佃忠蒲鉾店(向島)のおでん種

佃忠蒲鉾店は東京都墨田区向島の鳩の街通り商店街にあるおでん種の専門店だ。佃忠は都内に4店舗あるが、それぞれおでん種を手作りしていて、種類も異なる。

戦前からの風情を残す鳩の街通り商店街

東武伊勢崎線の東武曳舟駅から西へ5、6分歩いたところにある鳩の街通り商店街。商店街のWebサイトによると、昭和3年(1928年)に寺島商栄会としてはじまり、90年以上の歴史を持つ。

東京都墨田区向島:鳩の街通り商店街

商店街の道幅は狭いのだが、これは東京大空襲をまぬがれたため戦前のままなのだという。鳩の街といえば、吉行淳之介の「原色の街」の舞台になった場所だ。また、永井荷風も戯曲を書いたことで有名だ。かつて玉ノ井駅として知られた東向島駅にも近く、空襲で焼け出された私娼街の人々が鳩の街へ移動し賑わっていた。その後、昭和33年(1958年)に売春防止法が施行されてから商店街に移り変わっていった。

東京都墨田区向島:鳩の街通り商店街

商店街の通りにも「鳩の街」という文字が確認できる。上に乗っている鳥が鳩ではないのはご愛嬌。商店街入り口のアーチにはちゃんと鳩のマークが描かれている。

東京都墨田区向島:鳩の街通り商店街

商店街には古くから営業を続けているお店が多い。鮮魚店、生花店や精米店、酒屋など昭和の雰囲気を残している。今回紹介する佃忠蒲鉾店もそのひとつだ。

佃忠の次男が経営する向島の佃忠蒲鉾店

こぢんまりとした店内に所狭しとおでん種が並ぶ佃忠蒲鉾店。本店である亀有店は三兄弟の長男が経営していて、こちらの向島店は次男である店主が経営している。昭和56年(1981年)の創業だ。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店

田端店は三男、西武池袋本店は甥っ子が経営しているそうだ。おでん種はそれぞれのお店で異なるが、原材料の仕入れは一緒にしているそうだ。
佃忠は初代が明治45年(1912年)に日本橋で蒲鉾店を創業したが、戦争で店が焼けて亀有へ移った。そして、二代目の息子である三兄弟はそれぞれ亀有、向島、田端で店を持つことになる。さらに、2010年に甥っ子が池袋西武本店で4店目をオープンした。長男はときどき池袋西武本店に手伝いに行っているそうだ。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店

店頭で調理済みのできたておでんも販売している。仕切りのないおでん鍋に詰め込まれたおでん種は汁がしっかり染みていて美味しそうだ。鳩の街商店街は散歩にもってこいの場所なので、ここで買って歩きながら小腹を満たすのもいいだろう。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店

お店の中央の冷蔵ショーケースには練り物系のおでん種が並んでいる。その数20種類ほど。亀有店や西武池袋本店のものは少し大きめで変わり種のおでん種も多いが、向島店のものは程よいサイズで定番ものを揃えている。土曜日はおでん種が全品一割引なので、たくさん買ってもお財布に優しい。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店

左側のショーケースには練り物以外のおでん種が並ぶ。つみ入は自家製だ。魚のすじは以前作っていたが、生のサメが手に入りづらくなったのでやめたそうだ。冷凍やサメの身だけだとパサパサしてしまい、口あたりが悪くなり味が落ちるという。
やきちくわは青森のイゲタ沼田竹輪工場のもの。おでん汁は正田醤油(綾瀬)、洋からしはチヨダのものだ。

弾力感が心地よい佃忠蒲鉾店(向島)のおでん種

今回購入したのは13種類。亀有店や池袋西武店の佃忠とは形状や種類が異なる。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種

時計回りに12時から、いか天、からしあげ、あげボール、牛すじ、ウインナー巻、つみ入、えび巻、コーンあげ、えだ豆あげ、お好みあげ、シューマイ巻(中央上)、やさい袋(中央下)。この他にちくわぶも購入。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種

大根や玉子、こんにゃくなどを加えて調理開始。彩り華やかで美味しそうにできあがった。
練り物はふんわり柔らかだが、適度な弾力がある。亀有店のものはきめ細やかでクリーミーな舌触りだが、向島店のほうは弾力感が心地よい。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種

つみ入はイワシの香りがふんわり漂うが臭みがなく、いくつ食べても飽きない美味しさだ。東京おでんだねでは初登場の牛肉すじは柔らかい部分とコリコリの部分が適度に合わさって、噛めば噛むほどジューシーな甘みが広がる。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種 - えだ豆あげ

えだ豆あげは枝豆がふんだんに入っていて、噛むと枝豆のぷりぷりとした瑞々しい味わいが広がる。黄緑色の艶が美しい。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種

お好みあげは紅生姜、黒ごま、人参、ごぼう、ねぎ、イカが入っている。6種類も入っているなんてとっても贅沢だ。それぞれの具材が適度に主張して美味しい。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種 - お好みあげ

大判なので、半分に切ってシェアしてもよいし、ひとりで思う存分かじりついてもいいだろう。彩りもよく、必ずひとつは購入しておきたいところだ。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種 - やさい袋

やさい袋は挽肉、白菜、キャベツが入っている。外見はひばりヶ丘の大清かまぼこ店の袋詰に似ているが、こちらはインゲンではなくさやえんどうを使っている。袋を開けると白菜とキャベツがふんだんに入っていて、上品な味わいの汁がたくさん溢れてくる。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種 - コーンあげ

コーンあげは写真のとおり、粒々のコーンがたくさん入っている。一体いくつ入っているのだろうか。コーンはとっても甘く、魚のすり身によく合う。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種

木の葉のような形のいか天はイカの他に玉ねぎも入っているようだ。イカの旨味と玉ねぎの程よい甘さがクセになる美味しさだ。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種 - からしあげ

からしあげはねぎ、人参、もやし、黒ごま、そして唐辛子が入っている。唐辛子がしっかり効いていてよいアクセントとなっている。亀有店の唐辛子と黒ごまだけのシンプルなからしあげとは異なる美味しさだ。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種 - ウインナー巻

ウインナー巻はぷりぷりのウインナーが丸ごと入ったおでん種だ。みっちりと身の詰まったウインナーの懐かしい味わいが郷愁を誘う。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種

えび巻は亀有店のものと同様、大振りのエビが入っていて食べ応えがある。ほどよく塩味の効いたエビの旨味が広がり、大満足の逸品だ。

東京都墨田区向島 鳩の街通り商店街:佃忠蒲鉾店のおでん種 - シューマイ巻

シューマイ巻は大きめの焼売が丸ごと入っている。挽肉から溢れ出る肉汁がおでん汁と混ざり合って美味しい。

他のおでん種やさんと同様に、向島の佃忠蒲鉾店の店主も気さくな方で、親切に佃忠やおでん種にまつわるお話をたくさんしてくれた。冗談を交えながら話す店主の笑顔が非常に素敵だった。また、おかみさんも控えめながらお話に付き合ってくださって、人の良さが滲み出ていた。イトーヨーカドーに入っている亀有店や西武池袋本店ではなかなか話ができないし、店舗ごとの佃忠のおでん種を試したいならぜひ向島まで足を運んでみるといいだろう。

佃忠蒲鉾店(向島)の基本情報

佃忠蒲鉾店
〒131-0033 東京都墨田区向島5-49-5
03-3614-2604
定休日:日
営業時間:9:30~19:30
佃忠蒲鉾店(向島)のWebサイト(鳩の街商店街Webサイト)

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