後藤蒲鉾店のおでん種

後藤蒲鉾店は東京都品川区戸越の戸越銀座商店街にあるおでん種専門店だ。名物のおでんコロッケをはじめ、魅力的で新しいおでん種を生み出す戸越銀座を代表する名店だ。

東京で最大規模を誇る商店街、戸越銀座商店街

東京で最大規模を誇る戸越銀座商店街は全長約1.3キロ、さまざまな業態の店舗が400軒ほどひしめいている。東急池上線の戸越銀座駅、都営浅草線の戸越駅など複数の駅からアクセスでき、平日でも多くの人たちでにぎわっている。

東京都品川区戸越:戸越銀座商店街

戸越銀座商店街のWebサイトによると、関東大震災で被害を受けた東京や横浜の商業者たちが大崎周辺の工業地帯に活路を見出し集まってきたことと、東急池上線の戸越銀座駅が昭和2年(1927年)に開業したことをきっかけに周辺の商店が集まって形成されていったという。

戸越銀座商店街は「グルメロケの聖地」といわれるように、食べ歩きの街としてテレビをはじめとした多くのメディアで紹介されている。これは商店街側が活性化事業を推進した結果で、現在も訪問者は増加傾向にある。

戸越銀座商店街はとても長い商店街なのだが、じつは3つの商店街が集まっている。東側から戸越銀座商栄会商店街振興組合(商栄会ゾーン)、戸越銀座商店街振興組合(中央街ゾーン)、戸越銀座銀六商店街振興組合(銀六会ゾーン)が並んでいる。

おでんコロッケで有名な後藤蒲鉾店

後藤蒲鉾店は戸越銀座商店街の真ん中、戸越銀座商店街振興組合(中央街ゾーン)のいちばん東側に位置している。おでん種の具材を混ぜ込んだおでんコロッケが有名なお店だ。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

後藤蒲鉾店は昭和38年(1963年)に創業、戸越銀座には昭和40年(1965年)くらいに移転してきた。戸越の前は荒川区の尾久で卸専門のお店として営業していたそうだ。現在は2代目店主ご夫婦を中心に、ご家族で一致団結して営業している。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

後藤蒲鉾店は多くのメディアで取り上げられている有名店だ。後藤蒲鉾店のFacebookを見るとテレビのバラエティー番組だけでなく、雑誌や漫画などにも登場している。店内は有名人のサインがたくさん並んでいて、人気のほどがうかがえる。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

おでん種は梅雨の季節のため数を控えているが、足りなくなり次第奥の厨房で調理して並べられる。戸越銀座という場所柄、地元のお客さんよりも町歩きする人々が「懐かしい」と言って買っていくことが多いそうだ。練り物のおでん種は20種類以上あり、魚のすり身に豆腐を混ぜたふわふわ揚げや、カニとチーズを混ぜたカニチーズいなりなど変わり種も多い。新商品はご家族みんなで考案されるそうだ。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

右側にある冷蔵ショーケースには練り物以外のおでん種が並ぶ。いわしつみれは3種類あり、通常のいわしつみれのほかに切り昆布と人参が入ったいわしだんご、長ネギが入ったいわししぐれがある。

はんぺんと魚すじは自家製だ。目黒の柳屋蒲鉾店荏原中延の丸佐かまぼこ店など自家製のはんぺんを扱うお店は貴重で、現在はずいぶん数を減らしている。

焼きちくわは青森の丸石沼田商店、からしはS&Bの和からし、おでん汁は正田醤油(綾瀬)のものと、チヨダのおでんの味を小分けにしたものが売られていた。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

創意工夫を凝らしたおでん種も魅力的だが、後藤蒲鉾店はなんといっても店頭で食べられるおでんや惣菜が人気だ。できたての調理済みのおでんは40種類あり、そのなかから3品選んでオーダーできるドリンク付きおでんセットがお得。ドリンクは生ビールやサワーなど種類が豊富で、ソフトドリンクも充実している。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

