増田屋蒲鉾店(堀切)のできたておでん

葛飾区堀切にある増田屋蒲鉾店は優しい店主ご夫婦の接客が心あたたまるおでん種専門店だ。今回は増田屋(堀切)のできたておでんを紹介しよう。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん

東京おでんだねでは過去2回にわたって増田屋(堀切)の自宅調理用のおでん種お惣菜を紹介してきた。今回は地元以外にもファンが多い、店頭で調理したおでんを紹介したいと思う。

心あたたまる接客が魅力の増田屋蒲鉾店(堀切)

増田屋(堀切)へは京成本線の堀切菖蒲園駅から北へ15分、東京メトロの綾瀬駅から南へ15分ほど歩くとたどり着ける。周辺は住宅に囲まれているが、二葉商店街という商店街になっている。かつては買い物客であふれていたが、現在はお豆腐屋さんや鮮魚店など数軒を残すのみとなっている。長年営業していた焼き鳥屋さんも先日閉業してしまった。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)外観

増田屋(堀切)は足立区本木にあった同名の蒲鉾店から独立し、昭和44年(1969年)に現在の場所で開業した(記事「増田屋の系譜」参照)。店主ご夫婦が二人三脚で営業を続けているが、地元のお客さんがやってきては世間話に花を咲かせており、いつ訪れても和やかな雰囲気に包まれている。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)おでん種

お店の正面にあるショーケースには手づくりの練り物やおでん種が並んでいる。さつま揚やイカ巻など定番の種を中心に20種類以上を揃える。詳しい紹介は「増田屋蒲鉾店(堀切)のおでん種」の記事をご覧いただきたい。

お惣菜も充実しており、焼きそばや天ぷら、煮物などが販売されている。毎朝店主とおかみさんでなにをつくるか打ち合わせをして、午後から調理するそうだ。なかでも卵焼きが人気で、甘すぎない味付けが好評なのだそうだ。お惣菜については「増田屋蒲鉾店(堀切)のお惣菜」の記事をご覧いただきたい。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん

今回の目的である店頭で調理したおでんはお店の右側で購入できる。春夏の暑い時期を含めて通年販売しているのは嬉しいところだ。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん

たっぷりの汁でじっくり煮てあり、常時食べごろになっている。おでん種は種類ごとに整然と並べられ、煮崩れもしておらず美しい佇まいだ。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん(メニュー)

壁に貼られている値段表を見ると27種類あることがわかる。鍋を覗いて店主やおかみさんの説明を聞きながら注文するのも楽しいだろう。どれも手頃な価格帯となっているが、玉子や油などの原材料費、ガスなどの光熱費が高騰して大変だとおっしゃっていた。

おでんは大根や玉子などの定番物は外せないが、やはり店主の職人技が冴える練り物を注文するといい。なかでも人気なのがカレーボールで、一度に大量に購入していく常連客もいる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん

出汁は昆布や鰹節などを基本としながら、お惣菜の煮物で使うものを含めてさまざまなものを組み合わせている。このおでん汁が好評で、なかには「お金を出すので汁を多めに入れてほしい」とリクエストするお客さんもいるという。その際は追加料金は取らずにたっぷり汁を入れて提供するそうだ。

この汁を使って茶碗蒸しやうどんをつくると美味しいと教えてくれたが、店主やおかみさんもお客さんから教わったそうだ。日本酒に加えて出汁割りにしても味わっても美味しいだろう。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)

どのおでん種やさんに訪れても皆あたたかく迎えてくれるが、増田屋(堀切)の接客も非常に人情味がある。今回もお忙しい中、1時間近くお話を聞かせていただいた。

店主によると新型コロナウイルスの流行を境に客層が変わったという。以前は長年通い続ける常連客が多かったが、現在ははじめて訪れる若い人たちが増えてきた。恐らくはコンビニのおでんの取り扱いが減ってきたことと、巣篭もり需要によって自宅でローカルの味を楽しもうとインターネットで検索して訪問しているのだと思われる。

地元の常連客は大切な存在だが、時を経るにつれて高齢化するため客数は減少していく。新たなお客さんが増えていることは非常に嬉しいことだと店主はおっしゃっていた。その情報源として東京おでんだねがわずかながらでも貢献しているようなので、とても嬉しく思った。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)のお惣菜(煮物)

