増田屋蒲鉾店(堀切)のお惣菜

葛飾区堀切にある増田屋蒲鉾店は昭和44年から50年以上続くおでん種専門店だ。今回は増田屋蒲鉾店(堀切)のお惣菜を紹介する。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜

増田屋蒲鉾店(堀切)は地元の常連客を中心に愛されるおでん種やさんだ。店主やおかみさんは非常にやさしく、実家にいるようなほのぼのとした気持ちにさせてくれるお店だ。

花菖蒲と下町グルメが魅力の葛飾区堀切

葛飾区堀切は古くから花菖蒲の名所として知られ、江戸時代には歌川広重の「名所江戸百景」や歌川豊国の「堀切菖蒲花盛図」などに描かれた。

東京都葛飾区堀切:堀切菖蒲園

戦前までに堀切園や吉野園、観花園などいくつかの菖蒲園が存在したが、堀切園を東京都が購入し、のちに葛飾区に移管された堀切菖蒲園のみが残っている。また、堀切菖蒲園の近くには平成13年(2001年)に開園した堀切水辺公園があり、美しい花菖蒲を鑑賞することができる。

東京都葛飾区堀切:堀切菖蒲園

堀切菖蒲園には江戸花菖蒲200種6000株が植えられ、満開となる6月は息をのむ美しさだ。この時期は「葛飾菖蒲まつり」が開催されるので、平日でも訪れる人の数は多い。

東京都葛飾区堀切:菖蒲七福神

堀切はこのほかに、焼酎ハイボールの発祥の店である「小島屋」や餃子通に人気の「哈爾濱餃子」(現在休業中)、そのほかたくさんの町中華や飲み屋があり、下町グルメを堪能できる。

実家に帰ったような心地よさ、増田屋蒲鉾店(堀切)

今回紹介する増田屋蒲鉾店(堀切)は、堀切菖蒲園とは逆方向に進んだ住宅街にある。京成電鉄本線の堀切菖蒲園駅から徒歩15分、JR常磐線・東京メトロ千代田線の綾瀬駅から徒歩15分ほどの距離なので、はじめて訪れる方は地図アプリを頼りに向かうといいだろう。

東京都葛飾区堀切:二葉商店会

住宅街のなかに二葉商店会という商店街があり、豆腐店や焼き鳥店、おでん種専門店の佃治(つくはる)などが営業している。最盛期は80軒以上のお店が立ち並び、買い物客で自転車も通れないほど賑わっていたという。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)外観

増田屋蒲鉾店(堀切)は南北に伸びるメイン通りに交差する道を西に入った場所にある。昭和44年(1969年)に開業してから50年以上続くおでん種専門店だ。

増田屋蒲鉾店の系譜図
増田屋蒲鉾店の系譜図:クリックして拡大

増田屋の屋号をもつおでん種専門店は暖簾分けによって増え、かつては都内を中心に50店舗以上存在していた。堀切の店主は葛飾区立石のお店から暖簾分けした足立区本木(足立区関原2-28-5と思われる)の店主の弟さんで、本木で修行したあとに堀切で独立した。増田屋の歴史については「増田屋の系譜」という記事にまとめてあるのでご一読いただきたい。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)外観

店主とおかみさんは気さくで心やさしく、話していると実家に帰ったような心地よさを感じる。前回訪問した際は1時間以上話し込んだが、今回も同じくらい長居してしまった。

地元の人々がお店の前を通りかかるたびに挨拶を交わしていく。ある常連の方はふらりと立ち寄って筆者とおかみさんの会話に加わり、井戸端会議のようにおしゃべりを楽しんでいた。

増田屋蒲鉾店(堀切)は平成29年(2017年)12月に近隣からもらい火があり、一時的に営業できなくなったことがある。店主ご夫婦は意気消沈して廃業を覚悟していたが、地元の仲間や息子さんの励ましがあって営業を再開しようと決意したそうだ。常連の方の「前に進むしかないよね」というの言葉におかみさんが深くうなずいていて、長年苦楽を共にしてきた地域の絆を強く感じた。

常連客から愛される増田屋蒲鉾店(堀切)の商品たち

増田屋蒲鉾店(堀切)は1年を通じておでん種やできたておでん、お惣菜などを販売している。おでん種は揚げ蒲鉾を中心に20種類以上、しょうが揚やカレーボール、ギョウザ巻が人気だ。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)おでん種

店主は今年80歳を迎えるそうだが、現在も工場(こうば)に立ちながら揚げ蒲鉾を手づくりしている。現在は冷凍すり身を使用しているが、以前は生魚を1尾ずつおろしてすり身にしていた。はんぺんや魚のすじを手作りしていたときは、営業終了後から深夜まで仕込みを行っていたそうだ。

長年通い続ける常連客は皆「増田屋蒲鉾店(堀切)の味でないと満足できない」と口を揃える。ある常連客は親の世代から通い続けており、現在も大量のおでん種を定期的に購入しているという。カレーボールでいえば1000円分、個数だと70個の量になる。増田屋蒲鉾店(堀切)の味は「慣れ親しんだ唯一無二の味」なのだそうだ。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)できたておでん

店頭調理のできたておでんにもファンが多い。取材中に買い求めにきた常連客にお話をうかがったが、彼は「自分の好みの味にぴったりで、このお店以外は考えられない」と教えてくれた。店主は「歳をとると体力的にきついけど、お客さんの期待に応えるために続けるしかないよね」と微笑まれていた。

