お惣菜の丸萬のお惣菜

お惣菜の丸萬は、かつて丸萬蒲鉾店としておでん種を製造販売していた。戸越銀座の脇を入った平和坂通り商店会に店を構え、おかみさんがご主人亡きあとお惣菜を作り続けている。

戸越銀座の脇で営業する平和坂通り商店会

大型の商店街として有名な戸越銀座商店街。じつは3つの商店街で形成されており、大崎寄りは戸越銀座銀六商店街となっている。

東京都品川区戸越:戸越銀座商店街

東急池上線の戸越銀座駅から大崎方面へ進み、おでんコロッケで有名なおでん種専門店の後藤蒲鉾店を越えて戸越銀座銀六商店街へ入る。

品川区西品川2丁目:平和坂通り商店会

脇の道に注意していると、赤い色のアーチを発見できる。ここが平和坂通り商店会の入り口だ。

品川区西品川2丁目:平和坂通り商店会

この道は平和坂と呼ばれる坂で、住所でいうと品川区西品川2丁目になる。平和坂通り商店会は非常に小さな商店街で、現在10数軒が営業している。

品川区西品川2丁目:平和坂通り商店会

お蕎麦の鹿島そば店(飼い猫が外と店内をウロウロしていて猫好きにはおすすめ)、お寿司の玉寿司、うなぎの中ふじなど飲食店が多いが、お惣菜の丸萬は多彩なお惣菜を揃えており、家で手軽に食事を済ませるときに便利なお店だ。

鮮魚にこだわったかつてのおでん種専門店、丸萬蒲鉾店

お惣菜の丸萬は、かつて丸萬蒲鉾店という名でおでん種を販売していた。店主が8年前(2011年頃)に亡くなってしまったので、現在はおかみさんがひとりでお惣菜を販売している。

品川区西品川2丁目 平和坂通り商店会:お惣菜の丸萬

店主は中野区で生まれ、小学5、6年の頃に品川区2丁目のこの地に引っ越してきた。その後、埼玉県鶴瀬の三洲屋(さんしゅうや)という蒲鉾店で20年ほど修行をして丸萬蒲鉾店を創業したそうだ。鶴瀬の三州屋ではかなりの職人が修行したという。

品川区西品川2丁目 平和坂通り商店会:お惣菜の丸萬

創業して以来、すり身を使わず1日おきに市場で鮮魚を仕入れ、さばいておでん種を作っていた。その労力は凄まじく、おかみさんいわく「1匹ずつさばくから早朝から仕込みをしないといけないし、前の晩からやっていることもありました。当時、鮮魚をさばいていたおでん種やさんもほとんど廃業し、現在ではほとんどすり身に頼っているんじゃないでしょうか。阿佐ヶ谷の蒲重蒲鉾店は今でもさばいていると聞いていたけど」ということだった。

東京おでんだねの取材では、大田区糀谷の愛川屋蒲鉾店など、現在も鮮魚をさばいておでん種を作るおでん種やさんは少数ながら存在する。丸萬蒲鉾店の店主も老年になってからは、お知り合いに依頼してさばいてもらっていたそうだ。

品川区西品川2丁目 平和坂通り商店会:お惣菜の丸萬

当時はイシモチ以外に、現在では高級魚となっているヒラメやアマダイ、タイやマグロなどをたくさん仕入れることができたという。

品川区西品川2丁目 平和坂通り商店会:お惣菜の丸萬

おかみさんはそのころ、おでん種に入れる具材の仕込みを担当していたそうだ。いわし団子に入れる長ネギなど野菜を刻むのに忙しくて大変だったそうだ。店内には店主がご存命だったころの写真が飾ってあったが、おかみさんとずっと二人三脚で頑張ってきたのだろう。

品川区西品川2丁目 平和坂通り商店会:お惣菜の丸萬

お店の前にはいくつか魅力的な惣菜が並んでいた。天ぷら(昨日の残りものなのでお値打ち価格)や玉子焼き、餃子や切り干大根など、家庭的な品を揃えている。フリーズドライの味噌汁なども販売しており、ひとり暮らしの家には重宝しそうな食材ばかりだ。店主が亡くなったあとにおかみさんが朝からひとりで仕込みをしたり、食品を仕入れていることを想像すると、ちょっとじーんとくる。

品川区西品川2丁目 平和坂通り商店会:お惣菜の丸萬のお惣菜

おかみさんから店主とかつての丸萬蒲鉾店の思い出話を聞きつつ、天ぷらと焼売を購入してみた。
天ぷらは前の日の残りものながら、温めて食べると素材のうまみが口のなかに広がってとっても美味しかった。母の手料理といった感じで、心もじんわり温かくなる。
焼売は大ぶりで肉汁もじゅわっと溢れて美味しかった。

店主が亡くなったあとは、おでん種を作る環境が整っていたので借り手を探したが引き取り手はなかったそうだ。練り物や揚げ蒲鉾を作れる職人が少なくなったことが大きな要因だが、このようにしておでん種やさんは減っていくのだなと実感した。
インターネットを探ると丸萬蒲鉾店の情報は非常に少なかったが、かろうじて以下のサイトを見つけたので記しておこうと思う。

食彩の王国-テレビ朝日

東京にもかまぼこ屋さんは沢山ありますが、手作りの板付け職人が次々と引退…。受け継がれてきた尊い技が失われようとしています。品川区平和坂で小さなかまぼこ店を営む萬行龍男さんは、切ない時勢を感じながらもひたむきに昔ながらの味を守ってきました。「冷凍素材を使わず新鮮な魚が入ればつくる!」信念と誇りを胸に腕をふるいます。濃厚な魚の旨みがぎっしりつまった萬行さんのかまぼこは、光り輝いていました。

肴道「品川の伝統の味(丸萬蒲鉾店他)」

まずは、西品川の蒲鉾(カマボコ)店の丸萬蒲鉾店。
毎日市場で厳選して仕入れた魚を使ったカマボコ(おでんダネ)一筋の店。
おでん、カマボコ他、さつまあげ、チーズ入り、煮凝り(にこごり)
冷凍物の魚は使わず、つなぎの粉も使わないカマボコやつみれは歯応えと風味は抜群です。
遠方より買いに来るリピーターも多いようで、まさに「伝統の味」に値する名店です。

店主のこだわりのおでん種が食べられなくなってしまったのは残念だが、柔和な笑顔で接客してくれるおかみさんのあたたかな会話とお惣菜は健在なので、ぜひ訪れてみてもらいたい。

お惣菜の丸萬(丸萬蒲鉾店)の基本情報

お惣菜の丸萬(丸萬蒲鉾店)
〒141-0033 東京都品川区西品川2-24-7
03-3492-3915
定休日:土曜、日曜、祝日
営業時間:11:00~19:00
お惣菜の丸萬のWebサイト(平和坂通り商店会のWebサイト)

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