今回は麻辣風味のおでんの作り方を紹介する。ぴりりとした辛さが冬には身体を温め、夏には食欲増進を促してくれる。
おでんは昆布や鰹で出汁取り、醤油で味付けするのが一般的だが、まったく異なる味付けにしても美味しい。今回は中国や台湾のコンビニで提供される麻辣(マーラー)味のおでん作りに挑戦してみよう。
麻辣スープで煮た中国コンビニのおでん
中国でコンビニエンスストアのおでんが登場したのは約25年前、平成9年(1997年)に上海でローソンが販売したのがはじまりだという。
現地の人々の好みに合わせ、おでん種を串に刺すなど改良が加えられていったが、なかでも特徴的なのは麻辣仕立てのスープを採用していることだ。中国では麻辣味と辛くない味の2種類を選ぶことができる。
麻辣とは唐辛子と花椒(ホアジャオ)の辛さが癖になる味付けで、麻婆豆腐や四川火鍋、麻辣燙など四川料理に多く用いられる。鶏の白湯スープがベースとなることが多い。中国では四川料理の人気が高く、麻辣はどの地方でも馴染みのある味となっている。
麻辣おでんをつくる
今回は中華食材店で販売している火鍋の素(底料)を使って、お手軽ながらも本格的な麻辣おでんを作ってみたいと思う。
最近、どの商店街でも中華食材店を見かけるようになり、手軽に本場の味を再現できるようになった。お住まいのエリアに存在しないという方は、新大久保や池袋に出かけてみるといい。今回は池袋駅西口(北)にある「友誼商店」(豊島区西池袋1-28-6 大和産業ビル4F)で購入することにした。
まずは材料を紹介していこう。重要なのは火鍋の素。中国語では「底料」と呼ばれるもので、多くの種類がある。海底捞や小肥羊といった中国で人気の火鍋専門店のものもある。味付けは辛いものからマイルドなもの、キノコ風味など多種多様だ。ちなみに今回使用したのは「味达美」というメーカーのもので、激辛の部類に入る。
火鍋の素だけでも十分美味しくできあがるが、調味料を加えてさらに奥深い味にしていく。用意するのは豆板醤、芝麻醤、香油、麻油、鶏がらスープの素、塩、胡椒、牛乳だ。
- 火鍋の素(150〜250g)
- 豆板醤(大さじ1)
- 芝麻醤(大さじ2)
- 麻油もしくは香油(小さじ2、ごま油で代用可)
- 生抽(小さじ1、醤油に代用可)
- 鶏がらスープの素(1リットルの水で溶く)
- 牛乳(250ml)
- 塩・胡椒(適量)
火鍋の素は商品によって原料が異なるので、味をみながら量を調整するといいだろう。麻油や香油は、いわゆるごま油のことだが、香りを付けるために使用する。種類があるのでいろいろと試してみると面白い。
調味料に加え、風味を出すために中華料理に必須のニンニク、生姜、長ネギを用意する。それぞれ20gほど用意して、ニンニクは粗いみじん切り、生姜と長ネギは薄くスライスする。最終的に捨ててしまうので適当に切っても問題ない。
具材はおでん種のほかに好きなものを加えるといい。今回は椎茸とエノキダケ、豆もやしを用意し、さらにエビも加えることにした。米粉(春雨)を入れると麻辣燙風になり、インスタントラーメンを入れると中国のコンビニおでんのようになる。
鍋やフライパンに油を敷き、ニンニク、生姜、長ネギを入れる。香りが出てほどよく火が通るまでじっくり炒めよう。
次に火鍋の素と豆板醤を加え、先に入れたニンニクなどとよく絡める。
水で溶いた鶏がらスープと牛乳を入れたらよくかき混ぜ、強火にする。
蓋をしてから弱火にして、5分ほどそのままにする。
火を止め、ニンニク、生姜、長ネギを掬って取り除く。これで第一段階は終了だ。
次に煮えにくい具材を別鍋で下茹でする。大根や玉子、じゃがいも、こんにゃくやちくわぶなどが代表例だ。それぞれの下茹で方法は各リンク先を参照してほしい。
具材を麻辣のスープに移し、弱火で煮る。練り物のおでん種やエビなどの海鮮物、エノキダケなどは下茹でせずにこの時点で入れるようにしよう。
5分から10分煮てすべての具材に日が通ったら、芝麻醤、香油、麻油、ごま油を入れて完成だ。好みですりおろしたニンニクを加えてもいい。
これで麻辣おでんは完成となる。パクチーを乗せても美味しいだろう。今回紹介したものを基本として、八角やシナモンを加えて客家料理風にアレンジしてもいい。中華料理の基本は味見をしながら調理を行うことなので、記載された分量にこだわらず、少しずつ調味料を足していくと失敗が少ない。
また、具材を串に刺して中国のコンビニ風に楽しむのもいいだろう。そもそもが伝統的な料理ではないので、創意工夫で自分だけのアレンジを見つけ出してほしい。
冬はぽかぽか身体が温まり、夏は汗を流してさっぱりする。普段とは異なるおでんの魅力をぜひ楽しんでいただきたい。