堀切や綾瀬、宝町などの近隣のお客さんが多いが、最近は千葉県の柏市など遠方からやってくるお客さんもいるという。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜

お惣菜は平成14年(2002年)ごろから作りはじめ、天ぷらや煮物、だし巻き卵、オムレツ、玉ねぎサラダなど常時5、6種類販売している。主におかみさんが調理するが、店主と二人三脚で作業することも多く、メニューは毎朝おふたりでミーティングして決めるという。煮物はカボチャやきんぴらごぼうなど日替わりとなり、訪れた日は昆布と椎茸の煮物だった。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)

人気のお惣菜は天ぷらで、衣を薄くすることで固くならずにからりと揚がり、その食感が好評を博している。また、女性や高齢者でも食べやすいように、ひと口サイズにしている。具材が揃っていれば、店頭に並んでいないものでもその場で揚げてくれ、できたてを味わうことができる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜

ショーケースの上には作りたての焼きそばが置かれていた。紅生姜と青のりの彩りが美しく、露店で販売されているような懐かしさを感じる。3つほど並べられていたが、常連客が一度にすべて購入していった。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)

ショーケースには「すみいかが入荷しました」というお知らせが貼られていた。「すみいか」はさきイカにイカ墨をまぶした珍味で、お酒のおともに最適な一品だ。増田屋蒲鉾店(堀切)では千住大橋にある足立市場(足立区千住橋戸町50)でおでん種やお惣菜の材料を仕入れているが、この商品も市場から取り寄せたそうだ。

心がこもったやさしい味のお惣菜

増田屋蒲鉾店(堀切)では4種類のお惣菜と5種類の揚げ蒲鉾を購入した。どれも店主やおかみさんの心がこもったやさしい味わいの品々だ。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜

上写真の左から、すみいか、揚げ蒲鉾各種、煮物(昆布と椎茸)、焼きそば、天ぷら。それぞれポリ袋やフードパックに入れてあり、煮物は汁がこぼれないように輪ゴムでしっかり止めてある。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜 天ぷら

天ぷらはさつまいも、人参、なすの3種類を購入した。さくさくとした食感が素晴らしく、それぞれの野菜の甘みがじんわり感じられ、天つゆや醤油などをつけなくても美味しい。購入してから時間を置く場合はオーブントースターで温め直すといいだろう。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜 煮物

煮物は昆布と椎茸のほかに、鰹節と生姜の千切りが加えてあり、やさしく奥行きのある味わいを楽しめる。昆布は四角く平らに切ったもののほかに、おでんのような結び昆布のものもある。柔らかく煮てあるのでどちらも食べやすいが、異なる食感となっていて面白い。椎茸も風味がよくしっかり味が染みていて、生姜の香りが爽やかなアクセントとなっている。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜 焼きそば

焼きそばは豚肉、キャベツ、じゃがいものほかに細切りしたなると巻が入っており、濃厚なソースの味と相まって満足感が高い。定番の青のりは磯の香りが心地よく、紅生姜の爽快な辛味でさらに食欲が増してくる。冷めた状態でも美味しく味わえる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜 すみいか

すみいかはお惣菜というよりは酒の肴として最高の品だ。通常のさきイカよりも塩味に角がなく、味に深みがあって後をひく美味しさだ。そのままでもじゅうぶん美味しいが、好みでマヨネーズや七味唐辛子などをつけてもいいだろう。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)揚げ蒲鉾

おでん用の揚げ蒲鉾もお惣菜として楽しめる。今回購入したのはやさい揚、いか揚、さつま揚、しょうが揚、たこぼうるだ。「何個いくら」のセット販売が基本だが、リクエストすれば単品でも提供してくれる。おでんにしても美味しいが、そのまま食べたほうが本来の味を強く感じることができる。その場合は、オーブントースターなどでかるく炙るといいだろう。

すり身の弾力はしっかりしており、噛めば噛むほど魚の旨味がにじみ出る。50年以上研鑽を積んだ店主の職人技術を堪能できる。また、おでん種の種類によって生姜や大葉、イカやタコなど異なる美味しさも楽しめる。

東京都葛飾区堀切 二葉商店会:増田屋蒲鉾店(堀切)お惣菜

増田屋蒲鉾店(堀切)はメディアに登場したことがない隠れた名店だったが、テレビ東京系の「出没! アド街ック天国」の「堀切菖蒲園」(2022年6月18日放送)で取り上げられることになった。TVに映るのは恥ずかしかったのでお店の外観のみを撮影する予定だったが、最終的に店主ご夫婦と常連客のみなさん揃って出演することになった。結果として撮影は楽しい思い出になり、おかみさんは「迷わずなんでもやってみるべき」と思ったという。また「前向きな気持ちになれるのは、いつも支えてくれる人々のおかげ」ともおっしゃっていたが、それは店主やおかみさんのやさしい人柄が影響を与えているのだと思う。これからも地元の人々と支え合いながら、増田屋蒲鉾店(堀切)には末長く営業を続けていただければと思う。

増田屋蒲鉾店(堀切)の基本情報

増田屋蒲鉾店
〒124-0006 東京都葛飾区堀切7-7-14
03-3604-9473
定休日:日曜・祝日
営業時間:9:00~19:30

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