大国屋(幡ヶ谷)が2019年12月閉業

幡ヶ谷の不動通り商店街にある大国屋(幡ヶ谷)が2019年12月31日に閉業した。先代から60年続くお店で、渋谷区最後のおでん種専門店だった。

東京都渋谷区本町2丁目 不動通り商店街:大国屋

東京おでんだねをよくご覧いただいているという、ようこさんという方からご連絡をいただいた。「昨年秋頃は営業していたが、最近開いていない」とのことなので、真実を確かめに週末に大国屋のある不動通り商店街へ向かった。

お店に電話してもつながらなかったため、隣にある酒屋さんにうかがってみると、昨年末で閉業したのだという。理由はやはり、店主がご高齢であることだそうだ。

東京都渋谷区本町2丁目 不動通り商店街:大国屋

大国屋(幡ヶ谷)の初代店主は芝宇田川町(渋谷ではなく現在の浜松町一丁目交差点あたり)にあった同名のお店(詳しくは「増田屋の系譜」記事参照)で修行したあと、暖簾分けで約60年前にこの地でお店を開いた。約20年前に初代がリタイヤして閉業する予定だったが、先代の甥である現在の店主とおかみさんが引き継ぐことになった。現在の店主夫婦はおふたりともこの店で修行をしたあとに結婚して独立し、北区西ケ原の霜降橋の商店街(霜降銀座商店街)で同じ屋号で営業していたそうだ。

東京都渋谷区本町2丁目 不動通り商店街:大国屋

東京おでんだねが訪れた大国屋(幡ヶ谷)の記事のとおり、スタンダードなおでん種を揃えながらもじゃがべー揚げやかぼちゃ揚げなど変わり種も揃うお店で、地元で人気だった。すり身がふわふわとしていてきめ細かく、上品な味付けでとても品質が高かった。

東京都渋谷区本町2丁目 不動通り商店街:大国屋のおでん種

おかみさんは丁寧にお店の歴史やおでん種の作り方を教えてくれ、笑顔がとても素敵な方だった。年末になると混雑してとてもお忙しいと話されていたが、最終営業日の昨年の年末はとりわけ大変だったことだろう。

この冬は何軒かのおでん種専門店が閉業し、練馬区、文京区、そして今回の大国屋で渋谷区からおでん種専門店が姿を消す。東洋経済オンラインの記事でも取り上げたが、東京のおでん種やさんは次々に数を減らしていっている。テレビで取り上げられるような人気店は事前に閉業の情報を知ることができるが、今回のようにひっそりと歴史の幕をとじるお店のほうが多い。

東京都渋谷区本町2丁目 不動通り商店街:大国屋

店主もおかみさんも長い間とてもお忙しかったと思うので、どうかお身体を休めてのんびり過ごしていただきたい。今後も私たちは大国屋の素敵なおでんの味を忘れないし、私たちのために頑張ってくれた店主たちに感謝し続けたいと思う。

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