こんにゃく専門店の六幸食品

荒川区南千住にある六幸食品は、こんにゃくや白滝、ちくわぶ、ところてんの製造卸を行っているが、一般向けに小売販売も行っている。今回は六幸食品のおでん食材を紹介しよう。

東京都荒川区南千住:六幸食品

東京おでんだねはこれまで、足立区千住大橋の山栄食品や台東区谷中の三陽食品といったこんにゃく専門店を紹介してきた。こんにゃく専門店はおでん種専門店以上に減少しており、非常に希少な存在だ。Instagramで六幸食品が小売販売していることを知り、南千住まで足を運んでみた。

JR貨物の隅田川駅が有名な南千住駅

六幸食品の最寄りの駅となる南千住駅はJR常磐線・東京メトロ日比谷線・首都圏新都市鉄道つくばエクスプレスが通っている。

東京都荒川区南千住:再開発地区

JR貨物の隅田川駅が有名だが、昭和62年(1987年)以降に北部と東部が売却されて再開発が行われ、現在は高層マンションが立ち並んでいる。北千住にも近くて利便性が高いため、若い世帯が多数入居しているようだ。

東京都荒川区南千住:隅田川ターミナル貨物駅

隅田川駅は現在も営業しており、橋梁からは貨物列車が行き来しているのを見学できる。駅の南側は少々入り組んだ構造をしているが、周辺の歴史をたどる遺構として散歩マニアには楽しめることだろう。

東京都荒川区南千住:大坪屋

六幸食品へのアクセスは東京メトロ日比谷線の南口が便利だ。北千住駅寄りの北口に比べて利用者は少ないが、南千住仲通りの商店街や大正12年(1923年)創業の大衆酒場「大坪屋」があり、下町風情を残している。

戦後からこんにゃく製造を行ってきた六幸食品

南千住駅南口から陸橋を渡り、旧日光街道を南下していった先に六幸食品がある。5、6分の距離なのですぐにたどり着ける。

東京都荒川区南千住:六幸食品

製造工場のため落ち着いた外観をしているが、赤いのぼりや大きな看板ですぐに見つけられることだろう。

東京都荒川区南千住:六幸食品

時間によっては店員さんが見当たらないので躊躇するが、思い切って中に入ってみよう。入口の扉には一般販売用の商品一覧が貼り付けられている。

東京都荒川区南千住:六幸食品

六幸食品ではこんにゃく、白滝、ちくわぶなど数種類を販売しているが、開封してすぐに食べられる刺身こんにゃくや味噌おでんも取り揃えている。すべて国産原料を使用しているこだわりようだ。手作りアイス(夏季限定)は昭和世代には懐かしいアイスキャンディで、亀屋万年堂ジョイフル三の輪の相州屋(荒川区南千住1-20-6)で販売されている。最盛期は2000軒ほど生産していたが、現在ではアイスキャンディをつくるところはほとんどなくなってしまったのだそうだ。

東京都荒川区南千住:六幸食品

お店に入ってすぐにカウンターがあり、卓上ベルを鳴らすと店員さんを呼び出せる。ここにも商品一覧があるので、見ながらオーダーが可能だ。

東京都荒川区南千住:六幸食品

店内はこんにゃくの工場(こうば)そのもので、見慣れない機械がたくさん並んでいる。年代ものの設備が多く、長年の歴史を感じさせる。

応対していただいたおかみさんによると、六幸食品は先々代の時代、戦後の焼け野原に6軒のこんにゃく店が集まって開業したそうだ。昭和42年(1967年)には6軒が各地に分かれ、六幸食品は同じ場所で営業を続けた。各店は墨田区の白鬚橋や荒川区の日暮里、江東区の高橋などで営業を続けたが、現在では閉業して六幸食品と先代の弟さんが経営する大田区蒲田のお店(樋川商店)の2軒のみとなった。

東京都荒川区南千住:六幸食品

おでん種専門店へも商品を卸していたが、そのほとんどは閉業してしまったという。おでん屋さんでは、足立区の五反野のお店と取引があるそうだ。また、都電荒川線の三ノ輪橋停留場前にある吉まぐれ屋(東京都荒川区南千住1-16-8)でも六幸食品の白滝やちくわぶを味わうことができる。

現在はおかみさんのご子息に代替わりして営業を続けている。InstagramTwitterFacebookを2021年8月から開始したので、商品の詳しい情報などが入手しやすくなっている。

