東急池上線には多くの魅力的な商店街があり、歩いていける距離に3軒のおでん種専門店が存在する。今回は戸越銀座駅から荏原中延駅にかけてのおでん種やさんめぐりを紹介する。
東急電鉄池上線は五反田駅から蒲田駅まで15駅、路線距離も約11キロとコンパクトなものとなっている。西島三重子さんのヒット曲「池上線」が有名だが、歌詞にもあるように沿線の商店街が魅力的なのだ。
とりわけ商店街として有名なのが、戸越銀座駅にある戸越銀座商店街だ。東京で最大規模を誇り、全長は約1.3キロ、さまざまな業態の店舗が400軒ほどひしめいている。また、お隣にある荏原中延駅には3つの商店街があり、さらにその周辺にも小さな商店街がつながっている。
おでん種専門店は戸越銀座駅から江原中延駅までに3軒あり、歩いていける距離だ。商店街を楽しみながら各店のおでん種を比較してまわるにはもってこいのロケーションなのである。
今回は戸越銀座駅・江原中延駅周辺のおでん種やさん散策コースを紹介していきたいと思う。まず、戸越銀座駅からスタートして後藤蒲鉾店、次に徒歩で荏原中延方面に移動して丸佐かまぼこ店(荏原中延)、最後に荏原中延駅にほど近い蒲眞(かましん)へと向かう。
注意事項として、今回紹介する3軒中の2軒は日曜が定休日なので予定を調整しておこう。また、その場で食べたい場合に備えて底の深い紙皿や割り箸、ゴミ袋を持参しておくといい。
戸越銀座駅から後藤蒲鉾店へ
東急池上線の戸越銀座駅に到着したら、そのまま東へ移動しよう。魅力的なお店がたくさんあるので目移りしてしまうが、また同じ道を戻ってくるのでほどほどに。ちなみに都営浅草線の戸越駅からのほうがお店に近い。
第二京浜を越えた先に後藤蒲鉾店がある。じつは戸越銀座は3つに分かれていて、後藤蒲鉾店は戸越銀座商店街振興組合(中央街ゾーン)のいちばん東側にある。
後藤蒲鉾店は昭和38年(1963年)に創業、戸越銀座には昭和40年(1965年)くらいに移転してきた。詳しい情報は以前の記事「後藤蒲鉾店のおでん種」を参照していただきたい。
おでん種は揚げ蒲鉾とそれ以外のものが豊富に揃っている。練り物のおでん種は20種類以上あり、魚のすり身に豆腐を混ぜたふわふわ揚げや、カニとチーズを混ぜたカニチーズいなりなど変わり種も多い。ほとんどがお店の手作りであり、はんぺんと魚のすじも自家製だ。
できたての調理済みおでんや牛すじが入った牛すじトロトロカレー、おでんの具材を細かく刻んでジャガイモにあえたおでんコロッケなど、その場で食べられるメニューが豊富だ。
店舗の隣には飲食スペースがあり、ゆっくりとおでんを堪能できる。賑やかな装飾で親しみやすい雰囲気で、複数でもおひとりさまでもリラックスして楽しめる。
戸越銀座から荏原中延の丸佐かまぼこ店(2021年9月閉業)へ
後藤蒲鉾店でおでんを楽しんだ後は徒歩で荏原中延へ向かう。歩いてきた道を戸越銀座駅方面に戻りつつ、あらためて戸越銀座の魅力を堪能しよう。
戸越銀座商店街は「グルメロケの聖地」といわれるように、食べ歩きの街としてテレビをはじめとした多くのメディアで紹介されている。これは商店街側が活性化事業を推進した結果で、後藤蒲鉾店のおでんコロッケもその一環。戸越銀座が立正大学と産学連携した「戸越銀座コロッケプロモーション事業」のうちの1商品だ。
ちなみに駅とは反対方向になるが、丸萬という元おでん種専門店がある。店主が2011年に他界して以降、おかみさんが天ぷらや餃子などのお惣菜を販売している。残念ながらおでん種は購入できないが、おかみさんから店主がご活躍だったころのお話をうかがえると思う。土日祝日が定休日なので、訪れてみたい方は注意しよう。
