今回は、おでんの出汁がたっぷり詰まったおでん茶漬けの調理方法を紹介したいと思う。手軽に調理できて雑炊のように重たくなく、お酒のおともにも最適な締めの一品だ。
「おでんは主食かおかずか」という議論は毎年頻発しており、若い人ほど主食と考える傾向にあるという。たしかにおでんは重たく感じる料理であるし、最近は糖質制限の流行からどの料理でもお米を避けることが多いようだ。しかし、おでんは餅巾着などを除けば意外と炭水化物(糖質)が少ないため、ごはんと一緒に食べると非常に栄養バランスがいい。
今回は、さらさらと美味しく食べられる茶飯とおでん汁を使ったお茶漬けの調理法を紹介したいと思う。
茶飯におでん汁をかけたおでん茶漬け
お茶漬けというとごはん(米飯)に緑茶やほうじ茶などをかけた料理を指すが、定義は曖昧としており、出汁やスープをかけたものもお茶漬け(だし茶漬け)と呼ばれている。
おでん茶漬けはおでんの老舗「浅草おでん大多福」(東京都台東区千束1-6-2)や「銀座 おぐ羅」(東京都中央区銀座6-3-6)、小田原の「小田原おでん本店」(神奈川県小田原市浜町3-11-30)などで提供されている。
大多福は白米、おぐ羅や小田原おでん本店は茶飯と違いがあるが、今回東京おでんだねがつくるおでん茶漬けは「茶飯におでん汁をかけたもの」にしたいと思う。
おでん茶漬けの調理方法
まず、茶飯の作り方を説明しよう。茶飯は醤油で炊いたごはんで、昔からおでんのお供として愛されてきた。詳しくは「おでんの茶飯・とうめしの作り方」という記事をご覧いただきたい。
おでんを調理する際にできた汁をそのまま使ってもかまわないが、白だしや麺つゆを使用してもいい。もちろん、醤油、酒、鰹節と昆布出汁で一からつくることもできる。
宮城県塩釜の阿部善商店から発売されている「茶めしの素 おでん専用ごはん」もおすすめだ。茶飯専用のユニークな商品だが、同社のヒット商品「松島おでん」を彷彿とさせる牡蠣のエキスが入っている。日本橋「お多幸本店」の名物料理、とうめしも作ることができる。
2合炊き用のものが2袋入っているので、少量つくりたい場合は余りをおでんの汁として使用するといいだろう。量販店や阿部善商店のオンラインショップで販売している。
通常の茶飯は具材(かやく)がほとんど入っていないが、今回はおでん種を中心とした具材をたっぷり入れる。揚げ蒲鉾(さつま揚げ)、大根、こんにゃくを入れたが、タコやつみれ、ゲソ巻やがんもどきなど入れても美味しいだろう。さらに人参、タケノコの水煮、干し椎茸や干しエノキタケ(パートナー自家製)も入れてみた。このあたりは完全に好みなので、余り物を含めて自由な発想で加えていただきたい。
お米は研いでから、しばらく水につけておく(夏は30分、冬は1時間程度)。おでん種などの具材は小さめに切っておく。炊飯器にお米を入れて、だし汁や調味料(今回は阿部善商店の茶めしの素)を水で溶いたものを加える。おでん汁を使用する場合は汁1に対して水3の割合が適当だ。水(だし汁)の量は炊飯器の目盛りに従って加え、具材を最後に入れる。
あとは炊飯器のスイッチを押して完成。あっという間に茶飯(おでんの炊き込みご飯)ができあがる。調理時間は5分程度のお手軽さだ。炊き上がったらすぐにかき混ぜて、ごはんをほぐそう。表面についた余分な水分がとんで、つやが出て食感も格段によくなる。
茶碗に盛れば、これだけでじゅうぶん美味しくいただける。お茶漬けにするまえに、しばらくその味を楽しむのもいいだろう。お米に味がついているので、おでん種との相性もばっちりだ。
次におでん汁を茶碗にゆっくり流し入れる。おでん汁は濃い場合があるので、お湯を足して好みの味に薄めてあげるといい。
最後に彩りと清涼感を加えるため、刻んだミツバを添える。ミツバがあるだけで、おでん茶漬けのグレードが一気に上がるのでぜひ試してもらいたい。お好みでゴマや長ネギ、三島食品のゆかりや梅干し、海苔やあられなどを加えてもいい。「おでんのご当地だれを楽しむ」の記事を参考に、柚子胡椒やかんずりなど、ご当地のつけだれを乗せても美味しいだろう。
お酒を飲みながらの締めの一品として最高だし、翌朝のおでんのリメイクとしても活用できる。また、おでんを作らなくとも揚げ蒲鉾だけ購入して夜食用につくってもいい。手軽に美味しくできるので、作り手の評価が格段に上がることは間違いない。