丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

今回は杉並区堀ノ内の妙法寺門前通り商店会にある丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでんを紹介する。昭和36年に創業し、あたたかい接客と職人のこだわりの味で長年愛される名店だ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

昨年荏原中延にあった同名の店舗が閉業したが、堀ノ内のお店は若き2代目店主とともに今年86歳になる初代も現役で活躍している。東京おでんだねの筆者は個人的に「東京おでんの理想郷」と称するほど素敵なお店で、よしもとばななさんなど著名人のファンも多い。今回初代は不在だったので、2代目にお話をうかがった。

2つの鍋を使い分ける丸佐かまぼこ店(堀ノ内)のできたておでん

丸佐かまぼこ店(堀ノ内)は東京メトロ丸ノ内線の東高円寺駅から15分ほど歩いた妙法寺門前通り商店会にある。商店は揚まんじゅうを売る清水屋をはじめとしてスーパーや青果店など49軒が営業している。

東京都杉並区堀ノ内:堀之内妙法寺

商店会の名前の由来となる妙法寺は古典落語の演目「堀の内」の題材になるほど有名なお寺で、創建は元和(げんな)の時代にさかのぼる。環七通り沿いには大きなアーチや看板が設置されているので見つけやすいだろう。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店

丸佐かまぼこ店(堀ノ内)は商店会の中央辺りにある。黄色くともる「おでん」の看板ですぐに発見できるだろう。お店の歴史については「丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のおでん種」の記事を参照いただきたい。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店

今回の目的であるできたておでんはお店の右側にある。鍋の中から選んで注文し、店舗側面の窓口で会計する流れとなる。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店

メニューは店内に掲げられているが、揚げ蒲鉾はおでん鍋手前の台に種類が明記されている。わからない場合は質問すれば、優しく美しいおかみさんが丁寧に教えてくれる。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:〇佐(まるさ)かまぼこ店

以前はお店の脇に設置されたベンチでできたておでんを味わうことができたが、新型コロナウイルス流行以降は持ち帰りのみとなった。商店街を行き交う人々をのんびりと眺めながら味わうおでんは最高の体験だったが、現在の状況を考えると致し方がない。いち早く復活することを願うばかりだ。

できたておでんは9月中旬から11月まで人気だったが、最近はピークはなくコンスタントに売れているという。夏季も販売しているが、お店の夏休みである7月中旬から8月中旬は当然販売していない。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

できたておでんは8つの仕切りに隙間がないほど敷き詰められている。おでん鍋が2つに分けられているが、それぞれに特徴がある。この違い、皆さんにはわかるだろうか?

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

手前は揚げ蒲鉾(さつま揚げ)中心の鍋となっており、これらは出汁(旨味)が外に出るおでん種だ。おでん汁は鰹節と鍋底に敷いた昆布で出汁をとっているが、数種類の魚で作られた揚げ蒲鉾からも良質な出汁がとれる。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

一方、奥の鍋はだいこんやちくわぶなど出汁を吸いこむ種が中心となる。2つの鍋を別々に仕込んだあと、揚げ蒲鉾の出汁がたっぷり詰まった手前の鍋の汁を奥の鍋に移し、味に深みを与えている。こうすることで、日々異なる売れ行き(おでん種の回転率)に関係なく、揚げ蒲鉾にも旨味をとどめた最高の状態を維持できる。2代目店主いわく「あらかじめ鍋に入れる前に仕込んだ汁、出汁を出す鍋の汁、出汁を吸う鍋の汁を味見してみると、それぞれまったく異なる」そうだ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:〇佐(まるさ)かまぼこ店

さらに、だいこん、ちくわぶ、こんにゃく、じゃがいも、玉子は鍋に入れるまえに汁に漬けて一晩寝かせている。非常に手間がかかっており、できたておでんへのこだわりと愛情を感じる。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店

お店の奥では、2代目店主が明日のだいこんの仕込みをしている最中だった。膨大な数に圧倒されるが、これで全部ではないという。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店

よく見ると、葉側となる緑色の上部を切り落としている。冬になるとこの部分がぐしゃぐしゃになり、おでんには向かないのだそうだ。この日は3分の1以上切り取っていたが、場合によっては半分ほど切り落とすこともあるという。通常は1月くらいからこのような状態になるというが、今年は早く12月頭からだったそうだ。

切り取った部分は大根おろしなどにすると美味しいので、希望するお客さんにゆずって喜ばれている。ちなみに今の季節は神奈川県三浦産の大根となるが、2代目は先端まで太いこちらの大根を気に入っているそうだ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店

できたておでん以外のおでん種もあいかわらず充実している。黄金色に輝く姿はいつ見ても美しい。魚の種類や使用する油など非常にこだわって作っているが、詳細については前回の記事をご覧いただきたい。

丁寧な仕事に裏打ちされた美味しさが魅力の丸佐かまぼこ店(堀ノ内)のできたておでん

お忙しいなか2代目店主とおかみさんにいろいろとお話をうかがいつつ(いつも本当にすみません)、丸佐かまぼこ店(堀ノ内)では11種類を購入、加えて1種類をおまけしていただいた。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

