ハロウィンおでんをつくる

今回はハロウィン用のおでんの作り方を紹介する。ハロウィンのモチーフを型抜きした簡単なものから、すり身を使った本格的なものまで挑戦してみたいと思う。

ハロウィンおでんをつくる

10月31日はハロウィン(Helloween)だ。古代ケルト文化を起源としたお祭りだが、大人も子どもも楽しめるイベントとして日本でも定着しつつある。ハロウィンをテーマにした料理がたくさん作られており、おでんも例外ではない。

練り製品業界でも毎年可愛らしいモチーフの商品が販売されている。例えば、新潟県にある伏見蒲鉾の「デコたまハロウィン」や奈良県にある魚万商店の「ねりもんモンスターズ」、福岡県の関屋蒲鉾や宮城県の阿部蒲鉾店なども季節限定で販売している。

これらの商品を購入すれば簡単にハロウィン仕様のおでんを作ることができるが、今回はおでん種を手づくりしていこうと思う。子どもたちと一緒に楽しみながら挑戦してもらいたい。

魚のすり身で作るジャック・オー・ランタン

まず、最初に紹介するのはジャック・オー・ランタンの形をした蒲鉾だ。目と口の黒い部分にもすり身を使用しているので、煮込んで剥がれたり、形が崩れることはない。

ハロウィンおでんをつくる:蒲鉾のジャック・オー・ランタン

すり身は生魚をおろして自作してかまわないが、手間がかかるため時間のない場合にはおすすめできない。市販の冷凍すり身、もしくは今回紹介する鈴廣の「万能すりみパウダー」を使用するといいだろう。

鈴廣の万能すりみパウダー(パッケージ)

鈴廣の「万能すりみパウダー」はパウダー状の乾燥すり身で、水を加えて練るだけで本格的な生のすり身を作ることができる。原料は魚と塩、糖のみの天然素材のため、子どもも安心して食べられる。

ハロウィンおでんをつくる:色付け用パプリカパウダー・竹炭パウダー

天然素材のすり身なので、色付けも天然のものを使用してみよう。オレンジ色にはパプリカパウダーを用い、目と口の黒い色には竹炭パウダーを使ってみた。パプリカパウダーは滑らかなすり身ができあがるが、竹炭パウダーは表面が多少でこぼこになる。

ハロウィンおでんをつくる:万能すりみパウダーとパプリカパウダー水を混ぜる

まずはジャック・オー・ランタンの本体側を作っていこう。万能すりみパウダーを計量し、その4倍となる量の水を用意する。パプリカパウダーはあらかじめ水で溶いておこう。

ハロウィンおでんをつくる:万能すりみパウダーとパプリカパウダー水を混ぜる

ゴムベラなどでパウダーと水とよく混ぜ合わせ、糊のような粘りが出てきたら完成だ。所要時間として1、2分程度の手軽さだ。より柔らかくしたい場合は、少しずつ水を足しながら練っていく。

ハロウィンおでんをつくる:万能すりみパウダーとパプリカパウダー水を混ぜる

もっとお手軽に、ポリ袋にパウダーと水を加えて揉みこむ方法もある。このほうが手も汚れず、洗い物も増えない。袋の端をハサミで切って、絞り出してから成形する。

ハロウィンおでんをつくる:蒸したすり身

ゴムベラなどを使ってすり身を隙間なく薄く成形する。ヘラに水を付けながら、なでるようにして表面を平滑にしていく。成形が完了したら蒸し器にかける。大きさにもよるが、大体15〜20分ほど蒸せば完成だ。

ハロウィンおでんをつくる:抜型ですり身を型抜きする

すり身をお菓子用の抜型で抜けば、ジャック・オー・ランタンの本体が完成する。あまった部分は別の料理に使うといいだろう。

ハロウィンおでんをつくる:顔を刷り込みで描画する

次に目や口などを作っていこう。竹炭パウダーを加えて黒いすり身を作り、顔型のステンシルに乗せる。ゴムベラを横に滑らせて、すり身を薄く刷れば完成だ。この手法を細工蒲鉾では「刷りだし」という。ステンシルはクリアファイルなどで自作するといいが、厚みがあるほうが刷りだしやすい。この手法が難しければ、黒色のすり身を絞り袋に入れて口金で絵を描くようにしてもいい。ちなみにこの手法を「絞り出し」という。

