太洋かまぼこ店のおでん種

池袋から東武東上線で4つめの駅、中板橋駅。ここには食の安全に対して徹底的なこだわりを持つ、太洋かまぼこ店というおでん種やさんがある。

石神井川の桜並木で有名な中板橋商店街

板橋区 中板橋:中板橋商店街

多くの商店と買い物客で賑わう中板橋商店街。昭和8年(1933年)に中板橋駅が開業すると、次第に駅周辺にお店が立ち並ぶようになり、駅北口から石神井川までの一帯がほぼすべて商店街になった。桜の季節になると花見客がこの商店街で買い物をしながら石神井川の桜並木へ向かうそうだ。
花見といえば、まだ肌寒い季節。おでんはぴったりのおかずとなる。太洋かまぼこ店は地元の人たちはもちろん、桜の見物客にも人気だ。

食材の品質や安全に徹底的にこだわる

太洋かまぼこ店は昭和25年(1950年)に創業以来、数種類の生魚を使った自家製のすり身にこだわるおでん種を販売している。また、昭和44年(1969年)の夏から店頭でできたてのおでんも販売している。

太洋かまぼこ店(板橋区 中板橋)

練り物の原料となる魚に関しては、ブレンドしている魚の種類を店頭のホワイトボードやFacebookウェブサイトで公開している。食の安全に対するこだわりと情報開示の徹底ぶりは特筆すべきところだ。練り物は原料が見えづらい加工品なので、このような配慮が消費者の心配を取り除いてくれる。

太洋かまぼこ店(板橋区 中板橋):おでん種

また、店主の創意工夫によってさまざまなおでん種が開発されている。ハッシュドポテト揚げ、おくら揚げ、とまと丸(バジルとミニトマト)、魚の形をしたお魚天や、季節に合わせたおでん種など限定ものが多い。マンネリになりやすいおでん料理の弱点を有り余る創造力でみごとに解決している。

太洋かまぼこ店(板橋区 中板橋):おでん種

今回は、10種類のおでん種を購入してみた。時計回りに12時から、しゃきしゃきれんこん揚げ、あさりねぎ揚げ、モッツァレラチーズ揚げ、ゆず七味ピリ辛揚げ、やさいボール、つみれ、たこ天、春菊とにんじん(中央)、もやし揚げ。この他にこんぶも購入。ちなみにこんなに買って1000円程度(複数購入したものは写真に載せていないものもある!)。ひとつずつ購入できるので、さまざまな種類を楽しむことができる。

いつも購入している魚のすじとちくわぶは売り切れていた。なお、魚のすじは1年前から自家製に切り替えたという。「アオザメの身とヨシキリザメのすじ身の水分が高いので加水はほとんどせず、固めに仕上げる」とのこと。昔ながらのすじを作りたい一心で取り組んでいるそうで、店主のおでんに対する愛をひしひしと感じる。また、こんぶは先週新昆布として入荷したという釧路東部のさおまえ昆布を使っていたり、つみれは固めやすいでん粉を敢えて使わず、イワシにマグロやアオザメをブレンドしたものだけを使っている。

なぜこんなに太洋かまぼこ店のおでん種について詳しく説明できるかというと、太洋かまぼこ店のFacebookウェブサイトにしっかり記載してあるからだ。店主の情熱が感じられる記事ばかりなので、ぜひともご覧いただきたい。

魚の風味をしっかり残した手作りの味

おでんの下拵え

今回はチヨダのおでんの味だけでなく、鶏肉も加えて出汁に変化をつけてみた。いつものように大根や玉子など汁を吸うものを先に入れて、一日ゆっくりと煮ては火を消し、何度かそれを繰り返す。

太洋かまぼこ店(板橋区 中板橋):おでん

そして、できあがったおでんがこちら。今回も美味しそうに仕上がった。さまざまな種類の練り物が並んでいて、なかなか壮観である。
練り物は他のおでん種やさんのものよりも魚の風味が効いている。しかし、臭みは一切感じない。大きさは少し小さいのだが、それが非常に食べやすい。子どもやお年寄り、女性にも優しいサイズで、食べる側への配慮が感じられる。

太洋かまぼこ店(板橋区 中板橋):おでん

玉ねぎのみじん切りが入ったやさいボールは、通常のボールに比べて甘みがあって美味しい。春菊とにんじんのさつま揚げとゆず七味ピリ辛揚げは、それぞれ春菊とゆずの香りが清々しく、よいアクセントとなっている。たこ天は刺身にも使えるマダコを使っただけあり、弾力があって美味しかった。このたこ天は「なかいた揚げ」という名物おでん種として開発されたが、中身が分かりにくいので名前を変えたそうだ。また「たこ揚げ」だと「凧上げ」になってしまうので、たこ天に落ち着いたそうだ。
人気のモッツァレラチーズ揚げは、通常チーズ巻きに使われるプロセスチーズではなく、よりとろけて風味が良いモッツァレラチーズを使用している。子どもも大人も満足の逸品だ。

太洋かまぼこ店(板橋区 中板橋)のおでんと神茂のはんぺん

こだわりのつみれは煮込んでも崩れることなく、イワシの香りもきちんと残っている。ひとつひとつ形や大きさが異なるのは手作りの証だ。
ちなみに大きすぎて最初に入らなかったが、後から神茂(かんも)のはんぺんを加えている。

太洋かまぼこ店の店主はとても若い方で、おでんに対して非常にアグレッシブに取り組んでいるのが印象的だ。高齢化や後継者不足が問題となっているおでん種業界の中で非常に貴重な存在だと思う。中板橋を代表する名店として、さらにはおでん種業界を牽引する存在として、今後も素晴らしいおでん種を作り続けてほしいと思う。

太洋かまぼこ店
〒173-0016 東京都板橋区中板橋15-14
03-3962-5473
定休日:日曜日
営業時間:10:30~19:00すぎ
太洋かまぼこ店のウェブサイト
太洋かまぼこ店のFacebook

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