佃忠(田端)のおでん種で冷やしおでんをつくる

今回は、佃忠(田端)のおでん種を使用して冷やしおでんづくりに挑戦する。しっかり味が染み込んだ冷たいおでんは暑い夏場にぴったりで、野菜もいっぱいなので栄養も豊富だ。調理の時間もそれほどかからないので、ぜひ参考にしてみてほしい。

東京都北区田端:佃忠(田端)のおでん種で作った冷やしおでん

夏場でも元気に営業中、田端銀座の佃忠

2020年8月1日早朝、目が覚めて空の様子をうかがう。雲は多いが、1日前とは異なる晴れやかな青空。ようやく梅雨が明けるかなと思ったら、午前11時に関東の梅雨明け宣言のニュースが入った。

東京都豊島区駒込

気温はそこまで高く感じられなかったが、これから炎天下の日が続くのだろう。東京おでんだねの筆者は1年を通しておでんを食べているが、夏バテになって冷たいものが食べたくなる日があるかもしれない。そんなわけで、冷やしおでんを作ることを思い立ち、北区田端の佃忠に向かうことにした。

東京都豊島区駒込:駒込アザレア通り

佃忠(田端)はJR田端駅と駒込駅の中間に位置しているが、どちらかというと駒込駅のほうがアクセスしやすい。東口の改札を右に出て正面にあるアザレア通りをまっすぐ進み、頃合いをみて北に曲がって歩いていくと、田端銀座商店街にぶつかる。佃忠(田端)は田端銀座の真ん中あたりにある。

東京都北区田端 田端銀座商店街:佃忠(田端)

佃忠(田端)の詳細は前回訪れたときの記事を参考にしていただきたいのだが、佃忠は4店舗あり、それぞれ2代目の3人の息子とその長男の息子さんが経営している。本店である亀有店は長男が経営し、向島店は次男、田端銀座店は三男、西武池袋本店は長男の息子さんが店主となっている。

さらに田端銀座店は三男の息子さんに代替わりをしたが、三男の奥さん(息子さんのお母さま)は今なお店頭に立って元気に接客している。彼女に新型コロナウイルスの影響をうかがってみたが、商店街から客足が遠のいたという話はなく、むしろ増えたとおっしゃっていた。緊急事態宣言で大型スーパーや百貨店に行けなくなったぶん、地元のスーパーや商店街に人が押し寄せたというニュースを裏付ける話だ。佃忠(田端)では早いうちからビニールシートを覆って、お客さんの感染を防ぐ対策をとっている。

東京都北区田端 田端銀座商店街:佃忠(田端)

さらに「感染症よりもむしろ、気温が客足を左右する」とおっしゃっていたが、8月にもかかわらずできたて熱々のおでんの販売をしていた。佃忠(田端)では1年中販売していて、売れ行きは上々らしい。クーラーで肌寒いこともあるし、コンビニが夏場でも早々におでんを売っていたことが影響しているのではないかとおっしゃっていた。

東京都北区田端 田端銀座商店街:佃忠(田端)

通常、ほかのおでん種専門店ではおでん種の種類が少なくなるが、佃忠(田端)では20種類以上並んでいた。作るのは大変だと思うが、やはり種類が多いほうが選びやすい。

自家製の古漬けが最高に美味しい、栄屋食料品店

佃忠(田端)でおでん種を購入したあと、斜向かいにある栄屋食料品店で漬物を購入した。前回購入して非常に美味しかったので、田端銀座にくる際はリピート買いしようと計画していた。

東京都北区田端 田端銀座商店街:栄屋食品

お店は昔なつかしい雰囲気が漂っている。手書きの名札もぬくもりがあり、説明書きの内容もかわいらしい。漬物の種類がとにかく豊富で、日本各地の名産の漬物が所狭しと並んでいる。

東京都北区田端 田端銀座商店街:栄屋食品

栄屋食料品店のいちばんの魅力は自家製の古漬けで、60年もののぬか床を使用しているのが特徴だ。昭和9年(1934年)創業時のおかみさんから、娘、孫娘に引き継がれている。素朴ながらも深みのある味わいで、市販品では真似できない至高の漬物だ。

東京都北区田端 田端銀座商店街:栄屋食品

今回はさらに新潟産の味噌漬けも購入してみた。通常の味噌漬けは甘く味付けされているが、こちらのものは味噌のみで漬けてあるそうで、この味を求めて通う熱烈なファンも多いそうだ。

東京都北区田端 田端銀座商店街:栄屋食品の古漬けと味噌漬け

古漬けはキャベツときゅうり、味噌漬けはナスと昆布をチョイスした。色合いを見るだけで、しっかり漬かったものだとわかる。はやく食べたい気持ちをおさえて、冷やしおでんの調理に取り掛かるとしよう。

ジュレ入りの冷やしおでんづくりに挑戦

今回挑戦する冷やしおでんは、野菜をたっぷり使ってジュレをかけて食べるスタイルにする。佃忠(田端)で選んだのは以下の6種類。ほかの具材が加わることを考慮して、いつもよりも少ないチョイスとなっている。

