九州屋蒲鉾店と大清かまぼこ店のおせち用食材

東京のおでん種専門店では年末におせち用の食材を販売している。今回は、荒川区東尾久にある九州屋蒲鉾店と西東京市のひばりが丘にある大清かまぼこ店のおせち用食材を紹介する。

九州屋蒲鉾店と大清かまぼこ店のおせち食材で作ったおせち料理とお雑煮

前回の年越しは九州屋蒲鉾店の板付蒲鉾と伊達巻を購入してお正月に味わったが、今回はそれに加えて大清かまぼこ店のなると巻、伊達巻、栗きんとんも購入した。年末はおでん種を買い込むお客さんが押しかけるためおでん種やさんは多忙を極めるので、おせち用食材は他店から仕入れたものを販売するお店が多い。しかし、今回紹介する2軒のように手づくりするお店はまだまだある。

板付蒲鉾を手づくりする数少ないおでん種専門店、九州屋蒲鉾店

年の瀬押し迫る2021年12月28日、板付蒲鉾と伊達巻を目当てに九州屋蒲鉾店にお邪魔した。28日は火曜日、まだお客さんで混雑していなかったが、お店の奥にある工場(こうば)では職人さんたちが忙しそうに揚げ蒲鉾の製造を行なっていた。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店

東京おでんだねの筆者はずっと九州屋蒲鉾店にお世話になっており、すっかり顔馴染みとなっている。いつものようにおかみさんに挨拶すると、奥から店主が笑顔で迎えてくれた。この時期はおでん種の需要もさることなら、板付蒲鉾などのおせち用食材を作るのにお忙しいとのことだった。毎晩徹夜が続いていて大変そうだったが、常連さんの期待に応えるために頑張っていると笑顔で語っていた。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店の板付蒲鉾と伊達巻

2020年も28日に訪問したが、紅色の蒲鉾が売り切れていた。しかし、2021年は紅白両方の蒲鉾を手に入れることができた。製造は完了していたが本格的な販売は開始していなかっため、購入することができたのだろう。店主と会話する間におかみさんに綺麗に包装していただき、伊達巻と一緒に確保することができた。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店の板付蒲鉾

九州屋蒲鉾店の板付蒲鉾は足(蒲鉾の固さの強弱、歯切れ、粘り)が強く魚のうまみもしっかりしており、非常に満足感が高い。機械で均一な形に作られたものとは異なり、手づくりのぬくもりが感じられる外観にも愛着がわいてくる。

東京都荒川区東尾久 おぐぎんざ商店街:九州屋蒲鉾店のおでん種(揚げ蒲鉾)

おかみさんには揚げたてのおでん種をサービスしていただいた。おまけというにはボリューム感たっぷりなので毎回恐縮してしまうのだが、彼女の溢れんばかりの人情が伝わってきて本当に嬉しくなる。ただし、あくまでお店側のご厚意なので当たり前だと思って期待するべきでない。この御恩は別のかたちで必ずお返ししたいと思っている。

伊達巻は次に紹介する大清かまぼこ店のものと一緒にあとで紹介しようと思う。品薄になっていなければ、焼き色が濃いものと薄いものを選べる。

多彩な手づくりおせち用食材が手に入る大清かまぼこ店

次に、栗きんとんを購入したかったので西東京市のひばりが丘にある大清かまぼこ店を訪れた。昭和43年(1968年)に創業し、地元客だけでなくネット販売も人気のおでん種専門店だ。

東京都西東京市ひばりが丘 一番通り商店街:大清かまぼこ店

東京おでんだねでは2019年1月の訪問記事のほか、彩りの美しい袋詰を紹介した「東京のおでん種やさんの袋詰」記事などでも紹介している。全国蒲鉾品評会で上半ぺんが第56回農林水産大臣賞を受賞、東京さつまあげが第57回栄誉大賞を受賞するなど業界での評価も高い名店だ。