牛すじが入った牛すじトロトロカレーも人気で、訪れたときも多くの人たちが買い求めていた。じっくりと煮込まれたカレーと柔らかな牛すじの相性は抜群だろう。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店 おでんコロッケ

そして、後藤蒲鉾店の最大の目玉であるおでんコロッケも外せない。おでんの具材を細かく刻んでジャガイモにあえ、おでんの出汁で味付けしているという。中央には黄金色に輝く染み大根が入っている。優しくまろやかなおでんの味はコロッケにぴったりで、何個でも食べられそうだ。

おでんコロッケは戸越銀座が立正大学と産学連携した「戸越銀座コロッケプロモーション事業」のうちの1商品で、今では後藤蒲鉾店だけでなく戸越銀座商店街全体のプロモーションに欠かせないものとなっている。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

おでんセットとおでんコロッケを購入して、店舗となりの飲食スペースでいただくことにする。にぎやかに飾りつけられた店内は気取りがないので、ひとりでも複数名でも入りやすい。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

戸越銀座商店街をじっくり見てまわるとかなりの時間を要するので、このようなスペースがあるとゆっくり休憩できてありがたい。じっくり煮込まれた大根とごぼう巻、黒胡椒揚げをチョイスしつつ、生ビールで喉をうるおす。快適な空間、キンキンに冷えてやがるドリンクで、暖かい季節でも存分におでんを味わえる。

変わり種も美味しい後藤蒲鉾店のおでん種

後藤蒲鉾店で購入したのは15種類。定番ものから変わり種までバラエティー豊かだ。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種

時計回りに12時から、枝豆さつま揚げ、赤七味さつま揚げ、黒胡椒さつま揚げ、カニチーズいなり、げそ巻、いわしつみれ、ぎょうざ巻、はす揚げ、コーンさつま揚げ、利休揚げ、きんちゃく(中央上)、あさり揚げ(中央右)、しいたけ海鮮揚げ(中央下)、ふわふわ揚げ(中央左)。このほかにちくわぶも購入した。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種

いつものように火が通りにくい大根や白滝、こんにゃくなどを下茹でしてから練り物のおでん種を温める程度に煮る。にぎやかなおでんが完成した。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種

後藤蒲鉾店の練り物はきめ細やかでふわりとした仕上がりながらも、おでん種によって弾力や食感を変えている。揚げ色もおでん種によってさまざまで、ひとつひとつにこだわりを感じる。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 ふわふわ揚げ

ふわふわ揚げは魚のすり身に豆腐を混ぜ込んであり、とってもソフトな食感だ。上品な味わいはぜひご自身の舌で味わってもらいたいところだ。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 あさり揚げ

一般的なあさり揚げは刻んだあさりを魚のすり身に混ぜて平たく揚げるものだが、後藤蒲鉾店のあさり揚げはボール状のすり身のなかにあさりが丸ごと入っている。あさり本来の味がしっかり楽しめる。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 コーンさつま揚げ

コーンさつま揚げは粒々コーンときめ細やかな魚のすり身の甘みがとてもよく合っている。子どもにもおすすめだが、この甘みは大人の舌も満足させる上品なものだ。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 枝豆さつま揚げ

枝豆さつま揚げは枝豆の清々しい味わいが夏の到来を感じる今の季節にもってこい。オーブンで温めて、冷酒と一緒に味わってもいいだろう。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 カニチーズいなり

カニチーズいなりもふわふわ揚げと同様にとってもソフトな食感だ。ふっくらとしたカニと濃厚なチーズの味がさらにソフトな印象を醸してくれる。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種

変わり種が多い後藤蒲鉾店のおでん種だが、まだまだ個性的で美味しいおでん種が控えている。ひとつひとつ紹介していこう。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 赤七味さつま揚げ

赤七味さつま揚げは見た目も真っ赤で辛党好きにはおすすめのおでん種。しっかり唐辛子の風味を効かせた刺激的な辛味はおでん鍋のよいアクセントになっている。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 黒胡椒さつま揚げ