東京都北区田端 田端銀座商店街:佃忠(田端)のおでん種

時計回りに12時から、ごぼう巻、お好み揚げ、おつまみ揚げ、しいたけ揚げ、ぎんなん巻、餃子巻。

冷やしおでん:使用する夏野菜

冷やしおでんに使う野菜は旬の夏野菜を中心に選んでみた。ズッキーニ、ペコロス(小玉ねぎ)、トマト、オクラ、とうもろこし。とくに決まりはないので、好きなものを自由に選んでみよう。

野菜と揚げ蒲鉾以外は焼ちくわ、タコ、ゆで卵も加えた。これも好みで選ぶといい。

冷やしおでん:オクラの板ずり

オクラはヘタとその周辺の硬い部分を切り落とし、産毛をとるために板ずりする。まな板にオクラを置いて、塩をまぶしてから両手で転がす。

冷やしおでん:トマトの湯むき

トマトは湯むきをして皮をむく。ヘタの反対側に十字形に包丁を入れ、熱湯に数秒から数十秒さらしたら冷水を張ったボウルへ移す。十字の切れ込みから皮を剥がせば、簡単にむくことできる。

冷やしおでん:野菜に焼き色をつける

とうもろこしは事前にレンジで熱を通しておくといい。皮付きの場合はそのまま、皮なしの場合はラップをして600wで5分程度でOK。ズッキーニは1.5cmほどの輪切りにして、ペコロスは皮をむいておく。
これらを油を少量入れたフライパンで適度に焼き色をつける。焼かなくても問題ないが、焼き色をつけたほうが美味しそうに見えるでしょ?

東京都北区田端:佃忠(田端)のおでん種で作る冷やしおでん

揚げ蒲鉾、焼ちくわ、タコの足は食べやすい大きさに切るだけでいい。ゆで卵を半熟にする場合は、熱湯で6分ほどが目安だ。詳しくは「おでんの玉子・半熟玉子の作り方」の記事を参考にしてほしい。

おでん汁はあたたかいおでんでの作り方と同様だが、冷製なので心持ち濃いめにしておくといい。今回使ったのは、正田醤油のおでん汁とオイスターソースだ。水にこれらを入れて薄め、トマト以外の具材を投入する。15分程度弱火で煮込んだら火を止めて冷ましておく。トマトは一緒に煮るとおでん汁にトマト味が染み込みすぎるので、直前に入れるか、別の器に分けて軽く煮込む。ゆで卵も半熟の場合は、煮ないで冷ましたおでんの鍋に入れておく。

冷やしおでんのジュレ

作ったおでん汁を別の容器に適量移し替え、ジュレを作る。おでん汁があたたかいうちにゼラチンパウダーを加えるのだが、固まり具合で食感が変わるので、目分量ではなくきちんと測って作ろう。ゼラチン1gに対して汁60〜70gぐらい、ゆるゆるが好みの場合は汁100gくらいでいいそうだ。ゼラチンはふやかしてから使うのがセオリーだが、今回使ったパウダーの説明書きには「そのまま振りかける」と書いてあったのでその指示に従った。

東京都北区田端:佃忠(田端)のおでん種で作った冷やしおでん

おでん鍋とジュレを冷蔵庫に入れて3時間ほど冷やし、おでんを器に移してから砕いたジュレをかけて完成。彩りがありながらも渋みのある、いい感じの冷やしおでんが完成した。

どの具材も冷蔵庫で冷ましているうちにしんなりとして、味がよく染み込んでいる。佃忠(田端)の揚げ蒲鉾もほどよく野菜やおでん汁に味を移しながら、きちんとうまみを残している。ジュレのふるふるとした食感も面白く、それぞれのおでん種によくからんでくれる。ジュレというとなんだかお洒落すぎる名前なので、個人的には煮こごりと名称を変えても郷土料理っぽくていいのではないかと思った。

東京都北区田端 田端銀座商店街:栄屋食品の古漬けと味噌漬け

栄屋食料品店の漬物は、冷やしおでんの付け合わせにぴったりだ。ほのかな甘みがあるおでんに対して、酸味と独特の香り漂う古漬けと味噌漬けは最高の組み合わせだ。ヌカはあえて取り除かず、そのままいただいた。

新鮮な夏野菜と魚のすり身から豊富な栄養が取れ、夏バテ対策にも有効な冷やしおでん。正直作るまでは突飛な料理だなと思っていたが、食べてみると意外にしっくりくる。お気に入りのおでん種専門店のおでん種を購入して、ぜひ作ってみてはいかがだろうか。

佃忠かまぼこ店(田端)の基本情報

佃忠 田端銀座店(佃忠かまぼこ店)
〒114-0014 東京都北区田端3-8-6
03-3822-0973
定休日:火
営業時間:9:00〜19:30
佃忠かまぼこ店(田端)のWebサイト(田端銀座商店街のWebサイト)

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