東京おでんだねは2018年10月8日から活動を始め、このたび2周年を迎えることとなった。3年目に突入するタイミングで、すこしこの1年を振り返ってみようと思う。
1年前は東京のおでん種専門店すベてを訪問する直前のタイミングだった。そこから八王子市長房町の梅屋蒲鉾店、荏原中延の蒲眞(かましん)、神谷の平澤蒲鉾店を訪問し、コンプリートに至った。
おでん種専門店をすべて訪問すると記事のネタに困ることになった。おでん種やおでん種やさんにまつわるあれこれをなんとか記事にすることによって、週1回の更新を維持することができた。
昨年10月8日から数えて1年間で65記事、活動をはじめてから数えると115記事、よくもこれだけ続けてこられたものだと感心する。ひとえに笑顔で迎えてくれたおでん種専門店の方々と、あたたかい声援をかけてくれた読者の方々のおかげです。あと、いつも支えてくれるマイパートナーも忘れてはいけません。本当にありがとうございます。
さて、ここからはこの1年で印象的だったできごとや記事を紹介していければと思う。
東京おでんだねのメディアへの露出
年を重ねるごとに東京おでんだねへのアクセス数は上昇していったが、それに伴って各メディアからのお誘いも増えていった。テレビだとテレビ朝日の「マツコ&有吉 かりそめ天国」とテレビ東京の「よじごじDays」、冊子は毎日新聞出版の「私のまいにち」。蒲鉾の業界紙であるぽあそん通信の「かまぼこ通信」にも紹介していただいた。
もっともインパクトが大きかったのは東洋経済オンラインの取材だった。ライターの田嶋章博さんに声をかけていただき、東京おでんだねがテーマにしている「東京のおでん種専門店が減少している現状」を伝える記事に協力させていただいた。Yahoo!ニュースのトップにも取り上げられ、広くあまねく、多くの人々に課題を提議することができたと思っている。
アクセス数が増えたとはいえ、まだまだ小さなブログでしかない東京おでんだねにとっては、東京のおでん種専門店の現状を伝えるには非力すぎる。個人的には本人が露出するのは好きではないのだが、今後もメディアからお誘いがあったら引き受けたいと思っている。
訪問記事にとどまらずおでん種の魅力を伝える
約50軒のおでん種専門店をまわっているときは、現地に訪問して地域やお店の様子を紹介し、おでん種を調理してリポートする、という定型の記事を繰り返すだけでよかった。しかし、すべてまわりきってしまうと、2周目からは同じ形で紹介することができなくなった。
なるべく別の視点でおでん種専門店の魅力を伝えようと、毎回頭を悩ませながら取材を行なっていた。
まず、歴史をテーマに考えてみた。増田屋蒲鉾店のように暖簾分けで派生していったお店をまとめて紹介したり、多くの蒲鉾屋が生まれた日本橋魚河岸の歴史を紐解いていったりもした。また、餃子巻やカレーボールの発祥を探るなど、おでん種の歴史にフォーカスする記事も掲載していった。
歴史ものは調査に時間がかかり、国会図書館のデータベースをあさったり、現地に訪れてみるなど大変手間がかかるものだった。そのわりにマニアックすぎて、ほとんど東京おでんだねの筆者の知的好奇心を満たす自己満足な記事となった(まあ、それでいいのだが)。
次に、定番となった調理方法。じつは東京おでんだねの記事でもっとも人気が高いのが「おでんの白滝の結び方・巻き方」。今までも大根やゆで卵の調理方法などを紹介していたが、そこからさらに拡充していった。最近好評だったのが「おでんのご当地だれを楽しむ」という記事。この分野はもうほとんどネタが尽きてしまったが、作るほうも楽しいので引き続き記事にしていきたいと思っている。
今年から挑戦したのは、夏におでん種を楽しむ方法だ。需要がぐっと少なくなる暑い時期に美味しくおでん種を楽しんでもらおうという趣旨で、冷やしおでんの作り方や、おでんにしない揚げ蒲鉾の楽しみ方を紹介した。また、お店側の視点で「夏の揚げ蒲鉾の需要喚起を考える」という記事も作成した。
冷たいおでんやそのまま食べる揚げ蒲鉾は、意外にもかなり美味しいことに気がついた。また、彩りも華やかになってフォトジェニックなのだ。SNSが流行っている昨今、すごくマッチしているのではないかと思う。
新型コロナウイルスの影響
今年、忘れてはならないのが新型コロナウイルスによる影響だ。筆者は緊急事態措置が始まってからほとんど外出せず、公共交通機関も一切使わなかったことによって3月から6月まで外出による取材は行わなかった。東京のおでん種専門店はどのような影響を受けているのか、新型コロナによって閉業の危機にさらされているのではないかと心配していたが、その後の取材で被害は軽微だったことがわかった。ただ、飲食業を営んでいるところはかなりの痛手だという。
ご実家が赤羽の丸健水産である本蓮沼にあるおでん屋さん「おでん 堀天」が2020年5月19日に閉業、鎌倉の井上蒲鉾店のカフェ「茶寮いの上」も2020年9月22日に閉業となった。また、飲食店ではないが小田原の老舗である丸う田代も倒産した。
まだまだ新型コロナの影響は消えないことから、年明けには多くのおでん種専門店やおでん屋さんが閉業する可能性がある。感染予防の兼ね合いもあって消費者としても判断が難しいが、多くのおでん種専門店では通販も行なっているのでぜひ利用したいところだ。
3年目の東京おでんだねの活動は、2年目と同じくいろいろと知恵を絞ってさまざまな角度から東京のおでん種専門店の魅力を伝えていければと思う。おでんをこよなく愛するみなさんの思い出話や「こんな記事が読みたい」というアイデアがあれば、ぜひお問い合わせページやSNSからご連絡いただきたい。
3年目も引き続き、よろしくお願いいたします。