時計回りに12時から、だいこん、じゃがいも、とうもろこし、生揚げ、ギョーザ巻き、すじ、もやし揚げ、しいたけ揚げ(中央上左)、玉子(中央上右)、昆布(中央下右)、ちくわぶ(中央下)、しらたき(中央下左)。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

購入すると耐熱のビニール袋、紙袋、手提げのビニール袋に入れてくれる。輪ゴムでしっかり閉じてあるのでこぼれることはない。また、カップに入ったからしをつけてくれた。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

こだわりのおでん汁がたっぷり入っているので、鍋で温めるだけですぐに食べられる。せっかくの煮上がり状態を台無しにしないように、決して強火にせず弱火で80℃程度にとどめるといい。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

丸佐かまぼこ店(堀ノ内)のおでん汁はふくよかでマイルドな旨味のなかに、醤油系のきりりとした風味がほんのり漂っている。おでん種は煮崩れしておらず美しい姿のまま、上品な趣きを漂わせている。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん だいこん

だいこんはあらかじめ一晩汁に漬けているだけあり、おでん汁が中心まで均一に染み込んでいる。それでいて、さわやかな大根の風味を残し、煮崩れもまったくしていないのが素晴らしい。歯触りもぐずぐずにならず、非常に滑らかだ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん 玉子

玉子も一晩汁に漬けて寝かせてある。表面がほんのりと色づき、おでん汁の味わいがじんわりと広がる。黄身のまろやさと相まってやさしい美味しさだ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん じゃがいも

じゃがいもも一晩汁に漬けたものだが、こちらも煮崩れすることなく完璧な仕上がりだ。ねっとりとした舌触りが心地よく、大ぶりながらも飽きずにあっという間に平らげてしまう。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん ちくわぶ

ちくわぶもしっかり一晩漬けてあるだけでなく、通称「ハダカ」と呼ばれる生のものを使用している。よく味が染みているが、くたくたになりすぎずもちもちとした食感と小麦の旨味を楽しめる。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん ギョーザ巻き

ギョーザ巻きは餡がたっぷり詰まっており、肉汁とおでん汁を同時に楽しめる。魚のすり身を揚げる油は頻繁に取り替えているため、雑味のない魚本来の旨味がしっかり伝わってくる。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん もやし揚げ

もやし揚げは丸佐かまぼこ店(堀ノ内)の人気のおでん種だ。しゃきしゃきとしたベストもやしとふわふわのすり身の食感、唐辛子のアクセントが癖になる美味しさだ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん しいたけ揚げ

しいたけ揚げは秋田県産の大きな生椎茸を使用しており、噛むと椎茸の旨味とおでん汁がじゅわっと溢れてくる。すり身も肉厚で、やさしくもしっかりとした魚の旨味を味わうことができる。唐辛子も程よい辛さで、筆者のお気に入りのおでん種だ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん すじ

すじは千葉県銚子の糸川商店のものを使用していると思われる。ねっとり、もちっとした食感がおでん汁とよく合い、サメの美味しさがにじみ出てくる。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん 生揚げ

生揚げは厚めになっており、おでん汁をたっぷり吸い込んでいる。口に含むと豆腐の旨味と一緒に汁が洪水のように溢れかえる。淡白な味ながら、満足度の高い逸品だ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん しらたき

しらたきは干瓢で大きめの房に結んであり、おでん汁をたっぷり抱き込んでくれる。筆者はこちらの結び方を参考にして「おでんの白滝の結び方・巻き方」という記事を書いた。見た目と結びやすさ、美味しさを兼ね備えた素晴らしい結び方だ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん 昆布

昆布は3個セットとなるが、ひとつひとつがとても大きい。結び目はしっかりしているが柔らかく、噛むと磯の香りがじわじわとにじみ出る。おでん種としては目立たない存在だが、あるとないとで全体の味わいが左右される名脇役だと思う。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん とうもろこし

最後はとうもろこしだ。一粒ごとに甘みが強く、おでん汁のしょっぱさと一緒に味わうと、えも言われぬ美味しさとなる。大きめに切られているので食べ応えもじゅうぶんだ。

東京都杉並区堀ノ内 妙法寺門前通り商店会:丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のできたておでん

丸佐かまぼこ店(堀ノ内)の丁寧な仕事ぶりは揚げ蒲鉾だけでなく、できたておでんからもうかがい知ることができる。これは長年初代店主が培った技術やノウハウが礎になっていると思うが、2代目も日々研鑽に努め、大切に引き継いでいこうという真摯な姿勢が結実していると思われる。これからも親子2代、ご家族の皆さんで名店の味を守り続けてほしい。

丸佐かまぼこ店(堀ノ内)の基本情報

丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店
〒166-0013 東京都杉並区堀ノ内3-3-24
03-3313-2469
定休日:日曜(妙法寺の縁日は営業、振替月休)
営業時間:9:00~18:30
丸佐(〇佐、まるさ)かまぼこ店のWebサイト(妙法寺門前通り商店会のWebサイト)

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