阿佐谷パールセンター商店街にあるおでん種の専門店、蒲重(かまじゅう)蒲鉾店はお惣菜も豊富だ。次第に暑くなるこれからの季節に向けて、おでんだけでなくさまざまな味を楽しんでみよう。
蒲重蒲鉾店については「蒲重蒲鉾店のおでん種」や「夏の蒲重蒲鉾店のおでん種」という記事で詳しく紹介している。おでん種についての情報も掲載しているので、あわせてご覧いただきたい。
蒲重蒲鉾店のお惣菜で豊かな食生活を楽しむ
JR中央線の阿佐ケ谷駅からすぐ目の前にある阿佐谷パールセンター商店街は、毎年恒例になっていた阿佐谷七夕まつりを中止するなど新型コロナウイルスの拡大防止のために活動を続けている。居酒屋などの飲食店への影響は甚大だが、小売店は地元民の生活を支えるために毎日営業を続けている。
蒲重蒲鉾店も自宅で豊かな食生活を楽しんでもらうために、魅力的なおでん種を提供し続けている。訪れたときも地元のお客さんが詰めかけていて、あいかわらず盛況のようだ。
蒲重蒲鉾店にはおでん種のほかに、もうひとつ大きな魅力がある。揚げ物を中心としたお惣菜を複数取り揃えており、手軽にさまざまな味を楽しむことができる。
お惣菜はイワシや魚のすり身などの具材が中心となり、栄養が豊富で育ち盛りのお子さんがいる家庭にも最適だ。イワシの効能を詳しく紹介したPOPは見ているだけで元気になれる、賑やかな雰囲気を醸し出している。
訪れたときは店頭に並んでいるすべてのお惣菜を購入した。以前はここに穴子のゴボー巻も加わっていたが、仕入れの関係で扱いを取りやめたのだという。
また、奥にある冷蔵ショーケースには煮こごりが並んでいたので購入することにした。以前は多くの東京のおでん種やさんで取り扱っていたが、現在は4、5軒ほどになってしまった。はんぺんや魚のすじを手作りするお店が減り、共通の材料となるサメを仕入れなくなったためだ。
もちろん、おでん種として使用する揚げ蒲鉾をお惣菜として購入してもいい。オーブントースターであぶるだけで立派なお惣菜になる。詳しい調理法に関しては「揚げ蒲鉾の楽しみ方」という記事をご覧いただきたい。
蒲重蒲鉾店では定番ものや人気の深川揚のほかに、新たなおでん種を次々と開発している。前回目にしなかったワカメ揚や紅しょうが青じそは非常に興味をそそる。高級魚のグチを使用しているということは、かなり美味しいに違いない。次回訪れたときの楽しみにとっておこう。
最近は日中かなり暖かくなり、日向にいるとTシャツでも暑いくらいの陽気だ。しかし、調理済みおでんにお客さんの人気が集中していた。以前店主の太田泰司さんに伺った話によると、夏場はこのできたておでんの売れ行きがもっともよいのだそうだ。現在は新型コロナ対策のため、持ち帰りのみの販売となっている。
これからの季節に向けた涼しげな商品も販売している。ところ天は国産のものを使用しており、安心して食べられる。最近はこんにゃく店や豆腐屋さんが減少しているので、良質なところ天に出会えることは少ない。自宅のバルコニーで月を眺めながら楽しむのもいいだろう。
蒲重蒲鉾店のお惣菜
今回、蒲重蒲鉾店で購入したのは6種類。どれも魚の栄養とうまみが詰まったものばかり。いつもおでん種の取材のために購入をあきらめていたのだが、一気に欲求を解消できた。
時計回りに12時から、イワシの竜田揚、ワカサギ、なすのはさみ揚、イカのから揚、イワシ玉(中央左)、煮こごり(中央右)。
イワシの竜田揚は衣がかりっとしているが、イワシはふんわりとした食感を楽しめる。20cm以上の大きさを表す大羽イワシを使用している。中骨を抜いているため丸ごと食べられ、大葉が挟んであるので後味はさっぱりとしている。蒲重蒲鉾店では大根おろしポン酢で食べることを推奨しているが、なにもつけずに食べてもしつこくならない。
ワカサギは衣とほどよい油が魚のうまみを引き出している。柔らかく、骨を気にせず丸ごと食べられる。晩御飯の前につまみ食いしたが、止まらなくなるので要注意だ。
なすのはさみ揚はナスに魚のすり身が挟んである。ナスの独特な風味と魚のすり身のやさしい味わいがあいまって、ご飯が進むことは間違いない。生姜と一緒に食べてもいいだろう。
イカのから揚は大型のイカであるムラサキイカを使用している。大きくなりすぎると身が固くなるが、こちらはとても柔らかい。レモン汁を加えてあるので、見た目よりもさっぱりといただける。お酒との相性は抜群で、食べすぎないように注意が必要だ。
イワシ玉は保存料はもとより、小麦粉と卵白も加えていない。臭みを取るための長ネギ、彩りのための人参が加えられている。そのまま食べてもいいが、出汁を加えて椀種にしてもいいだろう。イワシの臭みはまったくなく、ふわっとした優しい味わいだ。
煮こごりはヨシキリザメを使用しており、ゼラチン質のぷるぷるとした食感が魅力だ。出汁で味付けされており、中に入っている椎茸の風味と合わせてしっかりとしていながら上品な味わいを堪能できる。煮こごりを作るのはかなりの手間なので、見つけたらぜひ購入することをおすすめする。
3度目の緊急事態宣言も発令され、家にいることが多くなることが予想される。蒲重蒲鉾店のお惣菜はその状況下で生活を豊かにしてくれる心強い味方だ。地元の方々には引き続き利用していただき、それ以外の方々はしばらく様子をみて訪れてもらいたい。
蒲重蒲鉾店の基本情報
蒲重蒲鉾店
〒166-0004 東京都杉並区阿佐谷南1-47-10
03-3311-3543
定休日:水曜
営業時間:9:00~19:30
蒲重蒲鉾店のウェブサイト(阿佐谷パールセンター)