しばらくおふたりと会話を楽しんでいると、記事のお礼と言って煮物をおみやげにいただいた。訪れた日は暖かかったので、わざわざ氷を詰めたポリ袋を一緒に入れていただいた。ご近所さんのやり取りのようで、なんとも心があたたまる。

煮物はがんもどきや生揚げ、人参やじゃがいもなど具沢山で、上品な甘味と出汁の風味が心地よい逸品だった。きっとおふたりが心を込めて作られたのだろう。

増田屋蒲鉾店(堀切)のできたておでん

増田屋蒲鉾店(堀切)のできたておでんを購入して早速その味を楽しんでみた。今回購入したのは10種類。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん

時計回りに12時から、大根、ちくわぶ、すじ、げそ巻、カレーボール、やさい揚、じゃが芋、ギョウザ巻(中央左)、つみれ(中央上)、玉子(中央右)。一緒にからしもつけてくれる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん

おでんはポリ袋に入れ、輪ゴムでしっかり口を縛っているのでこぼれる心配が少ない。さらに紙袋と手提げ用のポリ袋に入れてくれる。食べる直前に鍋に移して弱火で温めればすぐに味わうことができる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん

おでん汁は塩味がしっかりしながら丸くふくよかな味わいで、さまざまなおでん種から出るうまみが溶け合っている。優しさの中に奥行きを感じられ、店主ご夫婦の人柄が反映されたかのような味わいだ。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん 大根

大根は中まで半透明になるほどじっくり煮てあるが形崩れしていない。口に含むごとに汁がじゅわっと溢れ、昆布や魚のすり身などほかの種のうまみが重奏的に感じられる。それでいて非常に清らかな味わいを楽しめる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん 玉子

玉子もよく味が染みていながら、フレッシュな白身の食感とクリーミーな黄身の味わいを楽しめる。おでん汁に溶いて味わうと非常にまろやかだ。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん ちくわぶ

ちくわぶはもちもちとふわふわの中間の食感となり、絶妙な煮加減となっている。ほんのりと漂う粉物感も素晴らしい。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん じゃが芋

じゃが芋はつるりと綺麗に仕上がっており、ねっとりとした食感が楽しめる。均一に火が通っていて最後までその美味しさを楽しめる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん カレーボール

カレーボールはカレー粉のスパイシーな味わいがしっかり感じられるが、同時に魚のうまみも味わえる。煮込んでもふにゃふにゃにならずに心地よい弾力が残っている。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん ギョウザ巻

ギョウザ巻は餃子の風味が非常に強く、餡の肉のうまみも十分に堪能できる。魚のすり身の厚みもちょうどよく、ふたつの美味しさを同時に味わえる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん やさい揚

やさい揚は人参やネギなどが混ぜこまれていて彩りが美しい。野菜のほのかな甘味と香りが漂い、魚のうまみを引き立てている。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん げそ巻

げそ巻はイカゲソを魚のすり身で包んだ揚げ蒲鉾だ。ゲソが非常に柔らかく、噛むと魚のすり身と一緒になって混ざり合い、より強いうまみとなって押し寄せてくる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん すじ

すじは肉厚に切られており、噛むと口の中でほろりと崩れる。おでん汁を吸い込みながら、すじのうまみも感じられる絶妙な煮加減となっている。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん つみれ

つみれはイワシの美味しさを堪能できるが、くどさはない上品な味わいとなっている。魚が苦手な人でも美味しく食べられる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)

店主は80歳を過ぎた現在でも手づくりの揚げ蒲鉾を作り続けている。冬は寒く夏は暑く、立ちっぱなしの重労働だが、地元や遠方から訪れるお客さんのために頑張っているそうだ。最近は日曜祝日のほかに水曜日も定休日にして、長い間続けられるように負担をすこしでも軽くしようと工夫している。

おかみさんは非常にはつらつとしていて、店先に植えられている花々のように輝いている。増田屋(堀切)はおでんの美味しさはもとより、元気を与えてくれる良店だ。これからも末長く健やかに、美味しいおでんを作り続けていただきたいと思う。

増田屋蒲鉾店(堀切)の基本情報

増田屋蒲鉾店
〒124-0006 東京都葛飾区堀切7-7-14
03-3604-9473
定休日:水曜・日曜・祝日
営業時間:9:00~19:30

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