おでんのチーズの調理方法

チーズはおでんによく合う。具材としてだけでなく、おでん汁やつけだれ、翌日のリメイク料理に用いるなど、さまざまな楽しみ方がある。今回はおでんのチーズの利用方法をまとめてみた。

おでんのチーズの調理方法

ビストロなどの料理店では「フレンチおでん」や「イタリアンおでん」といった洋風おでんが生まれ、チーズが頻繁に用いられるようになった。また、家庭でも自由な発想でおでんとチーズを組み合わせた料理をSNSやレシピサイトに投稿している。

おでんにチーズというと「本流ではない」と眉をひそめる人も多いが、なとりの「チーズ鱈」やちくわとチーズを組み合わせた「チーちく」など練り製品との相性がいい。また、チーズの醤油漬けなど、おでん汁のベースとなる醤油や昆布、鰹節ともよく合う。

おでん種専門店で販売されるチーズを使ったおでん種

おでん種専門店でも40年以上前からチーズを使用したおでん種を販売している。筆者の少年時代である昭和50年代後半(1980〜85年)、すでに「チーズ巻」と呼ばれる種が存在していた。

増田屋蒲鉾店(葛飾区 鎌倉) おでん種:チーズ巻

チーズ巻は細長く切ったチーズのまわりに魚のすり身を包んで揚げたもので、とろりとしたチーズと魚のすり身の相性が抜群のおでん種だ。現在でも多くの東京のおでん種専門店で販売されている人気商品だ。

おでん種専門店で販売されているチーズのおでん種

また、いくつかのお店ではチーズを使用した変わり種を販売している。中板橋の太洋かまぼこ店では「モッツァレラチーズ揚げ」、世田谷のや亀やでは「チー玉」、世田谷区上町のよね屋では「カルボナーラ風」、荒川区小台の大阪屋では「イタリア揚げ」、戸越の後藤蒲鉾店では「カニチーズいなり」などがある。

専門店の職人たちの創意工夫によって生み出されたチーズのおでん種をぜひ味わっていただきたいが、今回は家庭で挑戦できるものも紹介したいと思う。

おでんに使用されるチーズの種類

まず、おでんに使用されるチーズを紹介していこう。スライスチーズなどでおなじみのプロセスチーズは、コストパフォーマンスが高く用途別にさまざまな商品が販売されているため使用されることが多い。

おでんのチーズの調理方法

ナチュラルチーズもバラエティに富んでいる。フレッシュタイプであればモッツァレラチーズやクリームチーズ、白カビタイプはカマンベールチーズ、青カビタイプはゴルゴンゾーラ、セミハードタイプはチェダーチーズ、ハードタイプはパルミジャーノ・レッジャーノ(もしくはパルメザンチーズ)あたりが多い。

使用方法は主に、1. そのままおでん種(具)として使用する、2. おでん種のトッピングとして使用する、3. おでん汁に使用する、4. おでんのリメイク料理に使用する、の4つとなる。

チーズをそのままおでん種(具)として使用

チーズ本来の味わいを堪能したければ、手を加えずにそのままおでん汁で温めるといい。料理店ではモッツァレラやカマンベールを使用することが多いが、クリームチーズやグリュイエールなど自身の好みでチョイスしてもいい。チーズそれぞれの個性が強く感じられるはずだ。

おでんのチーズの調理方法:チーズまるごとおでん種

作り方はいたってシンプルだ。まず、チーズを食べやすい大きさに切り分ける。モッツァレラなら3等分、カマンベールなら4等分ほどでいいだろう。カマンベールの表面を覆う白カビ部分は美味しく食べられるが、食感が気になる場合は取り除いてもいい。

おでんのチーズの調理方法:チーズをおでん汁で温める

次に小鍋におでん汁を移して弱火で温め、沸騰したらチーズを投入してひと煮立ちさせれば完成だ。おでん鍋に投入したほうが楽だが、全体にチーズの味が移るので注意が必要だ。黒胡椒やバジル、岩海苔などをのせると見た目や味のアクセントになる。また、チーズが溶け込んだおでん汁もまろやかで美味しい。

