王子自慢の酒場のおでん

北区王子は魅力的な酒場が集まっており、それぞれ個性が光っている。おでんが自慢のお店も多く、おでん好きにはたまらない。今回は東京おでんだねが行きつけのお店を中心に、王子のおでん酒場を紹介していきたい。

昔ながらの魅力的な酒場が集まる街、王子

JR京浜東北線と東京メトロが通る王子駅。桜の名所である飛鳥山公園や関東稲荷総社の王子稲荷神社、北区役所があるなど北区を代表する街だ。最近ではラッパーのKOHHの地元としても有名になった。

東京都北区王子:サンスクエア

東京おでんだねの筆者が幼少時代に過ごした場所なので、王子は池袋に並んでホームと呼べる場所だ。駅前のサンスクエアでよく遊んでいたが、大人となった今でもボーリングやバッティングセンターを利用する。

戦後は闇市が広がり、荒川沿い周辺にあった工場の労働者たちが集まる街だった。屋台や飲み屋が多く集まっていたことから、現在でも昔ながらの大衆酒場が多く残っている。

東京商工会議所の北支部「北区おでんのまち推進事業」の説明ページでは、下記のような記載がある。

北区は秩父水系の良質な伏流水や荒川など豊富な水量の河川に恵まれており、23区内唯一の酒造会社や豆腐・おでん種の名店が存在してきました。北区は明治以降、ものづくりの街として栄え、工場がたくさんあったことから、そこで働く人々などが屋台で食し、まちの味として、世代を問わず親しまれてきました。
こうした歴史を踏まえ、東京商工会議所北支部では、「北区おでん」の推進に向けて、区内おでん関連事業者の活動を支援しています。

「北区おでんのまち推進事業」は、より一般の人たちへ分かりやすく伝える手段として「北区おでん部」と呼ばれるグループを作り、日々北区のおでんの魅力を発信している。

たしかに王子の酒場にはおでんを提供するお店がたくさんあり、それぞれが味わい深い。東京おでんだねでは普段おでん種専門店を紹介しているが、酒場のおでんも大好きだ。紹介しないのはもったいないので、何軒かその魅力をお伝えできればと思う。

アットホームな雰囲気が漂う名店、一福

一福はノスタルジックな雰囲気が漂う外観で、一見上級者向けの入りにくそうな印象だ。しかし、若者や女性の利用も多いので気楽に利用できると思う。

東京都北区王子:一福

店内はカウンターとテーブル席があり20席程度。しかし、席と席の間は余裕があるのでゆったりくつろげる。チューハイはナカ(焼酎)がお代わり無料なのが嬉しい。

東京都北区王子:一福

カウンターの内側にはおでん鍋が鎮座している。じっくりと煮込まれたおでんがとても美味しそうだ。盛り合わせのほか、単品でも注文できる。鍋を覗いてみると、練り物やちくわぶも確認できる。

東京都北区王子:一福のおでん

おでんは関東風のスタンダードなものだが、おでん汁がしっかり染み込んでいてとても美味しい。とくに冬場の寒い時期に食べると身体にじんわりと染み渡る。焼ちくわは牡丹ちくわのようだが、丸石沼田商店のものか、もしくはイゲタ沼田焼竹輪工場のものだろうか。

東京都北区王子:一福のもつ焼き

もつ焼きも本格的な味わいで、安価なわりにとても大きくてお腹も満足。タレも長年の継ぎ足しだろうか、複雑な旨味を感じさせる素晴らしいものだ。

一福はおかみさんひとりで経営していて、とても忙しそうだ。基本的に午後5時半オープンだが、おかみさんの都合ですこし遅れることもある。常連客はそれを重々承知で、暖簾がかけられるまで連れと会話をしながら店前で待っていることが多い。それぞれのグループ客同士で一定の距離感を保ちつつも、店内はアットホームな雰囲気に包まれている。おかみさんの気さくな人柄がうまく作用しているのかもしれない。

気品のあるおかみさんが魅力の酒場、宝泉

一福からすこし歩いたところにある宝泉。ふたつのコの字カウンターがあり、中規模程度の広さがある酒場だ。店内は昭和の雰囲気を漂わせながらも清潔感があり、とても居心地がいい。

東京都北区王子:宝泉

美しく気品のあるおかみさんがスマートに接客してくれる。それでいて気取りがないのが素晴らしい。お酒や食事のメニューが豊富で、それぞれこだわりがあってとても美味しい。

