おでんに欠かせないお豆腐屋さん

おでんといえばおでん種やさんだが、お豆腐屋さんも非常に関係が深い。おでんの由来は田楽であるし、がんもどき、こんにゃく、白滝などおでん種の代表格もお豆腐屋さんで扱っている。今回は、おでんに欠かせないお豆腐屋さんの一部を紹介したい。

名前の由来ともなった豆腐とおでんの親密な関係

最近はテレビなどで紹介されているので有名だが、おでんのルーツは田楽といわれている。田楽はご存知のとおり、豆腐を串に刺して焼いた料理のことだ。それが女房言葉(にょうぼうことば)の「お」をつけるようになり、おでんとなった。江戸時代におでんは煮込んだ田楽を指すようになり、田楽は焼いた田楽を意味するようになったそうだ。

歴史的にも関係が深いからか、おでんにはお豆腐屋さんで扱っている食材が多い。人気のおでん種のトップランクに入るこんにゃくと白滝はお豆腐屋さんの専門だし、豆腐から作られたがんもどき、厚揚げもおでん種として認知されている。また、東京ローカルの代表格であるちくわぶも、お豆腐屋さんで扱われている。実際、おでん種専門店ではこれらのおでん種はお豆腐屋さんから仕入れている場合が多い。

東京おでんだねがおでん種やさんを取材するとき、必ずといっていいほどおでん種やさんのある商店街のお豆腐屋さんに立ち寄る。種類が豊富だし、おでん種専門店とは異なる背景でお話をうかがえるのも楽しい。また、1軒でも多く売り上げに貢献して、商店街の賑わいにつながってほしいと願うからだ(大量に買うわけではないのでたいした貢献にはならないのだが…)。

魅力的なお店は多いが、今回はおでん種やさんの近くにあるお豆腐屋さんを2軒ほど紹介していこう。

慶応元年創業の老舗、立石の木村屋豆腐店

増田屋(立石)丸忠かまぼこ店のある立石には、慶応元年に創業したという老舗の木村屋豆腐店がある。

東京都葛飾区立石:木村屋豆腐店

店構えや暖簾が昔ながらの雰囲気を漂わせる。電柱脇の柳の木も素晴らしい。立石北口に位置しているので、再開発によって高層ビルが立つ予定となっている。店主は開発が進めば店じまいするとおっしゃっていたが、とてももったいないような気がする。

東京都葛飾区立石:木村屋豆腐店

木村屋豆腐店にはたくさんの商品が揃っていて、どれも手作りの本格的なものばかり。白滝は一本がとても長い結び白滝で、自分で結びたいときに重宝する品だ。ほかの白滝よりも細く繊細で、汁をよく含んでくれる。

東京都葛飾区立石:木村屋豆腐店の小がんもどき

小がんもどきは定番の切り昆布、黒ごま、人参がふんだんに入っていて香りがとてもよい。豆腐部分も肉厚ながら密度が濃く、大豆本来の美味しさがあふれている。

木村屋豆腐店(葛飾区立石)のおでん種:がんもどき(椎茸とぎんなん)

がんもどきには銀杏と椎茸という変わり種もある。見た目だけでも美味しそうだが、食べてみるとその美味しさに感動する。椎茸はだし汁にしっかり漬け込まれているので、おでんに入れずにそのまま食べてもじゅうぶん美味しい。

木村屋豆腐店(葛飾区立石)のおでん種:ちくわぶ

そして、驚きなのがちくわぶだ。神奈川県横浜のお店から仕入れているとのことだが、市販のものとは一線を画す形状をしている。通常の角の数は8〜10ほどだが(ちくわぶ料理研究家の丸山晶代さん著書「ちくわぶの世界」参照)、こちらは12もある。

木村屋豆腐店(葛飾区立石)のおでん種:ちくわぶ

形状も不均一でいかにも手作りらしい佇まいだ。「とても柔らかいので煮込むときに注意」とおかみさんに助言をいただいたが、柔らかさはほかのちくわぶの比ではない。

木村屋豆腐店(葛飾区立石)のおでん種:ちくわぶ

食感は表現できないほど柔らかく、小麦粉の風味もふんわり感じられて心地よい。東京おでんだねの活動をはじめてしばらく立つが、このような珍しいものを発見すると、世の中にはまだまだ興味深いものが隠れているのだと好奇心をかき立てられる。

伝統と革新の豆腐店、とうふ処 杉原

お次は深川の美好商店近くにある「とうふ処 杉原」を紹介しよう。江戸資料館通りにあり、創業は昭和21年(1946年)、二代目店主が伝統技法を守りながらも新たな挑戦を続けるお豆腐屋さんだ。

東京都江東区白河 江戸資料館通り:とうふ処 杉原

国産の大豆にこだわり、さまざまな商品を開発しているが、詳しくは江戸川区のお店紹介サイト「ことみせ」の記事を参照いただきたい。細部までよく取材されているので非常に参考になる。

東京都江東区白河 江戸資料館通り:とうふ処 杉原のがんもどき、生あげ

東京おでんだねが訪れたときは、「元祖名代」と書かれたがんもどきと生あげを購入した。豆腐の味がきりっとしながらも甘く、揚げた部分は油の旨味がしっかり感じられて美味しかった。がんもどきは切り昆布と人参が香りと歯ごたえのアクセントになっていた。先程の「ことみせ」の記事によると、午前10時から11時に行くと揚げたてを購入できるらしい。

毎朝作るので味は折り紙つき、お豆腐屋さんでぜひ購入を

おでん種専門店と同じ商店街にあるお豆腐屋さんは、このほかに柳屋蒲鉾店近くの豆腐屋りせん(東京都目黒区原町1-16)、蒲元近くの山本豆腐店(東京都江戸川区江戸川2-5-37)、増田屋蒲鉾店(堀切)近くの埼玉屋食品(東京都葛飾区堀切7-13-2)などがある。また、みなさんの住むエリアの商店街にお豆腐屋さんがあるのなら、ぜひ立ち寄ってみてほしい。

お豆腐屋さんのおでん種

おでん種専門店と同じように、量販店の低価格攻勢によってお豆腐屋さんも厳しい立場に立たされている。毎朝作るので味は保障付き、おでん種と共に美味しく食べて盛り上げていただければと思う。

木村屋豆腐店の基本情報

木村屋豆腐店
〒124-0012 東京都葛飾区立石4-23-13
03-3697-6483
定休日:日曜、祭日
営業時間:8:00~19:00

とうふ処 杉原の基本情報

とうふ処 杉原
〒135-0021 東京都江東区白河2-3-14
03-3641-1904
定休日:日曜、祭日
営業時間:15:00~18:30 土曜:7:00~18:30

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