緊急事態解除後、増英蒲鉾店へ訪問

緊急事態措置の解除後、江東区北砂の砂町銀座商店街にある増英蒲鉾店に訪れ、自粛時から現在までの様子をお店の方々にお伺いした。

新型コロナ対策を行いながら営業を続ける増英蒲鉾店

4月からはじまった緊急事態措置が解除された。東京アラートが発動しているため三密などの注意事項を考慮しつつ、東京おでんだねの筆者は約2ヶ月半ぶりに取材へ出かけた。

制限下で営業を続けるお店がありながらも、これを機に閉業を考えるお店もあったことだろう。自宅での情報収集に限界を感じていたので、早く出向いて確かめたいと思っていた。また、新型コロナウイルス感染症に対しての向き合い方など、お話をうかがいたいと思っていた。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のInstagram
増英蒲鉾店のInstagram

そのようななか、江東区北砂の砂町銀座商店街にある増英蒲鉾店のTwitterInstagramのアカウントで、新型コロナ感染症の対策を紹介する投稿を発見した。ゴールデンウィーク中の営業自粛にはじまり、できたておでんの鍋の前にビニールシートを貼ったり、順番列の間隔を1メートル空けるなど、いろいろと工夫を凝らしてるようだった。

新型コロナ関連のお話もうかがいたいし、久しぶりに増英名物の中華揚も食べたい。というわけで、取材再開の第1回目は増英蒲鉾店に決定した。

徐々に通常の営業に戻りつつある商店街と増英蒲鉾店

緊急事態措置が解除された砂町銀座商店街。お惣菜を売るお店を中心として魅力的な商品がたくさん並んでおり、以前のような活気を取り戻しているようだった。

東京都江東区北砂:砂町銀座商店街

地元の老若男女が三密を意識しつつ、商店街での買い物を楽しんでいた。上の写真は非常に混雑しているように見えるが、今回のコロナ禍で有名になった望遠レンズの圧縮効果でそのように見えるだけだ。商店街を撮影しようとすると、どうしてもこのような構図になってしまうことをお許しいただきたい。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店

商店街の様子を眺めながら歩を進めると、増英蒲鉾店にたどり着いた。

一家総出でお店に立ち、接客、おでん種作り、できたておでんの調理などの作業を分担していた。それぞれの持ち場で黙々と仕事をこなす、以前と変わらぬプロフェッショナルな姿勢が貫かれていた。お目当ての中華揚と、前回の記事で取り上げなかったおでん種を購入してから、二代目店主とおかみさん、娘さんたちにお話をうかがった。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店の新型コロナ対策

順番列の先頭には、張り紙の注意書きがあった。「前の方との間を1メートルくらい空けて下さい」という文字が確認できる。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店の新型コロナ対策

代金とお釣りをのせるトレーにも、新型コロナ対策の注意書きが書かれていた。コンビニなどでお馴染みとなった、いちばん身近な感染防止策だ。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店

おでん鍋の前には、Instagramで見たビニールシートはかけられていなかった。お話をうかがったところ、湯気でビニールが曇って鍋の中身が見えなくなり、お客さんが裏側に入ってきてしまう事態が発生、逆効果なので取り外したそうだ。

増英蒲鉾店ではお客さんの安全を第一に考え、新型コロナに対してさまざまな方策を実施してきたが、砂町銀座に訪れる地元のお客さんたちに合わせて営業方法に改良を加えているそうだ。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店

緊急事態措置の期間、人出はあまり変わらなかったが、買い物客よりも散歩する人が多かったそうだ。そのため、例年に比べて客足は伸びなかったという。「緊急事態措置が解除された現在は、気温が上がってきたのでお客さんが少なくなりつつある」と娘さんがおっしゃっていたが、訪れたときは常にお客さんが2、3人訪れていた。さすがは東京のおでん種やさん屈指の人気店である。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のはんぺんフライ

増英蒲鉾店はおでん種以外のお惣菜も充実している。店主が揚げたてのはんぺんフライを次々にトレイにのせていた。手作りのふわふわのはんぺんを、カリカリの衣が包み込んでいる。Instagramの投稿で見て気になっていたので購入してみることにした。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:あさり屋さん