ハロウィンおでんをつくる:すり身を蒸す

顔ができあがったら、ふたたび蒸し器に入れてしばらく蒸す。すり身は薄く使っているので、5分程度でもじゅうぶん加熱されるだろう。後述するが、あまった黒色のすり身も一緒に加熱しておくとほかのおでん種の顔作りに活用できる。

ハロウィンおでんをつくる:鈴廣の万能すりみパウダーで作った蒲鉾のジャック・オー・ランタン

鈴廣の「万能すりみパウダー」は50g5袋入や10袋入、100g10袋入など必要量に応じたセットが揃っている。また、星の抜型などが付いた子ども向けの「おうちでかまぼこてづくりたいけん」もある。蒸し蒲鉾だけでなく、揚げ蒲鉾やしんじょ、テリーヌなども手軽に作れるのでおすすめだ。興味のある方は鈴廣のネット販売をチェックしよう。

人参のジャック・オー・ランタン

ジャック・オー・ランタンを作る場合、人参を使うのが最も簡単だ。時間に余裕がない場合はこちらに挑戦してみてもいい。

ハロウィンおでんをつくる:人参のジャック・オー・ランタン

人参を下茹でしたあとに、抜型を使用するだけで完成する。発色もいいので、おでん全体のよいアクセントになるだろう。

ハロウィンおでんをつくる:人参を適度な大きさに切る

まずは人参を適当な大きさに切り、使用する人参の皮をピーラーでむく。抜型が大きい場合は輪切りにせず、縦に切るといいだろう。

ハロウィンおでんをつくる:茹でた人参を型抜きする

人参を下茹でして火が入ったら、粗熱をとって抜型でジャック・オー・ランタンの形にしていく。下茹で時間は人参の厚みによるので、竹串などを刺して様子を見よう。あまり柔らかくなりすぎると崩れてしまうので、7割ほど柔らかくなればいいだろう。

ハロウィンおでんをつくる:くりぬき用のストロー

顔の部分はストローでくり抜いていく。紙パック飲料に付いている細いものから、タピオカドリンク用の太いものまで用意しておくといい。

ハロウィンおでんをつくる:人参を切り抜いて顔を作る

ストローで目や口を抜いていくが、ストローをつまんで三角形したり、楕円形に変形させると表現の幅が増える。刃物を使ってくり抜く場合はペティナイフなど小回りがきくものを用意するといい。消毒したデザインナイフを使うと綺麗に仕上がる。

焼きちくわのミイラ

ごぼうやウインナーを芯にして螺旋状に切った焼きちくわを巻いていくと、ミイラのようなキャラクターを作ることができる。

ハロウィンおでんをつくる:ちくわのミイラ

見た目も可愛らしく、ボリュームもたっぷりなので子どもたちにも喜ばれることだろう。包帯部分は焼きちくわのほかに、干瓢やうどんを使用する場合がある。

イゲタ沼田焼竹輪工場の焼ちくわ

焼きちくわは穴が比較的大きなぼたん焼き(牡丹焼き)を使用する。東北地方、とくに青森県の特産として知られており、丸石沼田商店イゲタ沼田焼竹輪工場が有名だ。

ハロウィンおでんをつくる:ちくわを螺旋状に切る

始点と終点は円形を残し、その間を螺旋状にぐるぐる切っていく。包丁よりはキッチンばさみを使用したほうが綺麗に仕上がる。

ハロウィンおでんをつくる:ちくわのミイラ(目を入れる)

焼きちくわにウインナーや下茹でしたごぼうをはめ込んでいく。目の部分はストローで穴を開け、同じ口径のストローで抜いた黒色のすり身(ジャック・オー・ランタンで余ったもの)を埋め込む。

ハロウィンおでんをつくる:黒色のすり身でちくわの目を作る

黒色のすり身がない場合は、切り抜いた海苔とスライスチーズで表現してもいい。ただし、煮るとしおれたり、溶けたりするので取り扱いには要注意だ。

はんぺんのゴースト

はんぺんの白い色を利用してゴーストを作る。抜型を使用すれば、あっという間にできあがりだ。また、大根や白こんにゃくも半透明なので、これらをゴーストにしてもいいだろう。

ハロウィンおでんをつくる:はんぺんのゴースト

目や口の部分はストローで型抜きするか、海苔を貼りつけて作成するのが一般的なようだ。黒色のすり身が余っていれば、はめ込むことでメリハリのある表現ができる。

ハロウィンおでんをつくる:型抜きではんぺんを型抜きする

人参と同じように抜型を使ってゴーストの形を作る。はんぺんは柔らかいので簡単に型抜きできるが、繊細なので取り出すときは注意しよう。底まで抜型を押し込んでから、余白部分を引き上げるようなイメージで抜くと綺麗な形になる。