チーズを油揚げに入れる

チーズが溶け出さないように油揚げに入れ巾着にする方法もある。材料は油揚げとチーズ、干瓢となる。干瓢は口を結ぶために使用するが、爪楊枝などでもかまわない。

おでんのチーズの調理方法:おでんのチーズ巾着

チーズはモッツァレラやカマンベールのようにひとかたまりのもののほかに、クリームチーズやパルミジャーノのようにまとまりにくいものも使用できる。また、ベーコンや餅、きのこやトマトなどを一緒に入れてもいい。

おでんのチーズの調理方法:油揚げを袋状にする

作り方は餅巾着と同じ要領だ。干瓢はそのまま使用してもいいが、火の通りをよくするために水で戻しておく。油揚げは熱湯をかけて油抜きしたらキッチンペーパーなどで水分を取り、チーズは油揚げに入る大きさに切る。

おでんのチーズの調理方法:油揚げにチーズを入れる

油揚げを半分に切って袋状にしたら(正方形の場合は1辺を切る)、まな板の上で箸を押し当てながら回転させる。指で丁寧に油揚げを開き、チーズを入れてから干瓢で口を閉じる。作り方の詳細は「おでんのもち巾着の調理方法」の記事を参考にしていただきたい。

最後におでん鍋に投入してさっと温めれば完成だ。冷めると固くなるので熱々のうちに食べるといいだろう。

チーズをバケットにのせる

バケットにのせてオニオングラタンスープのように食べる方法もある。カマンベールを使用している料理店もあるが、ピザ用チーズやクリームチーズをのせてもいい。

おでんのチーズの調理方法:おでんのチーズバケット

こちらも作り方は簡単だ。用意したバケットにチーズをのせ、予熱した200℃のオーブンで10分ほど加熱する。加熱時間は溶け具合や焦げ具合をみながら調整しよう。チーズとバケットを器に盛り付け、熱々のおでん汁をかければ完成だ。なお、あらかじめ器にチーズとバケット、おでん汁を合わせて加熱しても問題ない。

おでんのチーズの調理方法:おでんのチーズをバケットのせる

こちらも好みで黒胡椒などをトッピングしてもいい。柔らかくなったバケットを崩して、チーズとおでん汁をからめて食べると美味しい。

チーズをおでん種(具)のトッピングとして使用

チーズをおでん種のトッピングとして使用する方法は、手軽に実践できるためさまざまなバリエーションが存在する。メジャーなのはトマト、大根、じゃがいもなどの野菜類だが、はんぺんや揚げ蒲鉾にのせる場合もある。

おでんのチーズの調理方法:トマトのおでん種にチーズをのせる

スライスチーズやピザ用チーズなどとろけるタイプのプロセスチーズを使用することが多いが、料理店ではゴルゴンゾーラをソースとして用いる場合がある。

基本的な作り方は調理済みのおでん種の上にチーズをのせ、弱火や余熱で温めるだけだ。こちらもバジルや黒胡椒などをかけるとさらに美味しくなる。

ゴルゴンゾーラソースをおでん種にかける

チーズをのせるだけでは面白くないので、ここではゴルゴンゾーラソースの作り方を紹介しよう。おでん種は大根が最適だ。

おでんのチーズの調理方法:おでんの大根ゴルゴンゾーラソースがけ

大根は輪切りにして3〜5mmくらいの厚みで皮をむき、面取りと隠し包丁を入れておく。鍋に米の研ぎ汁か米をひとつまみ入れて下茹でし、おでん汁の入った鍋に移し替えて20〜30分ほど弱火で煮る。詳しくは「おでんのしみしみ大根の作り方」の記事を参考にしてほしい。

おでんのチーズの調理方法:ゴルゴンゾーラソースの材料

ソースの材料はゴルゴンゾーラ(ドルチェ)30g、パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズでも可)15g、生クリーム100ml(0.5カップ)、バター5g、塩、黒胡椒は少々、おでん汁とパセリは適量。好みでピエダングロワを加えてもいい。

ゴルゴンゾーラとバターは1cm程度に切り、パルミジャーノは削って細かくしておく。ピエダングロワはみじん切りにしておく。

おでんのチーズの調理方法:ゴルゴンゾーラソースを作る

フライパンに生クリーム、ゴルゴンゾーラ、バターを加えて弱火で加熱する(ピエダングロワを使用する場合は一緒に投入)。木べらでチーズとバターを潰しながら溶かし、半分ほど溶けたら火を止めて塩、黒胡椒、パルミジャーノを振りかける。ソースが少し固いようなら、おでん汁を少しずつ加えて好みの柔らかさにする。

