おでんのふきの調理方法

今回はおでんのふき(蕗、フキ)の調理方法を紹介しよう。アク抜きのための下茹でからおでんの調理まで解説していきたいと思う。

おでんのふきの調理方法

ふきは春から初夏に食べられる季節の野菜だ。独特な苦味や香りが心地よく、煮物や炊き込みごはん、佃煮などさまざまな料理で活用できる。おでんにしても美味しいので、ぜひ旬の季節に味わっていただきたい。

ふきの特徴と品種について

ふきは日本原産の植物で、花の芽はふきのとう(蕗の薹)として有名だ。食用される茎のような部分は、葉と茎を繋ぐ葉柄(ようへい)だ。茎は地中にあり、周辺に伸びて増えていく。

ふき(愛知早生)
ふき(愛知早生)

市場に出回っているのは「愛知早生(あいちわせ)」と呼ばれる品種で、名前の通り愛知県で多く生産されている。愛知県は全国で6割の生産量を誇るそうだ。アクや苦味は控えめで柔らかく、全国各地に流通している。

山ふき
山ふき

愛知早生のほかには、京都や奈良で栽培されている水ふきや秋田県の秋田ふきなどがある。山野に自生しているものは山ふきや野ふきと呼ばれ、食用に適したものが選定されて市場に並ぶ。愛知早生より小振りで、アクが多く苦味が強いが、香りもよいので好んで選ぶ人も多い。

ふきの選び方

ふきはたけのこと同様に、収穫した直後からアクが増えてえぐみが増してくる。なるべく新鮮なものを選ぶといいだろう。

ふき(愛知早生)

張りがあり、黒ずんでいないものが新鮮だといわれている。葉はラップに包まれている場合が多いのでわかりにくいが、緑色で傷んでいないものがいい。佃煮などに利用できるので筆者は葉つきを購入することが多い。

ふきの下茹で(アク抜き)方法

ここからはアクを取るための下茹で方法を紹介しよう。スジを取るのに時間がかかるが、茹でる時間は数分で、技術もそれほど必要としない。臆せず挑戦してみよう。

おでんのふきの調理方法:板摺りする

まず、ふきを鍋やフライパンに入る大きさに切る。鍋はなるべく大きなものを選ぶといい。これはすじを取る作業を少なくするためだ。鍋やフライパンが小さいと短く切る必要があり、皮を剥く本数も多くなってしまう。葉が付いている場合は切り落とし、葉の表裏を水でよく洗う。

ふきを並べて塩を振り、手の平でふきを転がし板摺りする。皮を剥がしやすくし、発色をよくする効果がある。

おでんのふきの調理方法:下茹でする

鍋やフライパンで湯を沸かし、3分から5分ほどふきを茹でる。細いものから太い順に引き上げていこう。

おでんのふきの調理方法:水に晒して熱をとる

茹でたふきは冷水に浸して熱を取り、皮を剥いていく。端から剥がしていくとするりと最後まで皮が取れる。皮が掴みにくい場合は包丁で薄く切れ込みを入れ、皮を指で押さえて引っ張るといい。

おでんのふきの調理方法:皮をむく

バナナのように先端をすべて剥いてから皮を掴み、一気に剥く方法もある。たくさんの皮を処理しなくてはならないので効率的な方法を探りつつ、家族やパートナーに手伝ってもらうなどして作業を進めよう。

おでんのふきの調理方法:ふきの皮

話をしながら作業をしていれば手間も楽しく感じられるはずだ。一見面倒だと思えるこのような時間は、多忙な現代人にとってのんびりとした日常を取り戻せる有意義なものではないかと個人的には思っている。

おでんのふきの調理方法:水に入れて冷蔵保存

皮を剥いたふきは水につけて冷蔵すれは3日ほど保存できる。その際は毎日水を取り替えるようにしよう。ふきの葉は塩を少量加えて1分程度下茹でして、水を取り替えながら1時間ほど冷水に晒しておく。こちらも水につけて冷蔵保存できる。

ふきのおでんの調理方法

おでんにする場合はおでん汁で煮るだけで美味しくできあがる。食べやすいサイズに切ってそのまま鍋に入れてもいいが、今回はおでん料理店を真似て干瓢でまとめてみたいと思う。

おでんのふきの調理方法:干瓢で結ぶ

干瓢は漂白、無漂白のどちらでもかまわない。漂白のものは水に3分ほどつけた後に塩をまぶして弾力が出るまでよく揉み込む。水で塩を洗い流したら、絞って水気を切れば準備完了だ。無漂白のものはそのまま使用してかまわない。詳細は「かんぴょう(干瓢)の戻し方とおでんでの活用方法」の記事を参考にしてほしい。

ふきを同じ長さに切り、3、4本を干瓢で結ぶ。結び方は本結びか縦結びでいい。干瓢を使わず、串や楊枝に刺すのもいいだろう。

ふきのおでん

煮る時間は10分から15分程度だ。ほかの種が煮え切っていない場合は一旦鍋から取り出し、汁と一緒に冷蔵庫に置いておくといい。煮浸しのように味がじっくり染み込んでいく。

食べる直前になったら鍋に戻し、温めたら完成だ。炒りごまや鰹節をかけてもいいだろう。

ふきのとうのおでん

ふきのとうをおでんにしても美味しい。ふきよりもさらに風味が強く、大人の味を楽しめる。

ふきのとう

ふきと同様に、ふきのとうもアク抜きをしておこう。根元を切り落としてから3分程度下茹でし、水を換えながら30分程度冷水に晒しておく。花蕾まで綺麗にアク抜きするには半分に切ったうえで茹でるといいが、崩れやすくなるので注意しよう。

おでんのふきの調理方法

ふきは皮を剥くのに手間がかかるが、独特の苦味と芳香が春の訪れを感じさせる素晴らしい野菜だ。和食だけでなくスープやパスタにも利用できるので、ぜひ一度調理してみてほしい。

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