ハロウィンおでんをつくる:ストローで顔を作る

ゴーストの形ができたら、ストローを使って目や口を抜いていく。はんぺんは火にかけるとすぐに膨らむので、最後に温める程度に調理するといい。

こんにゃくのコウモリ

コウモリも抜型を利用するだけで簡単に作ることができる。コウモリの黒色を表現するために黒こんにゃくを使用した。

ハロウィンおでんをつくる:こんにゃくのコウモリ

裏面に格子状の隠し包丁を入れておくと味がしっかり染みる。詳しくは「おでんのこんにゃくの下ごしらえ方法」をご覧いただきたい。

ハロウィンおでんをつくる:型抜きでこんにゃくを型抜きする

目の表現に黒ゴマを使用する場合もあるが、火にかけたらすぐに取れてしまいそうなので省略した。極小のパイプなどがあれば、くり抜いて表現してもいいかもしれない。

結び昆布のコウモリ

コウモリは結び昆布でも表現することができる。結び方は通常通りだが、昆布の端をコウモリの羽根の形に切り抜いている。

ハロウィンおでんをつくる:結び昆布のコウモリ

昆布を水で戻したあと、結びやすいように表面のぬめりをキッチンペーパーなどで拭いておく。包丁やキッチンばさみで幅を調節して、それぞれ止め結び(とめむすび)にする。

ハロウィンおでんをつくる:結び昆布のコウモリ

昆布の両端をキッチンばさみで羽根の形に切り抜けば完成だ。結び目の間に小さく切った昆布を差し込んで頭部の表現を加えてもいいだろう(上写真の上から2番目)。

星形のちくわぶ

ちくわぶのユニークな形状を利用して、ハロウィンおでんを賑やかに演出しよう。一般的には斜めに切るが、星や花に見えるように輪切りにした。

ハロウィンおでんをつくる:星形のちくわぶ

ちくわぶは下茹でしておくと柔らかくふっくら仕上がり、味も染み込みやすくなる。電子レンジを利用する場合は、耐熱容器にちくわぶがひたひたになるくらいまで水を入れて5分ほどレンジすればいい。

ハロウィンおでんをつくる:星形のちくわぶ

ほかのおでん種と同じようにストローで断面に穴を開ければ、驚いたような顔を表現できる。おでん鍋全体を見渡しながら、くどくならない程度に足していくといいだろう。

皆が喜ぶハロウィンのおでんを作ろう

ハロウィンは子どもたちが楽しみにしているイベントのひとつなので、彼らが大好きなおでん種を揃えてあげると喜んでくれるに違いない。

ハロウィンおでんをつくる:好みのおでん種を揃える

例えば、魚のすり身でウインナーを包んだウインナー巻、コーンがたっぷり入ったコーン揚、うずら巻やチーズ巻などもいいだろう。東京のおでん種専門店には子どもたちの好物となるおでん種を多く揃えている。また、墨田区京島にある大国屋で販売するスカイツリーの形をした「スカイツリー」や足立区北千住にあるマルイシ増英で販売する魚の形をした「えび天」など、ユニークな形のおでん種も喜ばれそうだ。

ハロウィンおでんをつくる:おでん種を煮る

味付けは昆布と鰹節で出汁をとったスタンダードなものだけでなく、トマトやクリーム、チーズや鶏肉などをベースにした洋風おでんにしてもいい。普段とは異なる、特別感を演出することができる。

ハロウィンおでんをつくる

ハロウィンならではの可愛らしく賑やかなおでんが完成した。海苔やチーズなどふやける素材は使用していないので、はんぺん以外は2日目でも綺麗なフォルムを保持することができるだろう。

ハロウィンおでんをつくる

今回紹介した以外にも、発想次第で楽しいハロウィンの食卓を演出することができる。家族やパートナーの喜ぶ顔を眺めながら、おでんで身も心も温まりたい。

鈴廣かまぼこの基本情報

鈴廣かまぼこ(鈴廣蒲鉾本店)
〒250-0032 神奈川県小田原市風祭245
0120-07-4547
定休日:無休
営業時間:9:00~18:00
鈴廣かまぼこのWebサイト
鈴廣かまぼこの通販サイト
鈴廣かまぼこのFacebookInstagramTwitter

Scroll to top