おでんのチーズの調理方法:ゴルゴンゾーラソースを作る

余熱でチーズやバターが溶けたら小皿におでん汁と大根を移し、ゴルゴンゾーラソースをかけて完成。仕上げに刻んだパセリを加えると彩りがよくなる。

通常のおでんとは異なる洋風な味わいだが、コクのあるチーズの風味が不思議とおでんの大根によく合う。材料を揃えるのがすこし面倒だが、作り方は簡単なのでぜひ試してほしい。ソースは冷蔵できるので、作りすぎた場合は翌日パスタにしてもいいだろう。

チーズをおでん汁に使用

チーズをおでん汁に使用する場合は味噌と組み合わせるものが多いが、タッカルビ、トマトベース、カレー風味など、かなり自由な発想でレシピが開発されている。また、フォンデュのようにおでん汁と分けて提供されるものもある。

おでんのチーズの調理方法:チーズ味噌おでん

味噌と組み合わせる場合はクリームチーズやピザ用チーズを使う。まず、淡色味噌15g、クリームチーズ100gを混ぜ合わせておく。おでんは通常どおり鍋で煮て、チーズと味噌におでん汁を少しずつ加えながら鍋に溶き入れる。最後にピザ用チーズ100g(分量は好みで調整可を入れて溶けたら完成だ。さらに粉チーズ(パルメザンチーズ)を振りかけてもいいだろう。

おでんのチーズの調理方法:クリームチーズと味噌を混ぜる

チーズと味噌の組み合わせを想像しにくい方もいると思うが、チーズのまろやかさと味噌の深い味わいが融合し、大人も子どもも楽しめる。通常のおでんの作り方にひと手間加えるだけなので、気軽に挑戦できる。鍋に加えず、チーズと味噌は器に入れたままディップしても美味しい。

おでんのリメイク料理にチーズを使用

余ったおでんのリメイクにもチーズは重宝されている。代表的な料理はリゾットや雑炊、オーブン焼き、味噌チーズグラタンだ。今回はリゾットの作り方を紹介しよう。

おでんのチーズの調理方法:おでんのチーズリゾット

うまく調理できれば米の粒がしっかり立った食感を楽しめる。カルナローリ米などリゾットに適した米を使うと食感がよくなるが、少々高価なのでまずは通常のもので挑戦してみるといいだろう。ちなみに雑炊の場合は炊いた米を入れるため簡単に調理できるが、澱粉質が糊化するためねっとりとした食感となる。

おでんのチーズの調理方法:おでんのチーズリゾットの材料

材料は1人前で米0.5合(75g)、おでん汁300ml(1.5カップ)、オリーブオイル30ml(大さじ2)、バター10g、パルミジャーノ・レッジャーノ約30g(大さじ2)、塩と黒胡椒は少々、余ったおでん種は1cm程度に切り分けておく。

おでんのチーズの調理方法:オリーブオイルで米を炒める

おでん汁は中火で温めたままスタンバイしておき、別鍋で洗っていない米とオリーブオイルを入れて5分ほど炒める。米がオリーブオイルを吸い込んで白くなったらおでん汁をお玉1杯分注ぎ入れる。おでん種はこの工程以降ならいつ加えてもかまわない。

おでんのチーズの調理方法:おでん汁をかけて炊く

米の表面にふつふつと細かい穴ができたらその都度熱いおでん汁を足し入れ、弱火で20分ほど炊いていく。時折、鍋を揺らしたり、木べらで底をすくって焦げつかないようにする。

味見をして、わずかに芯が残るくらいの食感になったら火を止め、バターとパルミジャーノを加えて手早く混ぜ合わせる。最後に塩や黒胡椒で味を整えれば完成だ。

おでんのチーズの調理方法

諸説あるがチーズは世界で1000種類以上存在し、それぞれに個性がある。また、おでんはさまざまな食材や調理法を受け入れてくれる懐の深い料理だ。今回の記事をきっかけとして、自由な発想でおでんとチーズの組み合わせを楽しんでいただきたい。

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