増英蒲鉾店を後にして、以前にも紹介したアサリ専門店のあさり屋さんに寄ることにした。ここの浅利めしは絶品で、砂町銀座に訪れるときは必ず購入している。おかみさんの上品な接客が心地よい。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:あさり屋さん

あさり屋さんで飼われている犬も元気そうだ。お店の前に店員さんがいないときには、この犬に話しかけると呼び出してくれる。笑顔がとてもチャーミングなのだ。

あさり屋さんのほかに、焼き鳥とモツ煮込みが美味しい竹沢商店、そしていくつかのお惣菜店でイカ大根などを購入して帰路につく。馴染みのお店で好物の品々を買う平凡な日常は、なんて尊いものなのだろう。困難な状況でも営業を続けてくれる商店街やお店に感謝しきりである。

やはり美味しい!増英蒲鉾店のおでん種と砂町銀座のお惣菜たち

今回、増英蒲鉾店で購入したおでん種はちょっと少なめ。おでん種5種類+総菜1種類。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のおでん種

時計回りに12時から、中華揚、ぎょうざ巻、エビボール、ゲソ巻、ウィンナー巻。このほかにはんぺんフライも購入。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のはんぺんフライ

はんぺんフライは揚げたてがいちばん美味しいが、冷めてもじゅうぶん美味しい。ふわふわのはんぺんにほどよく塩味が効いていて、サメのうまみがしっかり閉じ込められている。ソースや醤油をかけなくてもOKだ。サクサクとした衣の食感とのコントラストもすばらしい。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のおでん

今回は少なめに購入したので、小さな土鍋で調理する。玉子は砂町商店街のお惣菜屋で購入した味玉を入れてみた。煮込む必要がないので、弱火で10分程度温めれば完成だ。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のおでん種 エビボール

エビボールは桜海老がふんだんに練りこまれている。色合いが美しいだけでなく、顔を近づけるだけでふわりと桜海老のやさしい香りが漂う。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のおでん種 ぎょうざ巻

ぎょうざ巻はクタクタになった餃子の皮と肉汁をたたえた餡が最高の逸品。魚のすり身も味わい豊かで舌触りもなめらかだ。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のおでん種 ウィンナー巻

定番のウインナー巻は気軽に口に運べる大きさで、いくつ食べても飽きない。プリッとした皮とジューシーなお肉が最高に幸せな気分にさせてくれる。

東京都江東区北砂 砂町銀座商店街:増英蒲鉾店のおでん種 ゲソ巻

ゲソ巻はゲソが2本入っており、イカのうまみをじゅうぶん堪能できる。とても柔くて噛み切りやすいが、しっかりうまみが閉じ込められている。

東京都江東区北砂:砂町銀座商店街のお惣菜

そして、砂町銀座で購入したお惣菜の品々も食卓に並べた。あさり屋さんの浅利めしはアサリの量が多く、アサリやシジミなどの貝でとった出汁と一緒に炊いたごはんがとても美味しい。竹沢商店の焼き鳥は適度なボリュームがあり、それぞれがとてもジューシーだ。炭火の風味もすばらしい。こちらのモツ煮込みもおすすめで、肉のうまみが溶け込んだトロトロの汁が最高に美味しい。イカ大根は出汁がしっかり染み込んでいて、ご飯にとてもよく合う。

自宅で工夫を凝らして作る料理も美味しいが、専門店の作る料理もすばらしい。外出自粛で痛感したが、おでん種専門店のおでん種の美味しさは本物だし、お惣菜屋さんの作る品々もバラエティに富んでいて魅力的なのだ。さらに、店先での何気ない会話に癒され、自粛で疲弊した気持ちを和らげてくれる。

この先も私たちは新型コロナ感染症と共に歩んでいかなければならないのだろうが、これらのすばらしい食文化を絶やすことなく、ますます発展させていかなければならないと思う。うまい落としどころを見つけて、皆が安心できる豊かな食生活を送っていきたいものである。

増英蒲鉾店の基本情報

増英蒲鉾店
〒136-0073 東京都江東区北砂4-9-9
03-3645-1802
定休日:月曜(10日の場合は翌火曜)
営業時間:11:00~18:00
増英蒲鉾店のWebサイト(砂町銀座のWebサイト)
増英蒲鉾店のTwitter
増英蒲鉾店のInstagram

Scroll to top