戸越銀座駅を抜けたら、適当なところで南側の道へと入っていく。ここから少し住宅街を散策することになる。現在いる地点から次の目的地となる丸佐かまぼこ店をGoogleマップで検索し、経路検索をすればいいだろう。おおよそオオゼキ戸越銀座店あたりで検索するといい。ちなみに杉並区堀ノ内にある丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店も検索候補にあがるが、2時間半歩いて別店舗へ行くことになるので注意しよう。
約8分ほどを歩くと丸佐かまぼこ店に到着する。赤と黄色の雨よけが目立つのですぐにわかると思う。東京おでんだねでも頻繁に登場するおでん種専門店だ。
丸佐かまぼこ店は初代から2代目店主に引き継がれ、地元民に長く親しまれている。TV番組でも多く取り上げられている有名店だ。東京おでんだねがTVに取材協力した際も2回ほど推薦させていただいた。
はんぺんや魚のすじだけでなく、定番の練り物のおでん種もすべて手作りで、20種類以上が並ぶ。美しく揚がった黄金色がなんとも美しい。
できたて調理済みおでんも店頭販売している。ちくわぶや大根は味が染みるように、鍋に入れる前からおでん汁につけておく工夫をしている。鍋に入ったおでん種はいつでも食べごろで、夕方になるとお客さんでいっぱいになる。メニューを見ないでオーダーする人が多く、このお店が長年愛されていることがうかがえる。
荏原中延駅を通り過ぎて蒲眞へ
最後に訪れるのは居酒屋も経営している蒲眞(かましん)だ。サンモールえばら商店街を抜けて荏原中延駅についたら西に進み、昭和通り商店街へ向かう。
もしもあなたが商店街マニアなら、蒲眞へ向かう前に中延商店街(なかのぶスキップロード)に寄ってみるのもいいだろう。荏原中延駅の南側にあり、東急大井町線の中延駅までつながっている。
立派なアーケードがあり活気もあるが、どこかほのぼのとした雰囲気を醸し出している。次に向かう蒲眞で飲食をする場合は17時開店なので、散歩しながら時間をつぶしてもいいだろう(おでんの販売は12時過ぎ)。
蒲眞は現在居酒屋がメインとなっているが、初代店主はおでん種(蒲鉾)職人だ。焼き鳥などのメニューも好評だが、おでんを求めにやってくる常連も多い。初代店主、初代の奥さま、2代目となる息子さんが協力してお店を盛り上げている。
おでん種は7種類ほどが並ぶ。以前はもっと多くのおでん種を作っていたが、納得のいく魚が手に入りにくくなったため数を減らしているそうだ。
店内では焼き鳥などのほかにおでんも注文できる。鰹出汁がしっかりと効いたおでん汁がそれぞれのおでん種にじっくり染みている。
また、魚のすり身を使用したメニューもある。写真はピーマンとなすのはさみ揚げだ。注文が入ってから揚げるので、すり身はほくほく、野菜もじんわりうまみがにじみ出る。蒲眞の魚のすり身はおでんとしてだけではなく、こうやって生姜と一緒に食べても美味しい。
今回は東急池上線の戸越銀座駅から荏原中延駅にあるおでん種専門店を3店舗紹介した。紹介したルートはあくまで参考程度にしていただき、どこからどのようにアクセスしても構わない。新型コロナウイルスに気をつけながら、自分だけのお気に入りのおでん種やさんを見つけよう。
後藤蒲鉾店の基本情報
後藤蒲鉾店
〒142-0041 東京都品川区戸越2-6-8
03-3781-5686
定休日:火曜
営業時間:10:00~20:00
後藤蒲鉾店のWebサイト
後藤蒲鉾店のFacebook
【2021年9月閉業】丸佐かまぼこ店(荏原中延)の基本情報
丸佐かまぼこ店
〒142-0053 東京都品川区中延1-8-15
03-3785-2339
定休日:日曜
営業時間:8:00~19:00(商品が並ぶのは昼頃から)
蒲眞(かましん)の基本情報
蒲眞(かましん)
〒142-0053 東京都品川区中延2-15-16
03-3782-2591
定休日:日曜
営業時間:平日17:00〜22:00(ラストオーダー)、祝日17:00〜21:00(ラストオーダー)
おでん種販売は12:00以降、夏季お休み