数ある個性的な後藤蒲鉾店のおでん種のなかで筆者がおすすめするのが黒胡椒さつま揚げだ。粒々の黒胡椒を噛むごとで生まれる辛味は、唐辛子とは違った渋い大人の刺激だ。ビールにとってもよく合う。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 きんちゃく

きんちゃくは真っ白な餅が巾着いっぱいに詰め込まれていて優しくも満足感のある味わい。それでいてほどよい大きさなので、胃袋を圧迫することはない。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 しいたけ海鮮揚げ

しいたけ海鮮揚げは笠の部分に魚のすり身が詰まっている。椎茸の旨味を殺すことなく、すり身の旨味がほどよく感じられる職人芸が光る逸品だ。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種

最後は巻物系のおでん種を中心に紹介しよう。後藤蒲鉾店のおでん種はとてもソフトな味わいなので、いくつ食べても飽きることはない。

いわしつみれは魚の旨味がとてもジューシーだ。先に煮込んでほかのおでん種に味を染み込ませてもいいし、温める程度にしてつみれ本来の味わいを楽しんでもいいだろう。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 ぎょうざ巻

ぎょうざ巻は定番の美味しさ。挽肉と刻んだ野菜の旨味が凝縮されている。皮もふわふわでとても美味しい。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 げそ巻

げそ巻はイカのゲソが味わい深く、ずっとしゃぶっているとイカの旨味が滲み出てくる。夏は冷酒、冬は熱燗で味わいたい。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 はす揚げ

はす揚げは輪切りのレンコンがふっくらとした魚のすり身に包み込まれている。シャキシャキとしたレンコンの食感を殺さず、魚のすり身のまろやかな味わいもきちんと感じられる完成度の高いおでん種だ。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店のおでん種 利休揚げ

利休揚げはゴボウと人参がすりこまれている。ゴボウの滋養ある味わいと人参のやさしい甘みが絡み合い、通好みのおでん種に仕上がっている。利休揚げはおでん種専門店ごとにレシピが異なっており、その店のポリシーが感じられて興味深い。

東京都品川区戸越 戸越銀座商店街:後藤蒲鉾店

後藤蒲鉾店にお邪魔したときは店主の奥さまの妹の方に対応していただいた。とても親切で愛らしく、忙しいにもかかわらずたくさんお話を聞かせてくれた。2代目の店主も職人気質を残しつつも明るい方だった。気になる後継者については、お店で働く店主の息子さんのお友達に期待が込められる。若いながら物おじせず明るく接していただき、おでん種やさんとしてのこだわりもしっかり備えていて三代目にふさわしい人物だと感じられた。彼の奥さまも同じく素敵な方で、この美男美女がおでん種業界の未来を担ってくれるのであれば本当に嬉しい。

戸越銀座商店街の魅力は多岐におよぶが、後藤蒲鉾店のような地元に根付いた商店が魅力の根本にあると思う。古いだけでは時代に取り残されてしまうし、新しいだけでも長続きはしない。古い世代と新しい世代が手を取り合って魅力を作り出す後藤蒲鉾店は、理想的な商店街のお店だと感じた。戸越銀座商店街だけでなく、東京の商店街とおでん種専門店の未来を担う存在として、これからも後藤蒲鉾店には頑張ってもらいたい。

後藤蒲鉾店はWebサイトでお取り寄せの注文を受け付けている。戸越で育ちながらも地方に渡った人たちがお店の味を求めて注文することも多いという。戸越銀座まで出向くことができない方は、ぜひ利用してみてはいかがだろうか。

後藤蒲鉾店の基本情報

後藤蒲鉾店
〒142-0041 東京都品川区戸越2-6-8
03-3781-5686
定休日:火曜
営業時間:10:00~20:00
後藤蒲鉾店のWebサイト
後藤蒲鉾店のFacebook

Scroll to top