまう。店主がおひとりで手作りされるそうで、この季節は「家には寝るためだけに帰る」ほどの忙しさなのだそうだ。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

年末には板蒲鉾と伊達巻も販売するので、これからさらに忙しくなるという。板蒲鉾はすべて手作りで、かなりの手間ひまがかかる。おかみさんたちも準備に忙しく、午前3時までかかることもざらだという。九州屋蒲鉾店の板蒲鉾と伊達巻は予約できるが、だいたい12月28日以降であれば店頭で直接購入できるそうだ(東京おでんだねも買いに行く予定)。

餃子と焼売の専門店の丸栄食品へ

調理済みおでんを購入した後、行きつけの丸栄食品(荒川区東尾久4-21-7)へ焼売を買いに寄る。こちらは餃子と焼売の専門店で約60年前に創業したお店だ。東京おでんだねの筆者はこちらの二代目のおかみさんが大好きで、立ち寄るとついつい世間話に花を咲かせてしまう。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:丸栄食品

女手ひとつでお店を営業し続け、現在は親子ふたり二人三脚で働いているという。筆者はおかみさんと自分の母を重ね合わせてしまうため、お元気にされているかどうかを確かめについお店をのぞいてしまうのだ。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:丸栄食品

こちらのポーク焼売は最高に美味しいので、蒸し器であたためてじっくり味わいたい。ひとつひとつが大きくひき肉がぎっしり詰まっている。九州屋蒲鉾店に行った際にはぜひ購入してみてほしい。

九州屋蒲鉾店の調理済みおでん

家に戻り、早速九州屋蒲鉾店の調理済みおでんをいただくことにする。
今回購入したのは13種類。揚げ蒲鉾にこだわらず、さまざまな種類のおでん種を選んでみた。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のできたて調理済みおでん

時計回りに12時から、もちきんちゃく、生揚げ、フランク、ウィンナー、牛すじ、つみれ、たまご、ロールキャベツ、うずら卵、野菜揚げ(ごぼう)、じゃがいも(中央左上)、もろこし(中央右上)、大根(中央下)。

持ち帰りの場合は2重のビニール袋に紙袋、さらに手提げのビニール袋に入れてくれるのでおでん汁がこぼれることはない。さらに匂いも漏れないので安心して持ち帰ることができる。もちろん、その場で食べることも可能だ。トレイ皿や割り箸を用意してくれるが、念のため自分のバッグに常備しておくといい。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

調理済みおでんを買うと練りからしが付いてくるが、たくさん購入したのでおまけで味噌おでん用の味噌をサービスしてくれた。使いきりサイズで扱いやすく、濃厚でコクのある甘みが魅力だ。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のできたて調理済みおでん

調理は簡単、おでん汁とおでん種を鍋に移して弱火であたためるだけ。ぐつぐつと煮る必要はなく、蓋もいらない。じゅうぶんあたたまったら食べどきだ。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 もちきんちゃく

もちきんちゃくは餅のボリュームたっぷりで食べ応えじゅうぶん。油揚げがしっかりおでん汁を抱き込んでいるので、口に含んだときにじゅわっと汁があふれてくる。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 大根

大根は黄金色に透き通るほどに味が染みている。厚めに切られているので大根のうまみを存分に味わえる。からしとの相性も抜群だ。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 フランク

フランクは噛んだ時のぷつりとした感触と、同時に溢れ出る肉汁がなんともたまらない。手ごろな値段で贅沢な気分を味わうことができる。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 ウィンナー

ウィンナーもフランクと同様に肉汁が溢れる。ちなみにフランクは豚の腸に詰めたもので、ウィンナーは羊の腸に詰めたものらしい。また、ウィンナーは太さが20ミリ以下のもので、フランクは20ミリ以上36ミリ以下のものを指すらしい(参考:ソーセージの日本農林規格 – 農林水産省)

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 ロールキャベツ

ロールキャベツはおでん汁を吸ってしんなりとしたキャベツと、ひき肉の肉汁がふんわりと溶けあってとても優しい味だ。ロールキャベツは自分で作るとなると少々面倒なので、こうして完璧な状態で販売されているのは非常にありがたい。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 野菜揚げ(ごぼう)

野菜揚げ(ごぼう)は魚のすり身に笹掻きのごぼうと人参が入っている。野菜のうまみをしっかり残しつつ、やさしくもふくよかなすり身の味を引き立てている。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 じゃがいも

じゃがいもは中までしっかり火が通っていながら、煮崩れていない。ほのかな自然の甘さが感じられる。自分で作る場合は、蒸して火を通してから冷やした後に鍋に入れるといいそうだ。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 つみれ

つみれは魚のすり身がベースとなっている。通常の揚げ蒲鉾と異なりすり身の挽きが荒いため、より魚の素材感を楽しむことができる。なお、九州屋蒲鉾店にはイワシが原料のおでん種としていわし玉もある。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 生揚げ

生揚げはしっかりと身が詰まっていて食べ応えがある。おでん汁もしっかり吸っているのでとてもジューシー。白ごはんにのせて食べても美味しいだろう。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種 たまご

玉子はしっかり鍋につけてあるので表面は美しい褐色になっている。断面もうっすら褐色に染まっている。固茹でとなっており、胃袋も大満足の仕上がりだ。このほかにもろこしも食したが、とうもろこしの甘みとおでん汁のほのかなしょっぱさ加減が最高だった。うずら卵は小さいながら黄身の味がしっかりとして美味しかった。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のできたて調理済みおでん

九州屋蒲鉾店では1年を通してできたて調理済みおでんを販売している。夏場にビールと一緒に楽しむのもいいが、なんといっても寒さが厳しい冬場に楽しみたい。燗酒や焼酎のお湯割などと一緒に楽しんで、残ったおでん汁を足して出汁割りにして味わうのもいい。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

新型コロナウイルスがふたたび猛威をふるっているが、外出の際には気をつけつつ、家でゆっくりおでん種専門店の本格的なおでんを楽しんでみてはいかがだろうか。

九州屋蒲鉾店の基本情報

〒116-0012 東京都荒川区東尾久4-31-11
03-3800-0328
定休日:火
営業時間:9:00~19:20
九州屋蒲鉾店のWebページ(おぐぎんざ商店街のWebページ)

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