東京都荒川区南千住:六幸食品

白滝の袋詰めは大容量(680g)なので、半分の量をお願いした。おかみさんは「ここで製造しているから調整できますよ」と言いながら、カウンターの近くにあった容器から白滝を手際よく詰めてくれた。ところてんも5個単位での販売だが、単品で購入できた。無茶なお願いは禁物だが、相談すれば融通をきかせてくれる。

バラエティ豊かな六幸食品の商品ラインナップ

六幸食品では7種類の商品を購入し、帰宅後にさっそく調理を開始した。

東京都荒川区南千住:六幸食品のおでん

購入したのは、こんにゃく(すじ入り)、しらたき、なべちゃん(結び白滝)、ちくわぶ、味噌おでん、刺身こんにゃく、ところてん。

東京都荒川区南千住:六幸食品のこんにゃく(スジ入り)

こんにゃくはすじが入っており、汁がよくからむようになっている。包丁やフォークを使ってすじを入れる手間が省略できるのは嬉しいところ。すじなしの商品も販売している。

東京都荒川区南千住:六幸食品のこんにゃく(スジ入り)

煮込んでもぷるんとした食感を楽しめ、すじがおでん汁の味を吸い込んで、長く煮込まなくても格別の美味しさを味わえる。

東京都荒川区南千住:六幸食品のしらたき

しらたきは通常680gでの販売だが、約半分の350gにしてもらった。それでもなかなかの量なので、おでん以外の料理に使ってもいいだろう。白滝の長さは一般的な手巻き白滝(拳大の長い白滝)よりも短めだが、自分で巻くには十分なサイズだ。

東京都荒川区南千住:六幸食品のなべちゃん

あらかじめ巻かれた、いわゆる結び白滝の「なべちゃん」も販売している。同名の商品を千住大橋の山栄食品も販売しているが(あちらはおなべちゃんという商品名)、関係は不明だ。

東京都荒川区南千住:六幸食品のなべちゃん

六幸食品の白滝は細すぎず太すぎずの標準的な太さで、汁をたっぷり含みつつもぷりぷりとした食感を楽しむことができる。

東京都荒川区南千住:六幸食品のちくわぶ

六幸食品はちくわぶも製造している。おかみさんによると今後製造を継続していくかはわからないのだそうだが、東京ローカルの名物だけに、希少な都内での製造は続けてもらいたいところだ。

東京都荒川区南千住:六幸食品のちくわぶ

下茹でしてからおでん鍋に移し、弱火でじっくり味を染み込ませる。切り口のミルフィーユ状の隙間に汁が入り込み、小麦の味と溶け合う。パックされた商品だが、適度に柔らかく手軽に味染みちくわぶを楽しめる。

東京都荒川区南千住:六幸食品の味噌おでん

おかみさんに「おでんが好きならこちらもどうぞ」と紹介された味噌おでんは、白こんにゃくと味噌だれがセットになった商品だ。袋から取り出してレンジで温めるだけで手軽に美味しくいただける。

東京都荒川区南千住:六幸食品の味噌おでん

温めたあとにキッチンペーパーなどでこんにゃくの水気を取ると、たれが薄まることがなく美味しく味わえる。こちらのこんにゃくにもすじが入っているので、しっかり甘辛の味噌だれがからみつく。燗酒のお供に最適で、身体がぽかぽかとあたたまる。

東京都荒川区南千住:六幸食品の刺身こんにゃく

刺身こんにゃくも袋から取り出して水気を切るだけで楽しめる。食卓にもう一品ほしいときに重宝しそうだ。

東京都荒川区南千住:六幸食品の刺身こんにゃく

つるりとした喉越しとほどよい弾力、そして青海苔の風味が清々しい。刺身こんにゃくとしてだけでなく、サラダに加えても美味しいだろう。

東京都荒川区南千住:六幸食品のところ天

最後はところてんだ。5個単位での販売だが、単品でも提供してくれる。酢醤油とのりごま、ねりからしがセットになっている。

東京都荒川区南千住:六幸食品のところ天

ソフトな食感で喉越しもよく、酢醤油やからしもまろやかな味わいだ。暑い夏はもちろん、秋の暖かい日にも最適だ。

東京都荒川区南千住:六幸食品

六幸食品は戦後からずっと南千住の土地でこんにゃくの製造を続け、現在もご家族一丸となって営業を行っている。希少となった東京のこんにゃくを味わいに、一度訪れてみてはいかがだろうか。

六幸食品の基本情報

六幸食品
〒116-0003 東京都荒川区南千住2-29-8
03-3801-5075
定休日:日曜
営業時間:7:00~17:00、土曜7:00~12:00

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