おでんのもち巾着の調理方法

汁をたっぷり含んだ油揚げと、とろりと柔らかくなったお餅の組み合わせ。心も身体もあったまるもち巾着は、おでんに欠かせない存在だ。今回は、家庭で楽しむもち巾着の調理方法を紹介したいと思う。

おでんのもち巾着の調理方法

もち巾着は全国的に知名度の高い存在だが、発祥は神戸の三宮だという。昭和2年(1927年)創業の「まめだ」というおでん屋さんが始めたとされるので、約90年の歴史を持つ。現在ではさまざまな料理に用いられるが、発祥がおでん屋さんというのはおでんファンとして鼻が高い。

おでんのもち巾着の調理方法

油揚げの袋詰の具材は、うどんや白菜、挽肉などたくさんの種類がある。しかし、もち巾着は餅と油揚げというシンプルな組み合わせのため、おでん汁やほかのおでん種の味と喧嘩せず、かつ美味しさを増幅させてくれる素晴らしい存在だ。

もち巾着はおでん種専門店に行けば購入することができるが、なかには取り扱っていないお店もある。スーパーなどの量販店では冷凍のものを販売している場合もあるが、どうせなら自作するほうが手っ取り早く、より美味しいものをいただける。

その調理方法はいたって簡単。油揚げを切って袋状にして、お餅を入れて口を閉じるだけだ。特別な素材も必要ないし、技術だって必要ない。お子さんやパートナーと気軽に挑戦してみよう。

もち巾着の調理方法

まずは素材の準備からはじめよう。必要なのは、油揚げ、切り餅、干瓢(もしくは爪楊枝)だ。

おでんのもち巾着の調理方法:油揚げ

油揚げは長方形、正方形のどちらでもよい。ただし、正方形のものは大きさを調整しにくく、袋状にする際に失敗しやすい。東京おでんだねとしては長方形のものをおすすめする。

三之助の油あげ

今回使用したのは埼玉県本庄市にあるもぎ豆腐店のもの。「三之助」で有名な豆腐メーカーだ。ふっくら、しっかりとした食感と、豆腐の風味が豊かな逸品だ。

おでんのもち巾着の調理方法:切り餅

お餅はパックになっている切り餅が便利だろう。必要な分だけ取り出して使えるので、カビる心配もなく無駄なく使用することができる。

おでんのもち巾着の調理方法:干瓢を水で戻す

漂白してある干瓢は水に3分ほど浸して戻してから、塩でやさしく揉んだあとに流水で塩を落とす。漂白していないものは水で戻してから塩を加えずに軽く揉んでおけばOK。無漂白なら水で戻さなくても使用でき、乾いた状態のほうが結びやすい。

おでんのもち巾着の調理方法:油揚げ

油揚げは餅を入れて口を縛れる程度の大きさに切る。あたりまえだが、2辺以上切ってしまうと袋にならないので切るのは1辺のみだ。長方形のものは半分に切ればいい。

おでんのもち巾着の調理方法:袋状にする

次に袋状にするために油揚げをまな板に置いてから、箸を押し当て回転させる。こうすることで皮と中身が分かれ、広げやすくなる。

おでんのもち巾着の調理方法:袋状にする

開いたのが上の写真。綺麗に袋状にできたのではないだろうか。油揚げは意外に繊細なので、道具を使わず指で丁寧に開こう。

おでんのもち巾着の調理方法:切り餅を入れる

切り餅を半分に切って油揚げに投入する。油揚げは干瓢を結ぶために縦幅のマージンをじゅうぶんに確保したほうがよいと考えがちだが、意外に伸びるので心配しなくていい。

おでんのもち巾着の調理方法:干瓢の結び方

お餅を入れたら干瓢で口を閉じる。結び方は本結びか縦結びでしっかりしばる。力を入れすぎると干瓢が千切れてしまうのでほどほどに。油揚げは結ぶ箇所を左右から畳むようにしておくと結びやすいだろう。

おでんのもち巾着の調理方法:干瓢の結び方

結んだのが上の写真。これで完成だ。なんだかとても可愛らしくて微笑ましい。

おでんのもち巾着の調理方法:爪楊枝による口の結び

爪楊枝で口を結ぶ場合は、油揚げを折り込んでから爪楊枝を横からブスっと差し込む。干瓢よりも簡単だが、干瓢で結ぶのもそんなに難しいことではない。

おでんのもち巾着の調理方法:ちくわによる口の結び

ネットではちくわで口をしばる方法も紹介されている。ちくわの穴にむりくり油揚げを突っ込むわけだが、多少穴がちぎれるとしても小さめのちくわを選ぶのがコツ。ちなみに使用したのは鈴廣の百年ちくわだ。

おでんのもち巾着の調理方法:油抜き

油揚げは油が多いので、熱湯をかけて油抜きをする。このことでおでんが油っぽくなることを防げるだけでなく、もち巾着に味が染み込みやすくなる。ちなみに、三之助の油揚げをそのまま食べるときは油抜きをしないほうが香ばしくて美味しい。

おでんのもち巾着の調理方法:油抜き

熱湯をかけたあとはキッチンペーパーで余分な油とお湯を吸っておけば完璧だろう。こういった小さなひと手間を重ねていくことによって、料理がどんどん美味しくなっていく。

おでんのもち巾着の調理方法

これで、すべての調理工程が完了した。あとはおでん鍋に投入すれば完成。前回記事「東京おでんの調理方法」でも紹介したように、もち巾着は弱火で煮た30〜45分の間に投入するといい。お餅が溶けない程度の塩梅で柔らかくなる。

おでんのもち巾着の調理方法

今回は駆け足でもち巾着の調理方法を紹介したが、手間も時間もかからず簡単に作れることがおわかりいただけただろう。自分だけでなく、家族やパートナーと一緒に作ることで愛着もわくし、楽しくおでんを味わうことができると思う。

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