大阪屋のできたておでん

荒川区小台にある大阪屋は昭和11年から続く歴史あるおでん種専門店だ。今回はこちらの店頭で販売するできたて調理済みおでんを紹介する。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

創業から80年以上続く老舗ながら、試行錯誤して新たなおでん種やサービスを生み出すお店のおでんをぜひ味わってみていただきたい。

三業地の面影が消えゆく小台

尾久町という町名であった西尾久周辺はかつて三業地として有名で、芸者や町工場で働く労働者で賑わっていた場所だ。

東京都荒川区西尾久:都電

当時は多くの料亭が営業をしており、東京おでんだねの筆者の祖母も芸者としてこの地で働いていたことがある。現在では古い建物はほとんどなくなり、演芸場や大浴場が集まる施設であったあらかわ遊園くらいしか残っていない。

東京都荒川区西尾久:熱海

料亭といえば、小台を代表する老舗の割烹熱海が令和3年(2021年)2月末をもって閉業した。大正6年(1917年)創業、103年の歴史があったので残念なところだ。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

前回訪れた際の記事「大阪屋のおでん種」でも触れているが、大阪屋は昭和11年(1936年)創業なので東京のおでん種専門店でも古い部類に入る。賑わいをみせた三業地の時代から存在しており、面影がほとんどなくなった西尾久地域では時代の変遷を知る貴重な存在だ。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

お店に入って右側には昭和40年頃(1965〜1975年)の写真が飾ってある。買い物客の服装や髪型から推測するとおそらく40年初頭と思われるが、おでん種の歴史を知る重要な資料だ。シュウマイ巻やカレーボールといった変わり種が当時も存在していたことが確認できる。

ひとつひとつにこだわりをもつ大阪屋のできたておでん

調理済みできたておでんに目を向けてみよう。通りに面して仕切りのない大きなおでん鍋が設置してあり、多くのおでん種がスタンバイしている。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

店主いわく、筆者が訪れたときはあまり多くの種類を調理していない状態とのことだが、美味しそうなおでん種がいくつも並んでいた。季節に関係なく、夏場でも販売しているそうだ。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

大根やこんにゃく、白滝や焼きちくわなどの定番のおでん種も揃っているが、揚げ蒲鉾も豊富な種類を取り揃えている。どれも関東系の色が濃いおでん汁に浸かっていて美味しそうだ。丁寧に魚のすり身を巻いたシュウマイ巻も食べごろのようだ。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

メニューは34種類。そのときの状態によってないものもあれば、メニューに掲載されていないものもある。「今なにがあるの? これはなに?」と質問すれば丁寧に説明してくれる。

大阪屋はおでん種ひとつひとつにこだわりを持っているので、興味のある方は大阪屋のFacebookページで予習をしておこう。いろいろなおでん種がどのような素材、調理方法、創意工夫で作られているのかがよくわかる。ぜひフォローしていただきたい。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

なお、大阪屋では文京区、台東区などできたておでんとおでん種の配送を行っている。まとめての配送のため、実施に関してはFacebookページで確認しよう。冷蔵のおでん種に関しては個別に対応できるそうなので、電話をして確認をしてみよう。

新型コロナウイルスの影響を聞いたみたところ、あまり変化はないそうだ。やはりおでんの特性上、気温による変化のほうが売り上げに影響を受けるらしい。地元のほか、車で買いにくるお客さんも多いという。おでん種専門店が減少している地域ではインターネットなどで調べて来る人も多いらしい。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

今回の取材では購入しなかったが、ちくわぶはパッケージされていない通称「はだか」という生のものを使用している。焼きちくわは青森のイゲタ、なると巻は静岡県焼津市のカクヤマのかくやまだった。

大阪屋のできたておでん

今回、大阪屋で購入したのは9種類。ひとつひとつが大ぶりで、満足感の高いおでん種たちだ。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種

時計回りに12時から、大根、魚のすじ、つみれ、もち巾着(正式名称不明)、しいたけ揚、げそ巻、玉子、たこねぎ揚、カレーボール(中央)。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種

購入するとビニール袋に入れて輪ゴムでしっかりと閉じてくれる。からしは希望をすれば練った状態のものをサービスしてくれる。お持ち帰りだけでなく、その場で食べることもできる。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種

袋から出して温めればすぐに完璧な状態のおでんを楽しむことができる。耐熱容器に移して電子レンジで温めるだけでもOKだ。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種 大根

大根は色が変わるまでおでん汁がしっかりと染み込んでいる。大阪屋のおでん汁はスタンダードながら、大山どりを使用するなどこだわりのあるものだ。ほのかな大根の風味がベストバランスで染み込んであり、芸術的な完成度となっている。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種 たこねぎ揚

たこねぎ揚は大阪屋人気のおでん種。名称通り刻んだタコとネギが入っており、爽やかでありながらじんわりと魚とタコの味わいが残る。平たい形状よりもボール状のほうが、その味を堪能できるだろう。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種 しいたけ揚

しいたけ揚は椎茸の傘の部分に魚のすり身が練り込まれている。椎茸の豊かな風味が口いっぱいに広がりながら、魚のすり身の優しい味わいがベストマッチ。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種 げそ巻

げそ巻は月並みな表現で恐縮だが、噛めば噛むほどイカの旨味が口じゅうに広がる。最後の最後までしゃぶっていたくなる。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種 魚のすじ

魚のすじはおでん汁がしっかりと染み込んでいながら、サメの旨味もちゃんと味わえるちょうどよい煮具合。なかなかこの塩梅は家庭で出しにくいだろう。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種 もち巾着(仮)

もち巾着(正式名称不明)は餅のほかに鶏肉が入っている。単調になりがちな餅巾着に肉の旨味を加味され、しつこくならない味の調和が素晴らしい。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種 玉子

玉子は文句なく素晴らしい出来栄え。表面を褐色に染めるおでん汁、ぎっしりと詰まった黄身の美味しさ、どれをとってもパーフェクトな仕上がりだ。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋のおでん種 つみれ

最後はアジのつみれ。アジの魚臭さは一切ないので、ほかの魚とブレンドしているものと思われる。人気商品なので、見つけたら即購入することをおすすめする。

東京都荒川区小台 小台橋みずき通り:おでん専門店大阪屋

上の写真は大阪屋の店内に飾られた先代のおかみさんのスナップ。容姿だけでなく接客を通して磨かれた人間的な美しさが写し出されているように思える。現在は先代の娘さんが蒲鉾を作り、彼女の旦那さんが接客を主に担当されているが、おでん種に対してひたむきで、お客さんに対して誠心誠意対応している姿を目の当たりにすると、先代からの伝統が受け継がれているように思える。

東京都荒川区西尾久:あらかわ遊園

かつて尾久三業地の象徴だったあらかわ遊園にも、子どもたちを楽しませたいという素直な心意気を感じることができる。今は改装中で令和4年(2022年)春に再オープン予定だが、大阪屋とともにいつまでも小台の地に笑いや喜びを溢れさせるような体験を私たちや次の世代まで与えて続けてほしいと思っている。

おでん種専門店大阪屋の基本情報

おでん種専門店大阪屋
〒116-0011 東京都荒川区西尾久3-22−15
03-3893-7937
定休日:日曜、祝日
営業時間:10:00~19:00
大阪屋のFacebook
大阪屋のLINE

Scroll to top