東京都北区王子:宝泉のおでん

おでんは盛り合わせのほかに一品での注文も可能。こちらもスタンダードながら、しっかり味が染みている。ちくわぶもしみしみで美味さこのうえない。熱燗に合わせると最高だ。

店内は一福よりも賑やかだが、どこか上品な雰囲気に包まれていてひとりでも穏やかに過ごせる。筆者は個人的に宝泉で飲むのがいちばん好きだ。こちらも若者や女性客も多く、一見客でも気軽に楽しむことができる。

王子の酒場といえばここ、多くの常連客で賑わう山田屋

お次は王子の有名店、山田屋だ。広い店内に多くの客が集まり、開店直後に行かないと入れないことも多い。

東京都北区王子:山田屋

山田屋もほとんどが地元客で、リタイヤして悠々自適に過ごすご高齢の方も多い。週末は昼間の集まりの後の飲み会に使っていることが多いようだ。わいわいがやがやと賑やかだが、若者ばかりが集まる大手チェーンの居酒屋とは異なる穏やかな雰囲気だ。

東京都北区王子:山田屋

夜のお仕事をしていそうなきらびやかな外見のご高齢の女性たち、青山や表参道にいてもおかしくないお洒落な格好をした男性など、個性的なお客さんも多い。彼らがどんな人生を歩んできたのか、お酒を酌み交わす相手とはどのような関係なのかを想像しながら観察すると面白い。親子代々で通っている常連客も多いようで、若かったとしてもしっかりこのお店に馴染んでいるように見える。

東京都北区王子:山田屋の味噌おでん

山田屋のおでんは味噌おでん。というか、おでんというよりも田楽だ。しっかりと茹でられたこんにゃくは口に入れると熱々で、思う存分はふはふしながら食べるとよい。

東京都北区王子:山田屋の半ぺん焼き

練り物つながりでいえば半ぺん焼きというメニューもある。表面はこんがり、中はふんわりとしたはんぺんは魚の旨味がしっかりと感じられて最高だ。わさびとの相性も抜群である。

王子で最も有名なおでん酒場、平澤かまぼこ

最後に紹介するのは、平澤かまぼこ 王子駅前店。テレビでもたびたび紹介される有名店だ。本店は王子のお隣街の神谷にあり、おでん種はそちらで作られている。東京おでんだねでは以前記事にしているので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。

東京都北区岸町:平澤かまぼこ 王子駅前店

創業は平成11年(1999年)で、本店の平澤蒲鉾店の2代目店主や初代店主のおかみさんがお店に立っていたが、現在では一緒に働いていたネパール人の若者に代替わりしている。

東京都北区岸町:平澤かまぼこ 王子駅前店のおでん

店内はいつもすし詰め状態。壁沿いのカウンターで注文すると、別のお客さんがリレーで料理を運んでくれる。自然と会話が生まれ、おでんや燗酒とともに身体をじわっと温めてくれる。女性客も意外と多い。

昼間でもお客さんが多く混雑しているが、わりと回転が早く、混んでいてもお客さんが詰めてくれるのですぐに入れるだろう。おでん好きなら必ず訪れたいお店だ。

王子は上記のほかに、集っこ(東京都北区王子1-5-3)などおでんが美味しいお店がたくさんある。比較的早めにお店に入って、何軒かはしごするといろいろ楽しめるだろう(筆者は紹介した4軒をぐるぐる回っている)。
東京おでんだねではおでん種専門店のおでん種を家で調理して食べるための情報を提供しているが、酒場のおでんは家で食べるのとはまた違った美味しさがあるように思う。自分で作る際の参考にもなるし、ぜひいろいろなお店のおでんを食していただければと思っている。

一福の基本情報

一福
〒114-0002 東京都北区王子1-15-4
03-3911-9217
定休日:水、日
営業時間:17:30~23:00

宝泉の基本情報

宝泉
〒114-0002 東京都北区王子1-19-10
03-3914-2726
定休日:日、祝
営業時間:平日17:00〜23:00、土曜17:00〜22:00

山田屋の基本情報

山田屋
〒114-0002 東京都北区王子1-19-6
03-3911-2652
定休日:日、祝
営業時間:平日8:00~11:30、16:00~21:00、土曜8:00~12:00、16:00~21:00

平澤かまぼこ 王子駅前店の基本情報

平澤かまぼこ 王子駅前店
〒114-0021 東京都北区岸町1-1-10 NUビル1階
03-5924-3773
定休日:祝日(8月のみ日曜も定休)
営業時間:10:00~22:00(L.O.)

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