東京都西東京市ひばりが丘 一番通り商店街:大清かまぼこ店のおせち用食材

年末になると店頭におせち用食材がたくさん並ぶ。今回購入した栗きんとんやなると巻、伊達巻のほか、厚焼玉子や黒豆、豆きんとん、なますなども自家製だ。

東京都西東京市ひばりが丘 一番通り商店街:大清かまぼこ店のおせち用食材

板付蒲鉾は小田原の老舗のものを販売しており、量販店で購入するより割安となっている。鈴廣かまぼこ籠淸山上蒲鉾店といった主要な小田原の蒲鉾が揃う。2019年までは丸う田代のものも扱っていた。

東京都西東京市ひばりが丘 一番通り商店街:大清かまぼこ店のおせち用食材

大清かまぼこ店では昆布巻や田作りなども手づくりしており、その種類は膨大だ。「年末の忙しい最中に作るのは大変でしょう」と工場のおかみさんにうかがうと「毎年やっているものだからね」と微笑まれていた。

東京都西東京市ひばりが丘 一番通り商店街:大清かまぼこ店のなると巻(紅白)、伊達巻、栗きんとん

大清かまぼこ店で購入したのは紅白のなると巻、伊達巻、栗きんとんだ。どれも手づくりの素朴さがありながら、逆に豊かなぬくもりを感じる魅力的な品々だ。

東京都西東京市ひばりが丘 一番通り商店街:大清かまぼこ店のなると巻(紅白)

なると巻は紅白2種類あり、一緒に使うと非常に彩りが華やかになる。魚のすり身の味わいがしっかりとしていて、薄く切っても存在感がある。断面の風合いも非常に可愛らしく、初春を感じる出来栄えだ。

東京都西東京市ひばりが丘 一番通り商店街:大清かまぼこ店の栗きんとん

栗きんとんは上品な甘さが際立っている。ストレートな砂糖(もしくは洗双糖やグラニュー糖)の甘さより、栗やさつまいも由来の自然の甘みが心地よい。色合いも華やかで「金団」らしい富を連想させる黄金色に仕上がっている。

大清かまぼこ店の伊達巻(左)、九州屋蒲鉾店の伊達巻(右)

伊達巻は上の写真で左側が大清かまぼこ店、右側が九州屋蒲鉾店のものとなる。自作してみると伊達巻はけっこう技術が必要だが、この2軒のものは完璧に美しく仕上がっている。

九州屋蒲鉾店の伊達巻(左)、大清かまぼこ店の伊達巻(右)

食感はどちらもみっちり、しっとりとしていて、卵の濃厚な甘みと魚のすり身のうまみが感じられる(上写真は左が九州屋蒲鉾店、右が大清かまぼこ店)。自分で作るとなると、この密度感や味わいは再現しにくいだろう。お店によって味わいも微妙に異なるので、年ごとに好みのものをゆっくり選んでみると面白いかもしれない。

九州屋蒲鉾店と大清かまぼこ店のおせち食材で作ったおせち料理

これらの食材は筆者のパートナーがおせち料理に活用した。たとえ自分で作ったものでなくとも、馴染みのお店のものを使うととても愛着がわいてきて、唯一無二のおせちになる。

大清かまぼこ店のおせち食材で作ったお雑煮

お雑煮には大清かまぼこ店のなると巻を使用した。市販のものを利用してもじゅうぶん美味しいが、おでん種専門店の職人が手づくりしたものが添えられると雰囲気がずいぶん豊かになる。今回紹介した2軒以外にも手づくりのおせち用食材を販売しているおでん種専門店があるので、探してみると面白いだろう。

九州屋蒲鉾店では手づくりの板付蒲鉾を「いつまで作り続けられるかわからない」とおっしゃっていた。短く忙しい準備期間で手づくりの品を大量に用意するのは、本当に大変なのだろう。他のおでん種専門店のおせち用食材も同様なので、見つけたら一度購入してみることをおすすめする。

九州屋蒲鉾店の基本情報

〒116-0012 東京都荒川区東尾久4-31-11
03-3800-0328
定休日:火
営業時間:9:00~19:20
九州屋蒲鉾店のWebページ(おぐぎんざ商店街のWebページ)

大清かまぼこ店の基本情報

大清かまぼこ店
〒202-0002 東京都西東京市ひばりが丘北4-2-25
042-421-7990
定休日:日曜
営業時間:10:00~19:00
大清かまぼこ店のウェブサイト

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