今回はおでんの玉ねぎの調理方法を紹介しよう。とろりと柔らかくなった玉ねぎに、やさしい味わいのおでんが染みて極上の味わいとなる。
おでんの玉ねぎはTVで紹介されたことで広く知られるようになったが、意外な組み合わせにもかかわらずレギュラーのおでん種に加えてもいいくらい美味しい。今回はおでんの玉ねぎの調理方法を中心に、その魅力を紹介していきたい。
玉ねぎは揚げ蒲鉾の具材としてはポピュラーな存在
玉ねぎは栄養が豊富でさまざまな料理に使われている人気の野菜だ。硫化アリルやケルセチン、カリウムなどを含み、動脈硬化や生活習慣病の予防などに効果がある。
すべての栄養を効率的に摂取するには生のまま食べるのがいちばんだが、煮込んでもじゅうぶん栄養を得られる。おでん種として知られるようになったのは、タモリ(森田一義)さんがフジテレビ系列「ヨルタモリ」で紹介したのがきっかけ(2015年3月放送)だ。その後もタモリさんの自宅で振る舞われて感動した草なぎ剛さんが紹介している。
埼玉県川口市にあるおでん種専門店の港屋かまぼこ店でも玉ねぎを使用したレシピを紹介している。生のまま丸ごとかくし味として煮込むと、ほどよい甘みがほかの種にうまみをつけるそうだ。
玉ねぎは揚げ蒲鉾の具材として必須といえるほど使用されており、東京のおでん種専門店でも多くの種類がある。「玉ねぎ揚」のようにメインの具材にしているものや、増田屋(立石)の「玉ねぎ干しエビ」、桧山水産(東新小岩)の「エビ玉ねぎ」などほかの具材と組み合わせたものもある。
名称に「玉ねぎ」という記載はないものの、玉ねぎを用いる場合もある。板橋区蓮根のえびすや蒲鉾店や葛飾区柴又の大国屋のカレーボール、杉並区堀ノ内の丸佐かまぼこ店のやさい揚げなど、甘みと深みを出すために玉ねぎのみじん切りを加えている。
おでんの玉ねぎの調理方法
さて、ここからは玉ねぎのおでんの調理方法を紹介していこう。蒸す(もしくはレンジで加熱)、煮るのシンプルなものだ。
使用する玉ねぎは黄玉ねぎと呼ばれる通常のものを利用する。ペコロスと呼ばれる小さな玉ねぎは、ほかのおでん種と大きさを揃えられるのでこちらもおすすめだ。
まずは玉ねぎの頭頂部と根元を切り、皮をむく。ここまでは通常の玉ねぎの扱い方と同じだ。根元には味が入りやすいように十字の切れ込みを入れる。
ふわとろの食感を出すために、蒸し器で沸騰してから30分から1時間程度蒸すか、ラップに包んでレンジで8分程度加熱する。表面の様子を見ながら時間を調整しよう。なお、水に溶ける栄養素もあるので茹でるのは避けたほうがいいだろう。
おでんの汁を沸騰させたあと、弱火で30分から1時間ほど煮る。ほかのおでん種と一緒に煮ると、うまみが玉ねぎに移るだけでなく、玉ねぎの甘みもほかのおでん種に移る相乗効果がある。しかし、おでん全体が玉ねぎの風味になるため、それを避ける場合は別鍋で煮たほうがいい。
火を止めたら常温まで冷まし、しばらく冷蔵庫で寝かせる。ウエルシュ菌などの増殖を防ぐため、暑い時期以外でも常温で放置せず、かならず冷蔵するようにしよう。おでんの食中毒に関しては「おでんの食中毒の予防方法」という記事を参考にしていただきたい。
寝かせる時間については好みでいい。すぐに食べる場合は玉ねぎのフレッシュな歯触りを楽しむことができ、寝かせるととろりとした食感となる。
食べる直前に温め直せば完成だ。玉ねぎはかなり柔らかくなっているので、鍋やお皿に移す際は細心の注意を払おう。鰹節や青ネギを振りかけると、ぐっと雰囲気が増す。チーズをかけて洋風に味わってもいい。
じっくり煮込んだ玉ねぎは箸で切れるほど柔らかく、おでんのうまみを抱き込んでいる。玉ねぎの甘みで汁もまろやかになり、普段とは違った味わいを楽しめる。
前回のとうもろこしと同様に、最初に軽く炒めて表面に焼き色をつけるのもいい。また、冷やしおでんにしても非常に美味しい。
すこし時間はかかるが、作り方は非常にシンプルで料理初心者でも簡単に調理できる。余った玉ねぎを使ってぜひ一度試してみてほしい。